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第4話 ナスで市場を崩壊させた話

加工部をやっていると、

他の先生(教授ではない)から、


「これ、どうにかならんか」


という依頼が飛んでくる。


その筆頭が、ナスだった。


ナスは出荷適正の幅がとにかく狭い。

一日見落とすだけで、平気で規格外になる。


イチゴなら、熟れすぎて傷む。

玉ねぎなら、腐る。


だがナスの場合――

巨大化する。


異常なサイズになったナスことお化けナスが

校内販売、もとい加工部へと回ってくる。


幸い、ナスは加工ができる。

そして私は、加熱したナスなら食べられる。


何よりナスは学生の間でも人気だった。


佃煮にしても、

煮物にしても、

漬物にしても、

喜んで食べられた。


消費先があるということは何よりだ。

捨てるものを加工して、結果食べられないなど本末転倒だからだ。


さらに加工部には、

もう一つの仕事がある。


それは根回し。


加工品を渡す代わりに、


「お前の専攻で校内販売が出たら回してくれ」


と頼む。


専攻ごとの内部事情は分からない。

いつ、どんな校内販売が出るとか。


だからこの方法は、意外と機能した。


食堂のご飯だけでは物足りない学生たちにとって、

この取引は悪魔的誘いだった。


――加工品が、貨幣になった瞬間である。

(ただし本当の販売は禁止だった)


そう、加工部はナスで学生の胃袋を牛耳ったのである―――。



だが問題は、やはりナスだった。


アホほど来る。


単位はコンテナで。


最盛期には、毎日。

アホほど来る。


その結果、

はじめは物珍しさもあり喜ばれたナスたちは、

最後にはもう飽きたといわれる始末だった。


私のナス加工品の価値は、

初値の十分の一まで暴落した。


どうやら私は、

ナス市場を崩壊させていたらしい。


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