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2016/8/5(金)~初めてのうみさん(中盤)~

【登場人物】


うみ…本作のヒロイン


木村拓夢…ぽっちゃり体系で最古参の一人


平野明哉…ウィッグを被った最古参の一人


山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)


中田…この日だけいたうみ推し


中田の友人…特筆すべき点が無い中田の友人



~初めてのうみさん(中盤)~


「ここ座ってください!」


そう言われてうみさんに案内されたのは12席あるカウンターの

ちょうど真ん中の席であった。


鞄を椅子の背もたれに掛け、着席する。

フッと隣を見るといつぞや見た金髪のお兄さん。


「あ、平野さん!」


「山中さんじゃないですか、奇遇ですね!」


響さんの時に一緒に話をしていた平野さんであった。


「あれ?二人は知り合い?」


うみさんが純粋な表情で聞いてくる。


「前に来た時、一緒に話してたんです」


何の捻りも無く、ただ事実として回答する。


「そうなんだー

 平野と隣の木村、私のお客さんだからよろしくね」


『木村?誰それ?』


猫をも〇めてしまいそうな好奇心で平野さんの隣を見ると

若くて小太りの眼鏡をかけた、如何にもな秋葉原住民が座っていた。


「山中です、よろしくお願いします」


「木村です、こちらこそよろしく」


決して社交的な訳では無いが、コミュニケーションはしっかりと取れるタイプのオタク。

第一印象はその様なイメージであった。



「山本さん、私の事推してくれてるんだって」


うみさんが平野さんと木村さんに私の役割?を紹介をする。


…あとうみさん、俺の名前間違えてるで。。。



名前の訂正をした後、お二人にも割とストレートに聞いてみる。


「お二人ともうみさん推しなんですか?」


「うみちゃん推してるー(ハート)」

「まーそんな感じです」


ストレートな回答の平野と斜に構えた木村。

なるほど、薄っすらとだが人間性が見えてきたぞ。



とりあえずウーロンハイを頼み4人での会話をスタートさせたが、前回と同様に

平野がスマホで動画を見せながら、ダンスの話をする。


「極楽〇土が云々、代々木公園で云々」


正直、死ぬほど興味の無い話。

極〇浄土と代々木公園以外は全く記憶に残っていない。


そしてうみさんと木村の表情や仕草も観察してみたが

私と同じ事を考えている様子。



このまま貴重な時間が無駄に流れるのが嫌だったので

区切りのいいタイミングで話題をチェンジ。


「あまりバーってきたことないんですが、皆さんお酒すきなんですか?」


すかさずうみさんが答える。


「私、12月の誕生日来るまでは未成年だし、お酒は飲むとすぐ気持ち悪くなるから飲めない」


なるほど、うみさんはまだ未成年らしい。


「私はジャックハニーの牛乳割です」


木村、おしゃれなものを飲んでいる。


「僕はブラック・ルシアン」


平野、さらに訳の分からないお酒を飲んでいる。

アニメキャラかなんか?


自身の目の前にあるウーロンハイを見て、少し出遅れている感を感じながら

テーブルの上をちらっと見る。



その刹那、とんでもない視覚情報が脳内に飛び込んでくる。



うみさんの前にPポムというボトルがおいてある。

スパークリングアップルジュースで金額は8000円らしい。


『ふむ…あとは木村さんの出方を見て決めるか』


山中総研の調査で、この店で一番高いノンアルボトル(Sゴールド)が10000円。

その下にSロゼとPポムが8000円があるのは把握している。


『木村さんがSロゼを開けたらゴールドだな』


伏竜鳳雛のごとく、じっと耐える時間。

そう自身に言い聞かせながら会話を続ける。



お酒の話からアニメの話に移り、少し中弛みの会話が続く。



気づけば時刻は1時20分。

うみさんの前にあったボトルが空になる。


「何か貰っていいですか?」


どうやらメイドさんはグラスやボトルが空になると追加で貰わないといけないらしい。

そのうみさんの問いかけに木村がすかさず反応。


「Sロゼで☝」


『若者には負けない』


自身の描いていた希望通りの展開に表面では木村へ賞賛を送りつつ

内心ガッツポーズ。



あとはタイミングを見計らって最後に私が開けるだけ。


そんな都合のいい事を考えていた。



しかし予定外の事態は起こるもの。


「お兄さんたちはその女の子が好きなんですか?」


平野とは逆方向にいた30前後の人に急に声を掛けられる。


「僕たちはうみさんを推しです」


そう言って当たり障りない回答をすると、さらに


「僕もその子、可愛いと思ってたんです」


と言ってくる。


「ごめんなさい、こいつ酔ってるみたいで」


被せるようにお兄さんの更に隣に座っていた友人の方が我々へ謝罪してくる。


話を伺うとお兄さんは中田さんという方で、飲める場所を探して

偶然アルブムに辿り着き、うみさんに好意を頂いたらしい。


酔っているとは言え、同じ女の子を可愛いと思っている訳だし

無下にするのも心が痛むので、一緒に飲むか確認しようとしたところ


「うみ推しなら仲間です、一緒に飲みましょう!」


平野の強カットインが入る。


「飲みましょう!」


中田が力強く答える。



そうして秋葉原の夜は更に更けていく。

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