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ソシャゲで推し全員に課金指輪を贈っただけなのに、異世界で修羅場が始まった件 ~事後から始まる正妻戦争~  作者: 緋色の雨


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エピソード 3ー12

 セフィナから渡されたデータをどうするかはじっくり考えよう。そんなふうに結論づけた俺は、ひとまず束の間の休息を楽しんだ。

 久しぶりにゆっくりと風呂に入り、早い時間からベッドに潜り込む。そうしてうたた寝をしていると、いつの間にか布団の中にリーシアが潜り込んでいた。

 いつのまにか服を脱がされ、リーシアの下着もまたベッドサイドに落ちている。


「マスター、来ちゃいました」


 布団の中からリーシアがちょこんと顔を覗かせる。その仕草が無邪気で――だけど、そこに浮かぶ表情は情欲に堕ちた女の顔。俺は思わずリーシアの顔に手を伸ばした。

 その直後、部屋の扉が不意にノックされた。


 リーシアがびくりと身を竦める。

 俺は慌てながらも、扉に向かって「誰だ?」と声を掛けた。


「私よ。少し話があるのだけど、いま入ってもいいかしら?」

「――っ」


 返ってきたのはセフィナの声。

 悲鳴を上げなかった自分を褒めてあげたい。

 そして動揺しているのはリーシアも同じだ。自分の姉のような存在にこの状況を見られたくないのだろう、不安げに「どうしましょう、マスター」と問い掛けてくる。


「――マスター? 取り込み中ですか?」

「そ――んなことは、ない」


 余計なことを口走りそうになり、慌てて取り繕った。でも、セフィナはそれを入室の許可だと受け取ったようで、「じゃあ、入るわね」と部屋に入ってきた。


 俺はとっさにリーシアを抱き寄せ、掛け布団の中に隠した。とっさに抱き寄せたことで、リーシアの生々しい感覚が素肌を通じて伝わってくる。


「実は研究のことで相談が……あら、お休みだったのね」


 部屋に入ってきたセフィナが、ベッドにいる俺を見て小首を傾げた。


「い、いや、少しうたた寝をしてな」


 俺は服を脱がされていて、掛け布団の中に隠れているリーシアは半裸。ベッドから抜け出す訳にはいかなくて、掛け布団を被ったまま答える。

 その次の瞬間、俺はベッドサイドにリーシアの脱いだ下着が落ちていることに気が付いた。セフィナの位置からは見えないが、彼女が移動したら見えてしまうかもしれない。


「マスター? どうかした?」


 セフィナが俺の視線を追いそうになった。俺は慌てて「なんでもない! それより、相談って言うのはなんのことだ?」と続きを促した。


「あぁ、そうだったわね。いま、ヴェルターラインの予算は潤沢でしょう? だからこれを機に、研究にもう少し予算を割いてもいいかと、聞きに来たの」

「あ、あぁ、予算な」


 予算が潤沢だと聞いてピンときた。ゲームをやりこんでいたから、俺のヴェルターラインは使い切れないほどのゲーム内マネーが貯まっていた。


 ゲームでは、その資金の使い先には上限があったけれど、現実となったいまは違う。

 ……それとも、アップデートで新章が始まった直後だからかな?

 どちらにしても、研究に資金を割り当てることに異論はない。


「セフィナ、研究に必要なだけ使ってくれ」

「……あら、それでいいの?」

「ああ。問題ない」

「了解」


 セフィナはそう言って満足げに笑う。

 だが、そのままたたずみ、立ち去ろうとはしない。


「……セフィナ、なにか悩みでもあるのか?」

 

 さっきの話が口実で、なにか相談でもあるんじゃないかと探りを入れる。でも後から考えれば、たぶんこの状況ではスルーするべきだった。

 だって、ベッドの中には半裸のリーシアがいるから。


 でも、俺は話を促してしまった。そして彼女はそれを待っていたかのように「ええ、実は……」と、上着をするりと脱いだ。続けて、ブラウスのはち切れそうな胸元のボタンを外し始める。


「……セフィナ?」

「マスターが、リーシアのことを愛しているのは知っているわ。私も、あの子の幸せを優先してあげたいと思ってる。でも、時々、寂しくなるのは仕方ないわよね?」

「いや、それは、えっと……」


 まずいまずいまずい! いま、ベッドの中には半裸のリーシアがいる。そんな状況でセフィナに迫られるとか、どう足掻いても修羅場にしかならない!

 というか、リーシアが無言で息を殺しているのが怖すぎる!


 なんて焦っても打開策は思いつかない。

 俺がただ狼狽えているあいだに、セフィナはブラウスのボタンをすべて外すと、続けてタイトスカートのホックを外してストンと落としてしまった。


 魅惑的な下着姿を晒した彼女は、そのままゆっくりとベッドの縁に片膝を載せた。ベッドの側面が軽く沈み込み、反対側にいたリーシアがびくりと身を震わせる。


「ねぇ、いいでしょ、マスター。リーシアとの関係は邪魔しないから、私のストレス発散に付き合って? その代わり、私を好きにしていいから……ね?」


 殺し文句を口にして、セフィナは俺の手を取って自分の胸に押し当てた。ブラ越しとはいえ、彼女の胸の柔らかさがありありと分かる。


 それだけじゃなく、その手の平を通じ、彼女の早鐘のような鼓動が伝わってきた。大人ぶっているけれど、彼女はたぶん相応の覚悟を持ってここに来ている。

 出来れば、彼女にも答えてやりたい。


 リーシアやレーネとも話を付けて、その上で落とし所を見つけたいという思いはある。

 でも、いまじゃないんだよなぁ……と唇を噛む。


「……マスター?」


 俺の反応からなにか感じ取ったのか、セフィナの表情が少し強張った。それから、ベッドの反対側、少し膨らんでいるであろう辺りを見て顔を強張らせた。


「マスター、もしかして――」

「――マスター」


 と、扉の外からレーネの声が聞こえた。その瞬間、俺は反射的にセフィナの身体を布団の中に引っ張り込んだ。その直後、レーネが俺の返事も待たずに部屋に入ってくる。


「マスターが来ないから、私から夜這いに来てやったのよ」


 夜這いに来たと宣言するレーネ。そして布団の中の右側には半裸のリーシア。左側にも半裸のセフィナ。そして俺はズボンを穿いておらず、周囲には服や下着が散らばっている。

 かつてない修羅場を予感し、俺は思わず天を仰いだ。

 

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