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第一話 裏

丘の上で一人の豪奢な金髪の青年は突然変わった景色に戸惑いと肌寒さを覚えながらも、眼下に広がる光景を見て顔を歪ませていた。


夢を見ているのだろうか?


ふと心の中で呟いてみたが濃い血の生臭さや、眼下に広がる人と人とが殺し合う光景は変わることが無かった。




☆☆☆


毎年恒例の年末大掃除で母に捕まり、せっかくの連休一日を掃除に費やされるという思いと哀しさを感じながら自分の部屋の掃除をしていた。


掃除がほぼ終わりついでだからと、押入れの中も整理しようと中を漁っていたら学生時代にハマっていた  ノンステップ、ドラマチックRPGジャンル分けされるゲームソフトを見つけた。

【帝国物語】と言う名前のシンプルさと、販売元の会社からは珍しく宣伝もされずに発売されたにも関わらず、発売から月日が経つうちに口コミで徐々に知られていき、発売から半年後にはメディアに取り上げられる程の大ヒット作品になったゲームだった。

宣伝も無く大ヒットしたからには、かなり良い内容かと思いきや、当時このゲームを購入しプレイした人からの意見はハッキリと二つに分かれた。

「糞ゲー」または「神ゲー」と……


私がこのゲームを評価するならもちろん後者になる。

おまけに今は連休中であり、母に命令された箇所の掃除もある程度終わっていた。

気付けば私は大掃除の事など忘れ、ゲーム機とソフトをTVにセットしゲームをプレイしようと電源を入れた。




気付けば部屋の中に居たはずが、辺り一面見渡せる丘の上で騎乗していた。

鼻に付く濃い生臭さが気になり、臭いがする方へ視線を送れば、眼下ではまさに交戦中の戦が繰り広げられ槍で頭を叩き潰される者や、剣によって体を貫かれ地面に伏す者達が見受けられた。

だからといって血みどろの光景を見て動揺するのではなく、落ち着きながら冷静に今を知ろうと必死に頭の中で分析を始める私がいた。


眼下で剣と剣を交える者達は皆お互いに違う服装をしているが、その両者が着る鎧には記憶があった。

【帝国物語】に登場するサンドリア帝国とタブナジア王国の一般兵が着る鎧の設定と同じだったからだ。


両国の基本設定では、サンドリア帝国とタブナジア王国は元は同じ部族から成り立っている。

「安住の地を見つける為一族が流浪の旅をしていた時に、一族は分裂して一派は東へ、残った一派は北へと進行を続け、万年雪の高山地帯を越え、吹雪の中へ、又は断崖の底へ多くの仲間を失いながら旅を続け、ついに安住の地となりサンドリア帝国の基礎となる土地へたどり着いた」と語られている。


もしもこれが夢であったとしても、今この両国軍を見下ろせる丘の上に立って居る時点でゲームの場面ではプロローグになる部分だったはずだ。

確か雪と氷河に覆われた山岳地帯に両国は軍を進めタロンギ峡谷で交戦している最中にゲームは始まる。


異様に現実味のある夢だと解っていても、基本ゲームなんだから主人公であるクロノスを見てみたいと言う欲求に我慢できなくなり、丘の上から辺りをキョロキョロ見回していると近くに居た騎士が馬を寄せ私に話しかけて来た。


「クロノス殿下、とうかなさいましたか?」


……あれ?夢の中だけに私がクロノスになっちゃってるの??


呆然とする私を心配そうな表情で「殿下?」と呟きながら騎士は見つめていた

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