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おかあさんの味方【最愛の人に大事な言葉を伝えたくてタイムワープで会いに行く!気まぐれ時間を歴史改変しまくって!】  作者: 藤台団二


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第一章「時計の針をぶち壊せ」

初めまして。本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。

「もし、あの時あの言葉を伝えていたら」 誰もが一度は抱くそんな後悔を、最新科学と圧倒的な行動力でねじ伏せようとする一人の少年の物語が始まります。

歴史が変わる? 因果律が崩壊する? そんなことは知ったことではありません。彼にとっての正解は、ただ一つ。「お母さんの笑顔」を取り戻すことだけなのです。

タイムワープを繰り返し、過去を書き換えまくる、スリルと愛情に満ちた時間旅行をお楽しみください。


空は泣き出しそうなほどにどんよりとした灰色だった。  東京都町田市、閑静な住宅街の一角にある古びた洋館。その地下室で、高橋海人たかはしかいとは狂ったようにキーボードを叩いていた。画面に並ぶ数式とログの奔流は、現代科学の限界をとうに超え、禁忌の領域へと踏み込んでいる。

「……できた。ついに、つながったぞ」

海人が顔を上げると、そこには巨大な円環状の装置が鈍い銀色の光を放っていた。自作のタイムマシン『マザーズ・リベンジャー』だ。  彼がこれほどの狂気に取り憑かれた理由は、ただ一つ。一年前、不慮の事故で亡くなった母・美智子に、どうしても伝えられなかった「ある言葉」を届けるためだった。

あの日、海人は反抗期の真っ只中で、母が作ってくれた朝食に手をつけず、「うっせえな、ババア!」と怒鳴って家を飛び出した。それが最後の会話になるとも知らずに。  美智子は、海人を追いかけようとして交差点でトラックに跳ねられた。救急車の中で彼女が最期に口にしたのは、「海人、ご飯冷めちゃうわよ……」という、どこまでも息子を案じる言葉だった。

「ごめん、なんて言わせない。俺が言いたいのは、そんな安い言葉じゃないんだ」

海人は装置の中央に立ち、コンソールを操作した。ターゲットは二十年前。美智子がまだ若く、海人を身ごもる直前の時代だ。 「歴史が変わる? タイムパラドックス? 結構なことだ。お母さんが幸せになれる未来になるまで、何度でも、何千回でもやり直してやる!」

眩い閃光とともに、海人の意識は加速する時間の粒子へと溶けていった。

目を開けると、そこは眩しい太陽が照りつける昭和の商店街だった。  活気ある声、魚屋の威勢のいい挨拶、そして漂ってくる夕飯の支度の匂い。海人は自分の姿を確認した。二十歳の大学生風の格好に偽装している。

「あ……」

通りの向こうから、買い物袋を抱えて歩いてくる一人の女性が見えた。  まだ若く、肌に張りがあり、何よりその瞳に深い慈愛を湛えた女性——若き日の母、美智子だ。

海人は駆け出した。心臓が早鐘を打つ。 「お母さん!」  思わず叫んだ声に、美智子が不思議そうに足を止める。 「あら、私に何か用かしら? どこかでお会いしたかしら……?」

海人は彼女の手を強く握った。 「聞いてください。これから起きること、全部僕が変えてみせます。あなたは不幸になっちゃいけない。絶対に!」

ここから、海人の「気まぐれな歴史改変」が始まった。  彼は未来の知識を総動員した。美智子が結婚する予定だったダメ親父(海人の実父)との出会いを阻止するために、お見合いの席に乱入して親父を物理的に排除した。 「この男は博打で借金を作ります! 結婚しちゃダメだ!」  唖然とする美智子を連れ出し、彼は最高の条件を持つ別の青年と彼女を引き合わせた。

だが、一つ変えれば別の歪みが生じる。  美智子が金持ちの妻になれば、彼女は多忙を極め、海人を産む余裕がなくなる。海人の体が透け始める。 「ちっ、これじゃ伝える前に俺が消えちまう。やり直しだ!」

海人は再びタイムワープを敢行した。  今度は美智子が宝くじに当たるように仕向け、強盗に襲われそうになれば未来の武器で撃退した。時には彼女の初恋の相手になりすまし、甘い言葉で彼女を励ました。

「海人さん……あなた、どうしてそんなに私の味方をしてくれるの?」  何度も時間を飛び越え、異なる時間軸で美智子を助け続ける海人に、彼女は不思議そうに、そして少し照れくさそうに尋ねた。

「決まってます。僕は、世界で一番あなたのことが大好きだからです」

海人は笑った。  歴史はもう、めちゃくちゃだ。彼が介入しすぎたせいで、この時間軸の日本は、なぜか彼が持ち込んだ未来技術で超高度文明社会へと変貌を遂げつつある。だが、そんなことはどうでもいい。  美智子の隣に、今度こそ海人という存在が(たとえ息子としてではなくても)健やかに存在できるルートを見つけ出すまで、彼は止まらない。

運命の交差点。  一年前、彼女が命を落としたあの場所。  海人は今、その二十年前の同じ地点に立っていた。  迫りくるトラック。だが、海人はその運転手をあらかじめ催眠状態で眠らせ、車を安全な場所へ誘導済みだ。

「さあ、お母さん。今度こそ、一番大事な言葉を言うよ」

海人は、驚きと喜びに満ちた美智子の顔を真っ直ぐに見つめた。  時空の歪みが激しくなり、次元の壁が悲鳴を上げている。修正力が働き、彼を元の時代へ、あるいは無へと引き戻そうとしている。 そして海人の脳に激痛が走る。激痛が走る。海人はタイムワープ不適合者だったのだ。大事な言葉を伝える前に海人は元の時代に戻された。そしてこれ以上自分はタイムリープを自分では出来ないことを悟った。   

最後までお読みいただき、ありがとうございます! お母さんのために世界さえも作り変えてしまう海人の暴走っぷり、いかがでしたでしょうか。 「親孝行」の形は人それぞれですが、タイムマシンを作って歴史を改変しまくるというのは、究極の形かもしれませんね。

もしこの物語を気に入っていただけましたら、ぜひ感想や評価をお願いいたします! 皆様の声が、海人の次なるタイムワープのエネルギーになります。 次回、さらにハチャメチャになる歴史改変にご期待ください!


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