第5話 ジャムを作れない加工部(ゲテモノを除く)
さて皆さん、
農産加工品と聞いてまず何を思い浮かべるだろう。
多くの人は「ジャム」と答えるのではないだろうか。
味よし。
加工しやすい。
保存もしやすい。
砂糖を入れて煮込むだけ。
瓶を煮沸して詰めれば数か月もつ。
条件が整えば販売もできる。
まさに加工品の王様。
それがジャムである。
――だが、
我が加工部がジャム製造に着手したのは、
かなり後の話だった。
原料がないからである。
ジャムといえば、
イチゴ、ブルーベリー、リンゴ、マーマレード。
少し変わったところで、桃、ブドウ、クリ。
そのほとんどは我が大学でも栽培していた。
……だが、加工部には回ってこない。
というのも、
我が加工部はとても立場が低い。
手に入るのは、
まるごと出荷に適さない規格外品。
その中で、
校内販売に回り、
なおかつ売れ残ったものだけが来る。
だが上記の果物たち、
どれも普通にうまい。
校内販売に出れば、
食糧に飢えた学生たちが、
ゾンビのように群がって買っていく。
我ら加工部の出番はない。
ただ一つだけ、
加工部でも製造できたジャムがあった。
トマトである。
夏場になると有り余るほど採れる。
供給が需要をはるかに上回る。
結果、回ってくる。
ただ問題は、
トマトジャムはなかなかにゲテモノだった。
私の人生初ジャム作りは、
トマトという何ともいえない素材に、
奪われてしまったのだった。
余談だが、
卒業後にサツマイモのジャムが存在すると知った。
それなら作れた。
少し悔しかった。




