17 代償の7日間 -Day2- ③
しかし、このしっかりとした顔つきはどこかで見たことあるような気がする。
そんな横顔を見つつも、扉を開けるとセイサが玄関ながらに一礼してきた。
「こちらに我が娘の居場所を知っている方がおられると聞いてきたのですが・・・」
「フェイズ様、あなたの横にあられる方が目的のお方だと思います」
そして、僕はフェイズと呼ばれた小妖精に目を合わせる。
我が娘って誰のことだろう?
謎めいていると、セイサが耳打ちをしてきて全てに合点が言った。
「フェイズ様はフェインのお父上にあたる方です」
「あ~、なるほど」
「では、会議室の準備をいたします」
先程まで、王様一族との会談が終わったばかりなのに今度は身内の貴族の要件とは忙しいものだ。
確かに、小妖精の貴族なんていうことはホブンから王宮で聞いていた。
だからパーティーの時に接触してくるかなと思っていたが、何事もなく終わったためにすっかり忘れていたことだった。
会議室に移動して正面に椅子が2つあり、手をつくと重そうな表情でフェイズは言った。
「我が娘は、大丈夫そうか?」
「はい、むしろ僕の村では一番しっかりしていますよ」
フェインに村を任せたのには、ちゃんとした理由はある。
フェインは魔法研究の努力で進化の秘薬の量産に成功していたこともあり、力仕事はできないものの戦略を練ることや指南する役としては十分すぎるほどのスキルを持っている。だから、村のことは大抵フェインが基盤で何とかなるのだ。
「あの子がいなくなった時に、私は何もしてあげられなかった。大切な存在がいなくなることは、こういう気持ちなのだろうと王様やセイサ様の気持ちもよく分かった」
王様は妻が亡くなられたことは知っているが、セイサは何かいなくなっているのだろうか?
セイサはそっと出発するための準備をするとか言って二人にしてしまったので僕はフェイズに聞いた。
「セイサは何か失ったんですか?」
「妻だよ。彼は結婚した間もないころに魔王に仕えるために子供と夫がいながらも魔の都へと向かったんだ。あれから6年ぐらい経つが、手紙の一通も届く気配すらないらしい」
「報われないの一言ですね」
魔の都についてはよく知らない。
そもそも、魔の都に住んでいる魔王ではない魔王を倒していたので魔の都についてはよく知らない。
ただ、魔の都については危険区域に指定されているために立ち入らないよう注意することは学習したような気がする。
セイサにもそんな過去があったけど簡単に話せるような事情でもなさそうだ。
「情報提供してくれたことに感謝します。私も実は元勇者一行のメンバーで付与魔術師をしていましたが、仲間に裏切られて今は魔物たちに支えられながら生きています」
「そうですか、あなたのような人に出会えてよかった。魔女に連れ去られたときは実験に利用されるのではないかと怯えていましたが、その研究をあの子が継いでいることを王宮で聞きました」
「僕も何か力になれるわけではないですが、セイサやルウは私たちの村に来るつもりなのです。だから、あなたさえよければ・・・」
「私には妻や息子がいます。ルウの母親ほど非情ではありませんし、小妖精がいなくなったとしても息子の技術は王様にも期待されています。だから、この町に残ることに決めていますのでフェインによろしくお伝えください」
小妖精がいなくなろうと、こうしてこの町に残りたい人もいることを知った。
小妖精では、待遇は良くなかったかもしれないがおる程度はよくなったと言えるだろうけど、フェイズのように残りたいと思える住民も増えていることだろう。それは長い歴史の中で王様に対する信頼の表れだと感じていた。
王様にも最終日にリーベルの答えを聞く予定だから、その時に言う内容として追加をしておこう。
彼が席を立って一礼した。
僕もその後を追って、扉を出たときに大きな声で最後に言った。
「私の村にいつかは来てください!」
返事はなかったけど、おそらく聞こえていたとは思う。
さて、戻ってルウの部屋の片づけをするか。
そう思って窓を見ると、ホブンがもう終わりかけの作業に取り掛かっているところに目をやる。
この調子なら明日、明後日には村に戻ることが出来そうだな。
ルウの部屋に急いで戻ると、ルウがパンドラと共に片づけをしている姿が見受けられた。
扉の音でルウとパンドラはこちらに気付いた。
「おかえり、遅かったね」
「キィー」
この子も子竜の母親は未だにあったことがない。
その内に僕の村の噂がどんどん響き渡ればそのうち会えるかもしれない。
魔物の家族関係は人間よりも思った以上に複雑である。
だけど、フェイン、ホブン、白尾、ルウ、パンドラ、セイサ、屋敷の執事やメイドと小妖精や狼たちと仲間が集まってきた。
そして、衣食住を揃えるものがいることが重要である。
だから、明日からは困っている人を助けつつ3つのどれかを持つ黒妖精をスカウトしなければならない。
荷が重いけど、僕以外にやるのは難しい。
それにこれだけ発展している町だから、それなりに優秀な黒妖精もいるだろう。
明日からも頑張るかと思いつつもルウの片づけを手伝うことにして2日目は終わった。




