第17話
ゲームのイベント説明です。
しばらく愉快な話が続きます。
「それにしても珍しいものですね? ネオプレモス侯爵が兄上に土産物とはいえ物をとどけるなんて。
これは襲撃が失敗したからと、別の者が侯爵の名を語って毒を盛った物をとどけたのかも知れませんね?」
私はヘリオスの言葉を聞く、記憶の中から引き出される一つのイベントと、目の前に座るヘリオスを凝視しながら固まっていた。
記憶の中から引き出されたイベントの名は「貴族のたしなみ」。
そのイベントはかなり単純に終わらせることのできるものであったので、私はすっかり記憶の中からはじき出していたものだった。
本編ルートで、どのルートを選んでも登場する単純なイベントなのだが、このイベントは私は大嫌いだった。
クロノスが私室に戻ると、侯爵の名でとどけられたお茶菓子をどうするかの選択をする単純なイベントだ。
ただこのイベントは単純にお茶菓子をそのまま食べてしまうと、毒が盛られておりあっけなくデットエンドになる。
毒耐性がついていない状態でイベントの内容を把握していれば、プレイヤーは皆【食べない】を選択するのだが、毒耐性がついた状態で【食べない】を選択しても、再度同じ選択肢が出てくるという嫌がらせめいたものが存在していた。
当初、プレイヤーの間では毒耐性がつくと、このイベントは【食べない】を選択できないと言われ続けていたのだが、どこかのプレイヤーが意地でも食べさせたくないと【食べない】を連打で押し続けた結果、【食べない】を実行することができたと、攻略サイトで広まり、そしておまけとして【食べない】を連打する経過でクロノスの顔が徐々に泣き顔に変わっていくという面白得点まで発見されたのだ。
それだけを聞けばとても良い話なのだが、このイベントで開発者の嫌がらせとも思える、そして私がこのイベントを嫌っている最大の原因が存在していた。
【食べない】を連打している途中で諦めて【食べる】を選択すると、クロノスは我慢していた反動でお茶菓子を一気に食べ干してしまい、顔のグラフィックが大きく変わるのだ。
そう、普通の人間でも高カロリーなものを食べれば太るのと同じ様に、ゲームの中でもそれを採用してくれたらしく大きく太った顔に変わってしまうのだ。
………美顔から豚顔という激しい変わり具合まさに嫌がらせとしか言いようが無い。
プレイヤーの中には「豚顔の方が愛着わく!!」とほざいていた人がいましたが、私は美顔のクロノスが好きでゲームをやっているのに、豚顔になったときは母に怒られるまでゲームの画面を見て涙が枯れるまで流し固まっていた。




