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朝起きたら僕は死んでいた。

作者: 柴犬



 朝起きたら僕はもう死んでいた。



 死因はトラックに引かれたからだ。

 しかも十トントラックに引かれてミンチに成った。



 魔の峠と呼ばれる事故多発地帯で。




 トラックに轢かれて僕はミンチにされた。



 自分の事とはいえ死体の様子を事細かく話す気はない。。



 これから御飯を食べ方もる方なら、なおのこと聞きたくないだろう。



 死んだのに何故色々細かな事を知っているのかって?

 簡単な話だ。


 幽霊になって空から見下ろしてるからだ。



 そう。


 幽霊に。



 いや。



 アレは仕方ないと思う。



 雨上がりだったからな。

 焼けた鉄板の様な道路の温度が雨で冷まされて良い塩梅の陽気だった。



 例え道路でも眠たくなったのはもう仕方ない事だ。


 寝てしまった僕をトラックが轢いていったのは想定外だったが。

 


 


 痛みを感じる暇もなく死ねたのは幸運だったと思う。



 と言う訳で事で僕は割り切ってあの世に行くことにした。




 『畜生道転生課』




 という役所に行った僕は課の担当役人の鬼に自分が死んだ事を報告した。


「運が良かったですね。轢き逃げで済んだなんて」

「ええ本当に」


 最早顔なじみと言うべき鬼の役人としみじみと相槌を打つ。


「いつもは蛇に生きたまま食われるのが王道なのに」

「邪道では生きたまま尻にストロー刺されて膨らまされて破裂もありましたね」

「本当に今回は運がいい」

「ええ」


 僕達はしばし雑談する。


「名残惜しいですが、時間ですのでそろそろ転生して頂きます」

「はい」

「次はウシガエルです」

「またカエルですか?」


 今世はアマガエルだったんだが……またか。

 その前はオオヒキカエルだし。


「動物を粗末に扱って貴方は畜生道に落ちたのでこれも仕方ない事ですよ」

「人間だった頃の自分のやらかしが恨めしいですね」

「では準備が出来ましたのでそろそろ転生して下さい」

「はい」



 そうして僕は今度は知性のないウシガエルに転生した。 



 なおその死因はモズの早贄(はやにえ)でした。



 

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― 新着の感想 ―
カエルのケツに爆竹。 人間のケツにダイナマイト。 おおう、恐ろしい。
人間じゃなかったんかーい!
私も知らずにあなたを轢いたことがあると思う。 たぶん、百万回くらい…… ちなみに一回だけ、わんこを轢いたことあります。柴犬でした。
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