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ソシャゲで推し全員に課金指輪を贈っただけなのに、異世界で修羅場が始まった件 ~事後から始まる正妻戦争~  作者: 緋色の雨


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エピソード 1ー3

 セフィナは24歳のお色気たっぷりなお姉さんである。

 MAHS患者の幼なじみを救うために研究者になり、旧文明――アーキライン文明の技術を解析、再現するなどの成果をあげ、ヴェルターラインの母体となる研究機関を設立した才女。

 だが、彼女は幼なじみを救うことは出来なかった。


 受け入れがたい絶望に涙して、それでも彼女は研究を続けた。

 いつか、幼なじみのように苦しむ他の誰かが現れたときに救えるように。


 そうして出会ったのがリーシアだった。

 被検体となったMAHS患者のリーシアを幼なじみに重ね、今度こそ運命を変えるために奮闘する。だが成果は思わしくなく、やがてセフィナ自身もMAHSを発症させてしまう。


 彼女の物語は悲劇で幕を閉じるかと思われた。

 だが、レンとの出会いが彼女の運命を変えた。

 レンの持つユニークスキル、調律術式。MAHS患者の暴走を止めうる唯一無為の能力。それに目を付けたセフィナは、アーキライン文明の技術で調律術式を再現、MAHSの症状を抑制する装備、リストレインの開発に成功する。


 これが世界初の、MAHSの症状を抑制する装置。

 セフィナの努力はついに報われたのだ。

 こうしてリストレインの開発者として名を上げたセフィナは、研究機関を母体とした組織、ヴェルターラインを設立し、CEOの地位をレンに委ねた。


 好感度最大のイベントでは、大怪我を負ったリーシアを救うために無理をして暴走、理性を失って死の淵に立つことになるが、レンの調律術式によって救われる。


 そのとき、リーシアを幼なじみと重ね、妹のように可愛がっているのだと告白。

 レンのことは憎からず思っているが、リーシアを優先するという類いの言動をして、レンとは同僚以上恋人未満のような関係になる。


 そんな彼女だから、レン――つまりは俺を好いていたとしても不思議じゃない。ゲームに選択肢はなかったけれど、選択次第では付き合うこともあるだろう。

 と言うか、セフィナのような献身的なお姉様にリードされたいという願望はある。


 でも、俺とリーシアは既に肉体関係がある。それなのに、セフィナとも肉体関係にあるなんて、普通に考えればあり得ない。なのに――と、俺は彼女の言葉を思い返す。


『あの夜のことは、なかったことにしたはずよ』


 つまり、『なかったこと』にするような、なにかがあったってことだよな? 一体なにがあったんだ? いや、そもそも、どの夜のことだ?


 夜、夜……夜と言えば、課金指輪をプレゼントするイベントシーンだ。


 仕事終わりに、医務室で飲み明かす二人、というシーン。

 課金指輪を差し出すも、セフィナはリーシアを優先して欲しいと断ろうとする。けれど、リーシアを護るために、力が必要だろと説得して指輪を受け取らせる。

 そのときの会話はこんな感じ。


『リーシアを護るためにもセフィナの治癒の力は必要だ。だから、この指輪を受け取ってくれ』

『……リーシアのために?』

『ああ、リーシアのために』


 レンがそう言うと、セフィナは少しだけ寂しげに笑った。


『どうしてかしら? 私が言い出したことなのに、少し寂しいと思う自分がいるの』

『セフィナ、俺は……』


 レンが言いよどむ。

 すると、セフィナはすぐに笑った。


『冗談よ。私は必ずMAHSを完治させる方法を見つけるわ。そうしたらMAHS患者だからと差別されることもなくなるし、リーシアの居場所も作ってあげられる』

『そうだな。そのために共に戦おう』

『ええ。期待しているわ、マスター。そうと決まったら今夜はとことん飲みましょう』


 ――と、互いに想い合ってはいるが、あくまでリーシアが優先というエモい会話が繰り広げられ、夜は穏やかに更けていった――という描写で締められる。


 夜と言えば、あのシーンが真っ先に思い出されるけど、そこ描写の中には、なかったことにするようなやり取りはない。

 だとしたら……え? あんなエモい会話をした矢先に、酔った勢いでやっちゃったとか、そんな酷い展開はないよな――と、俺はセフィナに視線を向ける。


 ブロンドヘアの美女、白衣の下には豊かな胸元を強調するようなブラウスを身に着けている。

 大人びて、それでいて献身的。でも実は弱い一面も持ち合わせている。そんな彼女に惚れ込むプレイヤーは少なくない。かくいう俺もその一人だ。


 もしもレンとセフィナが恋仲だったというのなら、俺は迷わずセフィナだけを愛し続けただろう。

 だが、俺は既にリーシアとも関係を持っている。

 なのに、セフィナとそんな関係になるなんて不誠実だ。本当にそんな関係なのか――と、必死に考えるが、俺になる前のレンが、セフィナとそういう関係だったか思い出せない。

 そんなふうに焦っていると、セフィナが自分の胸を掻き抱くように腕を組んだ。


「……レン、私とリーシアの居場所を作るのでしょう?」

「あ、ああ、もちろん、忘れてない」


 セフィナは笑みを絶やさない――が、その声に少し張り詰めた緊張感がある。可能性は高そうだけど、馬鹿正直に俺はおまえと寝たのか? なんて聞けるはずがない。


 もしも寝たのなら責任を取る必要があるのだが……その場合、俺は二股を掛けている可能性が高い。そんな展開は予想外で、どうやって責任を取ればいいか分からない。


 とはいえ、開き直ってハーレムなんて論外だ。だとすれば、覚悟を決めてケジメを取るのが唯一誠実な道と言えるかもしれない。


 まずは事実確認をして、それから誠実な対応を取ろう――と、そんなことを考えていると、アマリリスが目を覚ましたという報告が届いた。

 

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