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月と恋

作者: シータ

<第1章:1日目>


「月って美しいよね。」と、私は彼に言った。


「うん、本当に美しい。」彼は微笑みながら返答した。


私たちは月明かりの下で手を繋いで歩いていた。彼と一緒にいると、何でも幸せな気持ちになれる。


「こんな夜は、いつまでも一緒にいたい。」私はささやいた。


「私もそう思う。」彼は私の手を強く握り返した。


私たちの出会いは、あまりにも普通だった。大学の同級生として、授業でたまたま隣になった。当時は、彼と何を話していたのかもあまり覚えていない。ただ、彼と一緒にいると、どこか落ち着く気がした。


彼が私に興味を持ってくれたのは、半年後だった。サークルの飲み会で、彼が私に声をかけてくれた。「明日、映画でも見に行かない?」と。


私は戸惑った。彼は、私に好意を寄せてくれているのかもしれない。でも、もし付き合ってしまったら、もしも別れたら…。考えるだけで、怖くなってしまった。


でも、彼はそんな私を優しく受け止めてくれた。飲み会が終わって、家まで送ってくれた時に、私にキスをしてくれた。それが、私たちの恋愛が始まるきっかけになった。


「こんな夜は、いつまでも一緒にいたい。」私はささやいた。


「私もそう思う。」彼は私の手を強く握り返した。


私たちは、あの夜、月明かりの下で、互いに気持ちを確かめ合った。


<第2章:2日目>


私たちは新聞の見出しに驚いた。「7日後、月が地球に衝突。人類は滅亡の危機に」。私たちは言葉を失った。


「俺たちはどうすればいいの?」彼は落ち着かない様子で私を見つめた。


「わからない。でも、とにかく一緒にいよう。」私は泣きながら彼に抱きついた。


彼も私を抱きしめて、しばらく何も言わなかった。


私たちは、世界が滅亡することを知った。それでも、私たちは二人でいられることが唯一の救いだった。


「世界が終わるのに、こんなにも平凡な毎日が続くと思ってた?」彼がそうつぶやいた。


私たちは互いの手を握り締めながら、今までの人生がいかに当たり前で、ありがたみがなかったかに気付いた。


しかし、この事態は受け入れることができず、考えたくもない。それでも、私たちは少しずつ前へ進んでいかなければいけない。


<第3章:3日目>


私たちはテレビでニュースを見ていた。人々はパニックに陥っていた。


「あの、私たちは……」私は声を震わせながら言葉を続けた。「一緒にいたいって言ったけど、もしも私たちが生き残ったら、どうなるの?」


彼は深く考え込んだ後、やさしく微笑んだ。「それは、その時に考えよう。今は、ただ一緒にいよう。」


私は彼の言葉に救われたような気がした。


「でも、あなたがいなくなるなんて、私には想像できない。」私は彼の手を握り締めた。


彼は私の顔を撫でて、微笑んだ。「僕も君がいない世界を想像できないよ。だから、今は互いに、大切にしていこう。」


<第4章:4日目>


私たちは映画を見に行った。映画館は誰もいなかった。


「こんな状況でも、私たちが普通のことをしているというのが不思議だね。」彼は冗談めかして言った。


私たちは映画を楽しむことができた。でも、その後、私たちが生き残ったとしても、このような日常は二度と戻らないのだということが、私たちの胸をしめつけた。


映画館から出て、私たちは駅前の公園を歩いた。夜空には、いつもとは違う光景が広がっていた。


「こんな夜は、何もかも変わってしまった気がする。」私がつぶやいた。


彼は私の肩に手を置き、優しく声をかけた。「でも、あなたがいる限り、何もかもが大丈夫だよ。私たちは、夜空に目を向け、世界の綺麗な風景に身を委ねた。それまで当たり前だと思っていたことが、不思議なくらい綺麗に感じられた。


<第5章:5日目>


私たちは夜、星を見上げながら話していた。彼が手作りのリングを私に渡した。


「これ、君のために作ったんだ。」彼は微笑んで言った。


私は涙を流しながらリングを受け取った。「これからも、ずっと一緒にいようね。」


彼は私の顔を優しく撫でながら、微笑んだ。「もちろん、一緒にいるよ。どんな時でも、君と一緒にいたい。」


私たちは、手を握り合い、その場にいた時間が永遠に続くように、願った。


<第6章:6日目>


私たちは家にいて、一緒に過ごした。もう、どうしようもないことを受け入れなければいけないという現実が、私たちの心を押しつぶす。


彼は私を抱きしめて、優しくキスをした。「ありがとう、君がいてくれて本当に良かった。」


私は彼の胸に泣きじゃくると、彼は黙って私を抱きしめてくれた。


その後、私たちは、家の周りを散歩して、もう一度空を見上げた。夜空には、明るく輝く月が、いつもよりも大きく見えた。


彼は私を抱きしめながら、口を開いた。「明日、どこかに行こう。思い出を作ろう。」


私たちは、明日に向かって前を向いていた。


<第7章:7日目>


私たちは手を繋いで、外に出た。人々はみんな、家を出て、外で生きることを決めた人々と一緒に過ごしていた。


空には、月が巨大な影を落としていた。私たちは、それを見つめていた。


「私たちが生き残れたら、どうする?」彼が小さな声で言った。


私は彼に向き合い、言葉に詰まるように答えた。「もう、どこに行こうとも、あなたと一緒にいたい。」


彼は、私の手を強く握りしめた。「僕も、君と一緒にいたい。」


私たちは静かに立ち上がり、人々が集まる場所に向かった。誰もが、次に何が起こるかを知っていながら、希望を持ちながら生きていた。


「愛してるよ。」彼が囁いた。


私は彼の目を見つめながら、答えた。「私も、あなたを愛してる。」


私たちは、そこでキスをした。これが、私たち最後のキスになるかもしれないと思うと、涙があふれて止まらなかった。


その後、私たちは月の衝突を受け入れ、地球は滅びた。私たちの愛も、永遠に封じられたままだった。


しかし、私たちはこの7日間、本当に一緒にいられた。それだけで、私たちは救われた。そして、愛が生きている限り、私たちが生きていたことを証明できた。


彼女たちは、滅びが待つ世界で、ひたむきに愛を育んでいた。


その世界において、二人が偶然出会った。ただの大学の同級生だったが、ある日を境に、二人は恋に落ちた。


世界が滅びることを知っていながらも、二人はそれを受け入れることができず、寂しさと恐怖に襲われた。


しかし、彼と一緒にいることが、二人の救いだった。ある日、彼女に手作りのリングをプレゼントした彼の言葉に、彼女は胸を打たれた。「もし、生き残ったら、どうする?」。彼女は答えた。「もう、どこに行こうとも、あなたと一緒にいたい。」


そうして、二人は生きていることを証明した。

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