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2016/9/10(土)~1回目の誕生日(後半)~

【登場人物】


うみ…本作のヒロイン


木村拓夢…ぽっちゃり体系で最古参の一人


平野明哉…ウィッグを被った最古参の一人


山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)



~1回目の誕生日(後半)~

「お、木村、平野、いらっしゃい!!」


二人に気づいたうみさんが元気よく声を掛ける。

その声は体育会系のノリというより、おふざけの範疇な気がした。


「木村さん、平野さん、お疲れ様です!」


1テンポおいて私も二人に声を掛ける。



「うみちゃんおつかれー!」

「お疲れ様です。」


木村と平野が挨拶をする。


気のせいか平野はうみさんにしか声を掛けていない。

別に怒ったり嫌な気分にはならないけど、記憶には残るシーン。



「聞いて聞いて~明日というか日付跨いだら山中誕生日なんだってー」


…うみさん、別に言わなくてもいいですよ(苦笑)という感情を押し殺して微笑む。

多分顔は自然に笑っていたと思う。 (自信は無い)


「「おめでとうございます」」


二人からは自然なお祝いの言葉を頂く。

お互いそんなに知ってる間柄ではないけど、祝ってくれると嬉しい事に気づく32歳の山中。



嬉しさの余韻に浸っていると、平野が次の言葉を発する。


「あれ?もうゴールド開けてるんですね」


「誕生日なので、早めに開けました(笑)」


嘘を言っても仕方が無いので、思っている事を伝える。


「じゃあ僕はロゼ(同じメーカーで8,000円)あけるー」


平野、食い気味にボトルを開ける宣言。


しかしこの時頭を過ったのはうみさんの体調の事。

いくらジュースとはいえ、一晩で2リットル飲んじゃうとお腹膨れるし身体にもよくない。


※女の子とお客さんが1対nの関係となり、うみさんが3人の入れたボトルを半分ずつ飲むこととなる


「じゃあ、4人でシェアしながら飲みますか!」


我ながらとっさに思いついたにしては名案だ。

これは仕事柄、機転を利かす必要があり訓練された賜物だと思う。



「いいですね、みんなで仲良く飲みましょう!」


平野は快諾してくれた。


「まーいいですけど…」


木村はあまり乗り気ではないらしい。。。


この事柄が後に影響してくるなんて、この時は想像もしていなかった。



ボトルシェアの件はあまり長続きする話でもなく、ひと段落したタイミングでうみさんがロゼを取りに行こうとする。



気づけば時計の針は23:58。


またもやここで懸案事項が発覚。

このままいけば、平野のボトルで誕生日を迎える事になってしまう。


平野に了承を得て、うみさんに伝える。


「日付変わったタイミングでゴールドお願いします。

 ロゼはゴールド飲み終わってから開けましょう!」


「そうだな!」


考えてるのか考えていないのかわからないが、この軽さもうみさんの魅力。



そして9/10の00:00を迎える。


「山中、誕生日おめでとう~!!」 ポン!


うみさんのコールを起点に店内の人達からも拍手され、少し照れくさくなった。

でも、うみさんに祝ってもらうのは極上の気分だ。



そして準備された4つのグラスにゴールドを注ぎ


「「「誕生日おめでとう~」」」


改めて3人から祝福を受ける。

今日、アルブムに来てよかったと再認識した。



誕生日トークは次第に他のキャストやお客さんの誕生日に移っていき

うみさん、木村、平野と誕生日について会話をしていた。



「そういえば誕生日と言えば…」


普段、あまり発言を濁さないうみさんが歯切れ悪く言葉を発する。


「なにか困ったことがあるんですか?」


純粋に心配になって声を掛ける。


詳細聞いてたところ次の様な状況との事。


--------------------------------------------------------------

キャストA…お店一番の古株で9月末で卒業

キャストB…同じく古株で9月末が誕生日


当初はA卒業とB誕生日イベントを同日でする予定で纏まっていたが

急遽B側が違う日が言いと言い出しAとB間の関係が悪化。


うみさんとしては、どちらかのみに出勤する事で今後の関係性に

影響が出る事を危惧していた。


卒業するAは週末開催だが、残るBは平日開催であり

Bの卒業には出られない。

--------------------------------------------------------------


「Bが悪いね」


「約束を反故にするのは良くないね」


などと抽象的な議論を交わしている平野、うみさんを見ながら何で悩んでるの?

と言わんばかりに私が言葉を発する。


「両方とも行かなくてよくないですか?

 Aさんの卒業はキャストも多いのでうみさん出る必要が無いし

 Bさんの誕生日は平日だから予定付かないじゃないですか。」


一瞬、『あっ!』という顔をしてうみさんが返す。


「確かにその通りだな…よし、両方とも休む」


後にコンカフェ界の戦略家と呼ばれた(呼ばれていない)山中誕生の瞬間であった。




その後、グダグダしながら平野、木村が開けたロゼも空になっていた。

時刻は3:30。


「なんか貰っていいですかー?」


うみさんが恐らく本日最後となるキャストドリンクを聞いていた。


「ゴールドで」(キリッ)


特殊相対性理論の壁を破るかの如く、髪開けずに私が回答。


「え?1日三本もいいんですか?」


「私の誕生日なので!」


今振り返ってみると意味の分からない理由だがうみさんが喜んでくれるならそれでいい。

※多分聞いていた木村、平野も訳わかんねーと思っていたと思う



そしてゴールドでの3回目の乾杯。



私は前日が仕事終わりだったので疲れてしまい、この後の記憶はあまり残っていない。


でも3本目のゴールドを喜んでくれたのは今でもよく覚えている。



「時間なんで帰ってくださーい」


うみさんの声ではっとして気づいたらもう5時であった。


どうやら無意識のうちに会計は済ませていたらしい。



帰り際、他の人には聞こえないようにうみさんが私の耳元で


「山中、今日はありがとう

 あと、誕生日おめでとう」


と言ってくれた。


嬉しすぎて軽く昇天しかけた人生初めての経験であった。





そして帰り道、次のステップへ向かうべく私、木村、平野で話をする。


「うみさんの誕生日イベントどうしますか?」


平野が口火を切る。


「どうしますかねー」


木村、もう少し真剣に回答しろ!


「じゃあ、キャストBの誕生日イベントみて研究しますか?」


二人に提案したところ、平野は仕事で無理との事。


「俺は行けたら行きますよ」


木村からは前向きな回答を貰った。



この自身の発言を7年経っても後悔している。


なぜなら、、、次回に続く。

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