2016/7/22(金)~ウィッグを被った男との出会い(前半)~
非モテオタク達がメイドカフェでガチ恋になったら同担拒否で週末戦争
【登場人物】
うみ…本作のヒロイン
平野明哉…ウィッグを被った最古参の一人
山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)
~ウィッグを被った男との出会い(前半)~
翌週の仕事中
「山中、ここ間違えてるぞ!(怒)」
上司からの怒声である。
計算能力に優れるという触れ込みで、予算の管理や日々の進捗確認。
進捗に応じた修正や企画書の作成などを任されていたものの
企画書に単純な計算ミスがあり、部長から指摘されたとの事。
『こんなミスした事なかったのに…』
当時は敢えて原因として考えないようにしていた。
だが、常に頭の片隅では一人の女性の事を考えており
注意力散漫であった事は否めない。
『次はいつあえるかなぁ…』
家に帰るとSNSでうみさんの出勤情報を調べ、自身のシフト表と
にらめっこする日が続く。
後になって思えば、この頃が一番メイドカフェを楽しんでいたのかもしれない。
※敢えて言っておくが、この時点ではまだまだ全然ガチ恋ではない
そうした苦悶の日々を送る事1週間…ついにうみさんの出勤日と予定が合う。
人間のポテンシャルというものは想像以上であった様で
残業3時間コースの仕事を定時内に片付け、準備をしていざ秋葉原へ。
ただ実際にうみさんが出勤する時間は22時となっており
シャワーを浴び、食事をして秋葉原に到着したころには21時30分。
うみさんの出勤時間より30分早くついたので、夜の秋葉原をブラブラ。
コンクリートに残っている夏の日差しの温もりを感じつつ人波に逆らわず
電気街の大通りを散策。
…前回は気にならなかったが深夜の秋葉原、メイドさん多すぎだろ。
バックパッカーの人が書いた本に出てきた東南アジアの夜の光景にそっくりだ。
しかもやたら露出してる人もいるし…この国大丈夫か?
一番大丈夫では無い男が余計なところに思考を巡らす。
そうこうしてるうちに22時。
当時はキャッチという文化を知らなかったので、アルブム(お店の名前)へ向かう。
雑居ビルの7階にアルブムはあり、エレベーターで昇っていくのだが
気分は某豪華客船が沈没する映画のラストシーン。
そしてヤヌス門の様に重厚な門扉が開くと…そこには大音量のBGMと
お酒、食べ物の臭いが混ざった異様な空間が展開されていた。
『うみちゃんいるかなー』
そう思いながらお店に入ったが、案内された席には別の女の子が立っており
隣に若くてイケメンなお兄さん、その隣に派手髪の顔立ちが整ったお兄さんが座っていた。
「山中です」
「イケメンです」
「明哉です」
初対面であったが、その場の社交的な雰囲気に流され互いに名乗って挨拶をする。
『二人とも爽やかだなー』
などと呑気な事を考えていたが、その派手髪の男こそ
後のキングオブガチ恋、平野明哉であった。