表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/51

2016/8/5(金)~初めてのうみさん(前半)~

【登場人物】


うみ…本作のヒロイン


山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)



~初めてのうみさん(前半)~


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

人生で、あの選択さえなければ…という出来事はいくつかあるが

この日は間違いなく、その一つであっただろう。


離婚して以降、表面では楽しく面白くふるまう事もあったが

心の中では靄が掛かったようにスッキリしない状態が続いていた。


このまま何となく仕事をして、一人孤独に死んでいく。

何が楽しくてこの人生を生きているんだろう。


靄の向こうに朧気ながら自分の人生の終着点が見えていた。



彼女の存在はそんな靄を晴らしてくれる救世主なのか。

それともまやかしの希望を与える悪魔なのか。


この答えは本作が完結する際に書きたいと思う。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


7月最終週、私は体が宙に浮くのではないかと思うほどウキウキであった。


理由は一つ。


8月1週目に研修があり、8/6、8/7と8/13、8/14が休みだったのだ。


『これは4日ともうみさんに会えるチャンス…』


これも偏に、人生を頑張っている私へ神様がくれたプレゼント。

そう思っていた。


ただ、結論から言えば8/6と8/7はアルブムに行きはしたもののうみさんが不在で

会う事が出来ず、肩透かしを食らう。


パチンコで81%継続のRUSHに入っても肩の力が入っていると

単発で終わる事も珍しくない。

そんな事例を真似たような2日間であった。


なお、誰とあって何の話をしたかはポイントカードを見てもわからなかった。


神に祈りは通じなかった様だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ちなみにポイントカードは1000円で1P、50Pで1枚となっており

貯めた枚数によって特典が変化する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



そして満を持して8/5の夜…北関東の自宅を出てアルブムに向かう。


髪型はもちろん、ひげ、眉毛、鼻毛まで入念に処理し

シャワー後に香水を2プッシュ。

口は歯磨きの後にマウスウォッシュ。


服は清潔な印象を持ってもらうために白のポロシャツ、靴は某メーカーの人気シリーズ。



ロールプレイングゲームで例えると、レベル99にしてラスボスに挑むとまではいかないが

スキルをマックスにする等、考えられる中で最高の準備をしたつもりである。



そして23:00、決戦の地 秋葉原に到着する。



いつもの道順でいつもの歩幅で、いつも通り。

B型男性の大好きなルーティーン。


エレベーターに乗り、7階のアルブムへ。


エレベーターの階を示す表示が一つずつ上がっていく。


永遠とも思えるエレベーターの動きが止まり、扉が開く。


聞き慣れた入店の音。


来た、俺の戦場だ!!



(心の)勢いは凄まじかったが、予想外の事態が起こる。



「いっらっしゃいませ~!」


そこには7月の夜に見た、この一か月待ちわびた

うみさんがお出迎えで対応してくれたのだ。


「こんばんh」


そんな私の挨拶を遮るように、うみさんが言う。


「最近見かける人だ!」


『は?え?なんでうみさんが私の事を!?』


うみさんが私を認識していたことが死ぬほどうれしかった。

まだ世の中捨てたものじゃない、そう切実に思った。



「誰か女の子に会いに来たんですか?」


サッカーで言えば足を出しただけでゴールになるような

そんな質問がうみさんから投げかけられる。


「うみさんです。

 最初に見た時からお話してみたいと思ってました!」


もう、これしか言えない。

今の幸せを120%感じたくて、余計な事に思考力を割けない。



「え?本当ですか?嬉しいです!」


「よ、良かったです」


人間、嬉しいときは単純な反応しかできない。

うみさんのその答えに昇天する様な気持ちであった。



「今、2人お客さん来ているから一緒でもいいですか?」


「大丈夫です」



そうして席へ案内される。


うみさんも私も想像できなかった。

儚いようで濃かった2年4か月の物語がここからスタートする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ