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2016/11/5(土)~閑話休題・本当の幸せ~

【登場人物】



山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)



~本当の幸せ~


私の地元は自然豊かな四国である。


海と山が近いので四季の移ろいを感じやすく、若い時よりも歳を取ってからの方が楽しめそうな場所。


実家のリビングから外を見渡すと手前の小川に一面の田畑と遠くに山脈が見える。


初夏には蛍が飛ぶ目の前の小川は山中家の自慢だ。



11月となれば田畑は収穫が終わり、中秋まで深緑に覆われていた山々は薄茶色一色となる。


このもの寂しそうな景色も私は好きである。



時刻は午前11時、最寄り駅に両親が迎えに来てくれて車で実家へ。


そして久しぶりに会った息子を嬉しそうに見ながらコーヒーを入れてくれる母親。


父は庭の手入れがあると言って庭の芝生を手入れしている。




家を出た十年前と何ら変わらない光景を見ながら、晩秋の景色に少し感傷的な気持ちになる。


『あ、そういえば前帰ってきた時はまだ離婚してなかったな』


後悔も未練も無い、事実として思い出す。



これ以上、景色を見ていては後ろ向きな気持ちになりそうだったので暫く休むと言って2階の自室に行く。



ここも何も変わっていない。


20歳のころに仲のいい4人で全裸で山奥の川に飛び込んで撮った写真。


隣県へ小旅行そた写真がコルクボードに飾ってある。



本棚のアルバムには学生時代の友人や社会人になってすぐ別れた彼女の写真があった。


あの頃から10年…10年ひと昔というが本当に過去となってしまった。



そして封印されし結婚式の…これは見なかった事にしよう。



そうこうしながらゴロゴロしていると、急に元気な声が聞こえてくる。


『おっちゃーーーーん!!』


私が帰省すると知って妹が姪っ子2人を連れてきたので。



これはもうゆっくり休むわけにはいかない。



普段は温和で面白いが、定刻にご飯が食べられないと怒る父の昼飯も兼ねて両親と妹、姪っ子2人で行きつけのうどん屋さんへ。


「ぶっかけ、特大でお願いします」


慣れ親しんだフレーズを標準語で伝えると、店員さんが地元の人でないと心配したのか


「特大は3玉ですが大丈夫ですか?」


と確認してきた。


これでも昔は6玉食べてたんだけどな(ニチャア)



家族で私以外は全員小を頼んでいたのに、食べ終わるのは私の方が早いという奇跡。



うどん屋に長居は無粋なので家族全員が食べ終わったタイミングで帰宅し、姪っ子と庭のジャングルジムで遊ぶ。

※父の特性ジャングルジム


そうこうしていると隣に住む90を超えて少し痴ほうが進んできた祖母がやってくる。


庭では父が芝生をいじっている。


ここに親子4世代が揃う。



しかし祖母は姪っ子の事を認識しておらず、私の名前も2回に1回は間違える。


それでも小さくて優しそうな祖母を私と姪っ子でフォローしながら土いじりやお手玉で遊ぶ。



本当の幸せとはこういったものを言うんだろうな…と切実に感じた。



結局、14時から17時くらいまで遊んでクタクタになる。


そういえば昨日寝てないんだっけか。



妹の旦那さんが仕事終わる時間になり、姪っ子2人と帰宅。


そして私は家の食材を使用して、両親にお手製料理をふるまう。



両親は共働きで時短や作り置きできるおかずが多かったため、ぶっちゃっけ母親より料理はうまいと思っていた。



だが、味付けが関東と関西で違う影響からか父親から


「母さんの作った方がうまいぞ」


と言われたのショックだった。



気を使ってくれたのか晩御飯後に1本1万位するワインを両親が開けてくれ、チーズをつまみに飲酒。


ワインは飲まないので味はわからないが、何となくおいしい気がした。(気がしたレベル)



気づけば既に23時。


40時間以上起きている計算になる。



「ごめん、眠いから先に寝るわ

 おやすみ」


そう言ってベッドにダイブして、すぐに意識を失う。

※シャワーは11時の帰宅後に入っている


本当の幸せとはどんなものなのか、教えてくれた貴重な日であった。

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