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第6話 三種の神器

その後、俺は父さんに言われたとおりにイヨと美月を『神の間』に連れて行った。神の間は蘇我家の最深部に位置している。最深部とはすなわち地下を意味する。この家の地下には、広大な空間が存在しほとんどが日常的に使う部屋や荷物置き場とは一線を画した部屋である。その中でも一段と格違いなのがこの『神の間』である。


「ついたよ。ここが蘇我氏の最高機密にして最大の戦力にも成し得る通称『神の間』だよ」


「ここが?」


「……」


俺が、神の間に連れて行くと2人ともびっくりしていた。何でかって? それはだな。


「これは、かの幻のアイテム三種の神器の一つ草薙の剣! 壇ノ浦で消えたはずじゃ」


イヨが叫んだ。


「これは形代?」


美月も形代の知識を知っていたみたいだ。イヨも美月もこの部屋の中央にある鳥居の下に保管されていた草薙の剣に目を奪われていた。


「これは壇ノ浦で沈んだはずの草薙の剣の形代だよ。これは神代からあったからとてつもない力があるんだ」


「まさか、あなた達はこれで?」


「………」


イヨは俺達の目的を若干察したみたいであるが一方の美月は驚いていや、理解できないような顔でいて無言だった。


「そのまさかだよ」


俺は言った。蘇我の真の狙いについて。


「本来、三種の神器とは天皇家にあるものだった。しかし、三種の神器といっても本物は3つの日本の有名な天皇家ゆかりの神社の御神体となっているんだ」


「じゃあ、これは天皇家が持つ形代? でもそれも天皇家が持つから蘇我が持つなんて……」


美月の理解力は早くて助かる。成績優秀者は本当にいいなと思うのもつかの間、俺はしっかり三種の神器の形式について説明し続けた。


「これはまだ崇峻天皇の時代に3つの形代は皇族と他の一族を結ぶためにもう1セット作られ草薙の剣が蘇我に与えられたんだ」


「あと2つは?」


イヨが俺が話す核心を迫ってきた。なぜならこの、残り2つが今の蘇我と物部の対立の元となってしまったのだから。


「1つは物部そして最後の1つは皇后に与えられることになった」


「これなら大丈夫だね。公平に分けていて」


美月の言うとおりこれなら3つの実力者にも渡していてパワーバランスが取れているように見える。最初は美月の言うとおりにパワーバランスが取れていたがしかし、実際はこれがある時を境に変わってしまった。


「それが、物部が皇后は天皇家なのになんで持つんだなんて批判し物部が鏡だけでなく勾玉まで奪ったんだ」


「まさか………」


「そのまさかだよ。これがきっかけで蘇我と物部が対立し物部を討つのは。崇仏派とか廃仏派とかは無理矢理後から付け加えられたもの。さらには崇峻天皇は物部守屋の子守次に殺されたのが真実だしね」


「歴史はねじれているね。ここまで真実が違うと」


美月の言うとおりだ。何でここまでねじれてしまったのだろう。


「私には何がしてほしいの?」


イヨが俺達蘇我家にやってほしいことを尋ねてきた。俺から、頼もうと思っていたのに先に尋ねてくるとは意外だったと感じたがやはり、先ほどの話の影響だと思い話し続けた。


「物部への復讐とはいいません。我ら蘇我の目的は―――」



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