2016/11/25(金)~木村の考え~(後半)
【登場人物】
うみ…本作のヒロイン
木村拓夢…ぽっちゃり体系で最古参の一人
平野明哉…ウィッグを被った最古参の一人
山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)
~木村の考え~
「そういえば木村さんはどちらにお住まいでしたっけ?」
上野駅までの道中、木村の考えを聞きたしつつ生誕イベントの交渉を行う。
この主題を忘れたわけではなく、心の距離を推しはかる為に他愛もない会話からスタート。
「王子です、上野から京浜東北線で20分くらいですかね」
「へーめっちゃ近いんですね!
私は1時間半くらいかかるので大変です(苦笑)」
「茨城県から毎回来てるのはすごいと思います(笑)」
上記の会話から木村が必要以上に私への警戒心はもっていないと推測ができた。
そこでもう一歩踏み込んでみる。
「なぜ秋葉原から京浜東北線じゃなく上野まで歩くんですか?」
平野と一緒に帰りたくない、若しくは他の明確な理由があるはず。
木村は基本的に頭がいいので無駄な事はしない。
私はそうにらんでいた。
「ダイエットを兼ねて歩いてるんです」
帰ってきた回答は概ね予想の範疇。
私よりも一回りぽっちゃりしている木村。
うみさんと出会ってダイエットを決意したみたいだ。
「お酒飲んだ後にすごいですね!
私も見習わないと…」
私の得意な相手を持ち上げる作戦、これでもう一段階奥へ踏み込む。
「内緒の話なんですが・・・」
「ん?なんですか??」
『待っていたぜ、この瞬間を!!』
「私、契約社員なんですが2月の正社員試験受かってダイエット成功したらうみが付き合ってくれるって言ったんです」
木村の少し照れくさそうな表情からとんでもない内容が私の耳にインプットされる。
それは先週平野から聞いた情報とほぼ同様のものであった。
うみさんは逆ハーレムでも作るつもりなのかな?
自分で自分の首を絞めているよと思ったが、その言葉を飲み込む。
「そうでしたか、それは頑張りどころですね!」
諄い様だが私はこのタイミングではうみさんへ異性としての好意は抱いていない。
よって純粋に木村の応援をしようと決意。
私もダイエット経験がある事から効果的なダイエットや木村の生活に合わせたダイエットなどを共有。
どうやら甘いものを辞めてプールで泳ぐらしい。
基本的だけどリバウンドもしづらくいいダイエットだと思う。
※結果は後日談として記載予定
この頃には御徒町まで来ていて、イベントの話に切り替える。
「話変わりますが平野が言ってた生誕イベント、どうしますか?」
さっきまでの惚気が入った表情から一転、不機嫌そうな顔になる木村。
これって俺のせい?
「基本的には自分で考えたものを自分でやりたい
それでも平野が協力してほしいというのなら明確な計画を提示してもらわないと回答も出来ないです」
「木村さん仰る通りだと私も思います
どんぶり勘定で30,000円徴収って言われても気持ちよく出せないですよね」
一先ず木村と同意見だったので、共感を示す。
「それで協力してくれないとか責任押し付けられたら悪いですが、あいつを潰します」
木村、渾身のイきり。
『そこまで怒らなくていいのに…』
そう思いつつも、うみさんに迷惑を掛けないように治めるのも私の仕事。
「3人が迎合できるポイントを平野と調整します
恐らく平野のプランを大幅に縮小させる形で」
そもそもの元凶はこちらが呑めない要件を突き付けてきた平野である。
自身で調整できないのであれば、当初計画は諦めてもらうまで。
「ありがとうございます
よろしくお願いします」
感謝の言葉を口にする木村に悪い感情は抱いていない。
『さて、平野ともう一回話し合いますか』
正直、これ以上面相臭い展開にならないように祈るばかり。
ちょうどこの会話が終わったタイミングで上野に到着。
木村と別れ、一人常磐線の電車に乗り込む。




