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ソシャゲで推し全員に課金指輪を贈っただけなのに、異世界で修羅場が始まった件 ~事後から始まる正妻戦争~  作者: 緋色の雨


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エピソード 1ー7

 リーシアとセフィナを相手に二股疑惑。どうやって責任を取れば――と考えていた矢先、レーネから『一度寝たくらいで彼氏面しないで欲しいのよ』と言われた。


 それはつまり――一度寝た……ってこと、だよな?

 口調が『~なのよ』で、ドレス風の戦闘服を纏う金髪の元お嬢様、そんな美少女と一夜をともにしたというのは、男なら大体は羨むようなことだと思う。

 でも俺はあえて、自分が転生する前のレンに言いたい。


 おまえ、節操を知らないのかよ!


 いや、分かるよ。

 そもそも、ゲームと現実をごっちゃにするなってことなんだろう。でも仕方ないじゃないか。転生したことで、ゲームの世界が現実になっちゃったんだから。


 大体、ゲームだとしてもおかしい。エロゲとか、ハーレムモノの作品なら、主人公が複数の女性と関係を持つのは分かる。でも、Chord MAHSはそうじゃない。


 全員とてぇてぇな感じを繰り広げつつも誰とも付き合っていない。そんな風に演出しながら、シナリオ外で全員と肉体関係にあるなんて、そんな爛れた設定あるか?


 そもそも、リーシアとセフィナ、それにレーネと関係を持ってバレていないのがおかしい。それはいくらなんでも不自然……いや、違う。

 これはたぶん、パラレル設定だ。


 課金指輪はその名の通り、課金で増やすことが出来る。

 だけど、本来は一つしかないものだ。

 つまり、課金指輪をプレゼントできる相手は本来なら一人。複数人にプレゼントしているのは、課金による例外。だから、個別ストーリーだけはパラレル設定になっているのだろう。

 言われてみると、各エピソードもそんな感じだった。


 ……って、言ってて怖くなった。

 俺が好感度を限界突破させた女の子の数は数十に至る。まさか、全員と関係を持っているなんてことは……いや、ない。さすがに全員はないはずだ。


 ヴェルターラインのメンバーはともかく、他の組織のキャラもいる。いくら課金指輪で好感度が上限を突破させたとはいえ、接点の少なさ的に肉体関係になる機会なんてないはずだ。

 というか、これ以上の修羅場は本気で勘弁して欲しい。


 ……というか、レーネといつ関係を持ったんだろう?

 セフィナの部屋で飲み明かして、酔った勢いで――というのはわりとありそう話だ。そして、リーシアとの、夜の屋上での情事も百歩譲って分からなくもない。

 だけど――と、俺はレーネのストーリーを思い返した。


 レーネの好感度最大イベントでは、その過去が明らかになる。

 元支配階級のお嬢様で、MAHSが発症して家からも都市から追放された。強気に振る舞ってはいるが、本当は捨てられたことがトラウマになっている。

 ゆえに、彼女は暴走状態に陥ったとき、自分の心の弱さをレンに曝け出してしまう。


 そして課金指輪イベント。

 レンが図書館で本を読んでいるレーネの元に行き、また一人で抱え込んだりしていないかと気遣うシーン。彼女は『レンに打ち明けたら気が楽になったのよ』と言って笑う。


 それから、『また辛くなったら、話を聞いてくれるのかしら』とデレた様子を見せる。そんなレーネに対して、レンが課金指輪をプレゼントして指に填める。

 イベントシーンはそこで途切れている。


 リーシアやセフィナの例に照らし合わせれば、肉体関係を持ったのはその後――ということになるのだが、図書館には他にも人がいるような描写があった。

 ……つまり、人のいる図書館の片隅で初体験を……ということ?


 いや、節操!


 たとえソシャゲがパラレルワールド扱いで、レーネのストーリーではレーネとだけ結ばれた、みたいな展開だったとしても、人のいる図書館で初体験をするな!


 今作のシナリオを書いた奴、どういうつもりで書いたんだよ!? いや、シナリオ自体はまともだったな。変なのは行間の方か……

 誰だよ、シナリオの行間からとんでもない意訳をしたやつは。


 しかし……俺はこの子と寝たのか――と、あらためて向かいに座るレーネを盗み見る。


 金髪のサイドツインで、身長は160センチくらい。スタイルはよく、ドレス風の戦闘服に開いた胸元の穴から見える谷間は深い。端的に言って、魅力的な身体付きをしている。

 この娘と、図書館の陰で……ごくり。


 と、そんな俺の視線に気付いたのか、レーネが前屈みになった。俺の視線の延長上、胸の前に顔を滑り込ませたレーネは、俺と視線を合わせて意地悪な笑みを浮かべる。


「マスター、そんなに私の胸が気になるのよ?」

「べ、別に、そんな訳じゃ……」


 慌てて視線を逸らす。するとレーネは「ふんっ」と悪態を吐くと、席から身を乗り出して俺の胸ぐらを掴んだ。


「なによ。一回で彼氏面できないなら、もう一度抱かせろくらい言え、なのよ」

「は? それって……」


 そういう意味だよなと、俺が理解するより早く、彼女は真っ赤な顔で「時間切れなのよ」と俺を突き飛ばし、自分の席へと座り直してしまった。

 それから、彼女は不機嫌そうな顔でそっぽを向く。

 エンジンの駆動音と、荒れ地を走る新道だけが響いている。そうして気まずい雰囲気の中、俺達はヴェルターラインの施設へと帰還した。

 

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