2017/1/23(月)~生誕イベント前祝い(後半)~
【登場人物】
うみ…本作のヒロイン
山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)
~生誕イベント前祝い~
前半の会話が落ち着いて、気づけば日が変わって0時過ぎ。
土日なら騒がしい時間帯も、平日ならば静かなもの。
それに店内には私とうみさん、HITOCさんしかおらず誰かに気を使って会話をする必要もない。
お互いそんな空気を読み、どちらからともなく生誕イベントの話を切り出す。
論点はイベント特典と懸念点の二つ。
話の流れが分かりやすいように懸念点の方から説明していく。
私がアルブムに行っていない2ヶ月で平野と木村の仲が決定的に悪くなっているとの情報をうみさんやユリア、HITOCさんから入手していた。
相手を煽ったり煽り返したり、隣同士が嫌だからと席を離れさせたのにうみさんが自分に付かないと店にクレームを入れたり。
ひどい時には病んで震えながら泣いたり、切れて露骨に不機嫌オーラを出して店全体の空気を悪くしているとの事。
お互いがお互いを倒せばうみさんが手に入る…その低レベルな思考の更に下を行く戦い。
そもそも、それでうみさんが自分を好きになってくれるってどんなロジックで考えていたのか気になるところ。
そしてその争いはイベントの特典をキッカケとして更に大きなもめ事を発生させるのでは無いか…キャストやHITOCさんはそう感じていた様だ。
断片的ながらも情報を聞いていた私も同様の考えを持っていた。
ちなみにイベント特典は金額に応じてランチェキ(キャストが用意していたチェキをランダムにプレゼントされる)がもらえるというもの。
正直、チェキというものに全く興味は無いが、お金を使って得られる特典なのであれば遠慮なく頂くのが私のスタイル。
その点、木村も同様の考えで使用した金額分の特典を得たいというものであった。
逆に平野は全チェキが欲しいので、全員のチェキを一旦回収し作成したレプリカを平野自身が所持。
原本は本人に返却する意図があったようだ。
仲がいい間柄ならば、それも成立しよう。
しかし、現在の二人は決定的に敵対している状態。
平野の提案を木村は拒否し、私も他の人にチェキを触られるのが嫌だったので断った。
自分の力(お金)で得られた結果ならば、お互い納得するであろう…私はそう考えていた。
この時点で1つ懸念点を挙げるとすればイベント特典の管理はユリアがするとの情報。
あの二人をうまく捌けるイメージが全くつかなかったのは杞憂なのだろうか。
こうして表面上は落としどころを見つけてイベントを迎える事になったのだが。。。
そんな暗い話を続けても生産性が無いので、改めてSゴールドを入れて話をうみさんの誕生日に切り替える。
「遅くなりましたが、お誕生日おめでとうございます。
これで成人(当時は20歳)の仲間入りですね。」
使い古されているからこそ陳腐なセリフ。
でもこれ以上の表現が思いつかない。
「ありがとうございますー」
いつものあまり感情がこもっていない顔と表情で丁寧に回答するうみさん。
そんなうみさんを横目に見ながら鞄をゴソゴソしている私。
本当はスッと出したかったのだが、持って来ていた時計が鞄の奥の方に行ってなかなか出せない。
私の人生、そんなのばっかり。
マントルまで埋もれているのかと思うくらい深い場所にあったプレゼントを取り出し、うみさんにプレゼントする。
「イベントの日だと平野や木村がいて病んだり怒ったりすると嫌なので、今日お渡ししておきます。
普段、うみさんは腕時計をされていないので腕時計買いました。」
するとうみさんはとても喜んでくれ、大切そうに自身の鞄にしまいに行った。
戻ってきたうみさんが、開口一言目に
「山中、よく見てるね」
と『私のこと観てくれてるのね』or『この変態』のどっちとも取れる発言をしてきたので、前者である事に私の好感度を全ツッパして
「うみさんしか見えないです」(みささんの谷間を覗いていたのは無視して)
と発言…今思うとかなりキモイな。
するとうみさんから
「どういう所見てるの?」
と、少し面倒くさい女の様な質問が来たので
「他のキャストが嫌がってやらない洗い物や片付けを率先して実施している。
あと場の空気を壊さない為に平野と木村を頑張ってコントロールしようとしている所、すごくまじめで素敵だと思います。」
と、この作品が始まって以来、最長のセリフで返す。
すると少し涙を浮かべたうみさんが
「山中、いつもありがとね」
と感情たっぷりに答えてくれた。
あまり分かってくれる人は多くないが…むしろ分かってくれる人がいない方がいいが、これがうみさんの魅力である。
褒められ慣れていないので、きちんと長所を褒めるとすごく喜んでくれる。
プライドや自己肯定感が高い女性は私の性格からも戦い方からも苦手としており、うみさんの様に自己肯定感が低い人の方が合うのは昔から知っていた事。
それをこの時、再認識した。
ちなみに私も自己肯定感が低いとよく言われるので、こうしてくれたら・こう言ってくれたら嬉しいなをそのままアウトプットするだけなのですごく合う。
楽しい、幸せな時間はアッという間に過ぎ、気づけばお会計の時間。
うみさん以外にもう一人キャストが出勤していた様で、時たまお客さんを引いて来ていたがほとんど貸し切り状態の一日。
HITOCさんも私に気を使ってか時たま上の階にある系列店(深夜営業はしてない)に移動して本当に2人だけの時間もあった。
帰り際にうみさんが
「山中、今日もありがとう。
お前が私の客で本当よかった」
と言ってくれたのは未だに心に残っている。
もちろん感動したという意味で。(ため口は気にしないスタイル)
そんな充実感の中、凍てつく寒さと戦いつつ秋葉原駅に到着。
上野で常磐線に乗り換えて眠りにつく初月の早朝。
そして次回、物語の一つのターニングポイントを迎える。




