2016/9/26(月)~これが…イベント!?(前半)~
【登場人物】
みなかみ…今回の登場キャスト
修さん…アルブム経営者の一人で頭脳明晰なビジネスマンタイプの人
広さん…アルブム経営者の一人でイケメンだけどいたずらが過ぎる人
新浦さん…アルブム経営者の一人で何をしゃべっているかわからない人
HITOC…アルブムの時間帯責任者
山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)
~これが…イベント!?(前半)~
皆さんは次のスペックをみてどういった印象を持つだろうか?
・お嬢様(実家が超有名企業の経営陣)
・高身長
・股下90cmくらいありそうな脚
・有名コスプレイヤー
筆者的にはアニメのヒロインにでも居そうな超ハイスペックだと思う。
その人物こそ、今回の登場キャストみなかみさんである。
このみなかみさん、実は初めてアルブムに行ったときに案内してくれた女の子であった。
窮地を救って頂いたのもあって、いつかお礼をしたいと考えていたところ誕生日イベントの話を聞いたので参加しようと思った次第となる。
もちろん大前提として、うみさんの誕生日イベントの予行演習も兼ねてである。
2016/9/26(月)、日中に木村と時間調整を行う。
『木村さん、何時くらいに行きますか?』
『日を跨いでからですかね。』
『承知しました、私は22時くらいに行くのでよろしくです。』
『わかりました。』
そもそもみなかみさんとは初対面の時以来、コミュニケーションを取っておらず一人でいくのは心細い。
特に深夜となれば色んな客層が集まってザワザワしているので、そこでポツンと7時間過ごすのは拷問の類である。
一抹の不安を抱えながらも木村と約束した手前、22時直前に店舗に着く。
アルブムのある7階にエレベーターが到着する。
扉越しではあるが中からザワザワしている感じが伝わってくる。
正直帰りたい。
チロリロチロリロ~♪
いつもは心が高鳴る入店音も今日は少し心許ない気がしてならない。
店内に入るとキャストはみなかみさん一人でお客さんが4、5人くらい。
そして奥のテーブルには経営陣が鎮座していた。
「あ、山さんだ。いらっしゃーい!」
みなかみさんが出迎えてくれる。
と言うか、私は彼女に名前を名乗ったことがあっただろうか?
「あれ、名前知ってましたっけ?」
「うみに聞きました!最近よく来ていますよね!!」
うみさんの客として認識されつつあって少しうれしかったのを覚えている。
ひとまず席に案内され座っていると、店内の4、5人くらいのお客さんが帰ってしまう様である。
「今日はありがとう!またよろしくねー!」
みなかみさんが見送りながらお客さんがエレベーターに乗り込み扉が閉まる。
そして店内には…私、みなかみさん、経営陣だけの空間が完成した。
私の前に来たみなかみさんにそれとなく、ホントそれとなく聞いてみる。
「今日、これからお客さん来る予定ってあるんですか?」
「平日だから深夜のお客様の予定入ってないんですよ…」
『これはこれであかんやつや…帰りたい…』
とても切実に思ったが、口に出せる様な空気でもなく発しそうになった言葉を飲み込む。
後ろからは経営陣の声がヒソヒソと聞こえてくる。
「やはり平日のイベントは…」
「これは次回以降の改善点…」
「あ”、ぴざた”べた”い”」
どうしようもない空気感を感じ取って私も腹をくくる。
今日は朝までここで飲んでやろう。
「みなかみさん、お誕生日おめでとうございます。
以前、危ないところを助けていただいたのでお礼を兼ねて参りました」
「ありがとうございます。
とても丁寧な言葉使いですね(笑)」
「一応、社会人ですから(苦笑)」
唐突な自分語りで恐縮だが、昔は上から目線で部下や後輩に接していてパワハラで通報されたり(口調が悪いだけで内容や表現には問題なかったのでお咎め無し)、ボイコットに近い形で全員に当日欠勤される事にあった。
そんな時代を経て、相手への敬意や感謝の気持ちを前面に押し出す現在のスタイルを完成させた。
「誕生日なのでゴールド、どうぞ。」
「え、いいんですか?ありがとうございます!」
みなかみさんがゴールドを持ってきたタイミングでHITOCさんが声を掛けてくる。
「山ちゃん、いつもありがとねー」
「いえ、みなかみさんにはお礼したいと思っていたので!」
すかさず、みなかみさんがカットイン。
「うみから聞いてたけど、山さんいい人!」
うみさんにいい人って思われてた事に内心ガッツポしながらも表情は冷静を装う。
「ありがとうございまーす!」ポン!
みなかみさんがゴールドを開けると、経営陣が2人こっちに来た。
一人は落ち着いた口調でウォール街にいそうなインテリタイプ。
もう一人はロン毛にタトゥー入っててプロレスラーみたいなタイプ。
「ありがとうございます。」
インテリタイプの経営者が丁寧にお礼を言ってくれる。
「いえ、こちらこそありがとうございます(うみさんと会える場を提供してくれて)」
「みなかみ、今日の深夜予定なかったからよかったな。」
プロレスラータイプの経営者がみなかみさんに声を掛ける。
「本当、山さんが来てくれて助かったー」
ま、私は絶賛後悔中ですが。
相手の名前がわからないと後々、不便になるかと思いHITOCさんに聞いてみる。
「お二人はなんとお呼びすればよろしいのでしょうか?」
「インテリタイプが修さん、プロレスラータイプが広さんだよ」
『なるほど、これで会話の幅が広がるな。』
新しい選択肢を手に入れほくそ笑むのもつかの間、修さんがHITOCさん、広さん、新浦さんに声を掛ける。
「経営会議のため上に行こうか」
どうやら上の階も借りているらしく、これから会議を開くとの事。
「じゃあ山ちゃん、ゆっくりしていってね!」
HITOCさんが私に一声を掛け、全員がエレベーターに乗って上に上がっていってしまった。
後にみなかみさんオタクが10万出しても買いたいと思う様な2人きりの空間が完成。
『帰りたい…』
という気持ちを抑えつつ、どうせなら楽しもうと決心し話題を振る。
「そういえばみなかみさんはレイヤーさんなんですよね?
私知り合いにコミケでROM出すレベルのレイヤーさんがいて…○○さん知ってますか?」
「え?知っているどころか、現場で合うといつも話してるよ!」
意外にもつかみはばっちりだ。
この調子で今日という日を全力で生きてやる。
しかしまだ22:30…木村、早く来いと願いながら秋葉原の夜は更けてゆく。




