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2016/9/10(土)~1回目の誕生日(中盤)~

【登場人物】


うみ…本作のヒロイン


山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)



~1回目の誕生日(中盤)~


少し俯き加減で乗り込んだエレベーターは7階に到着し、エレベーターの扉が開く。

よくアニメのOPである、サビ前にエレベーターが上昇していってサビに入ったタイミングでタイミングで扉が開く。


そんなシーンを頭の中で反芻しながら顔を上げる。


チロリロチロリロ~♪


聞き慣れた入店音が私の聴覚を支配する。

バータイム(深夜)に比べ、この時間帯は店内が静かだ。


「いらっっしゃいませ~!」


聴覚の支配が入店音から解放され、新たに人間の声に支配される。

そう、我が最推しのうみさんの声に。


そして何よりうれしいのは、うみさんが最初に出迎えてくれたこと。


「こ、こんばんは・・・うみさん・・・」


脳内が幸せの感情であふれリソース不足に陥り、くそみたいな回答をしてしまう。



後から聞いた話だが、私が22時に行くと伝えていたので扉の近くで待っていたとの事。

私は世界一、幸せものです。



そのままいつも通りの窓際席へ案内される。


「お、山中さんいらっしゃい」


「こんばんは」


HITOCさんも私に気づいた様で挨拶をしてくれた。

この時にはメモリプールが解放され、最低限の挨拶は出来たと記憶している。


「山中、日付変わったら誕生日なんだって」


うみさんがHITOCさんに私が誕生日と流布する。


「お!おめでとうございます

 特典で女の子全員とチェキ取れるけどどうしますか?」


なんと、そんな特典があったのか。

しかし私の答えは一つ。


「うみさんだけでお願いします」


一途で紳士なのは今も昔も変わらないようだ。


「山中、お前はいいやつだ」


そんなうみさんの言葉をHITOCさんは少し呆れた顔で見ていた。



そして案内された席に着くタイミングで気づいた事がある。

平野も木村もいないのである。


「平野さんと木村さんはまだですか?」


旺盛な好奇心で純粋に聞いてみる。


「平野は室町バー行ってからくるみたい

 木村はゲームしてるのかな?いつも23時くらいにくるよ」


「意外と22時からは来ないんですね」


「22時~24時はチャージだからねー」

※この時間帯は1時間チャージ料+1ドリンクで2500円

 24時~5時までは飲み放題で6000円…安い!


平野と木村は22時からは来ない・・・と、メモメモ。



いない人の話を続けてもあれなので、注文をお願いする。


「じゃあ私はいつもの下さい」

※ウォッカトニック


「わかったー作ってくるねー」


うみさんがウォッカのボトルを開けてグラスに注ぐ。

…ちょっと多くないか!?


そしてトニックウォーターをグラスに注いでマドラーで混ぜ混ぜ。

そして私の卓にコースターを敷いてグラスを置く。


「はい、ウォッカトニック」


「いただきます!ゴクゴク…!?」


一口飲んだが、やはりウォッカが濃いようだ・・・



これは私に酔ってって言ってるんじゃないの?的な芸人さんのノリは一瞬で捨て去る。

確固たる紳士の地位を築くために。


そんなくだらない妄想を吹き飛ばすように、うみさんから声が掛かる。


「なにか飲み物もらっていいですか?」


待っていましたと言わんばかりに、この名前を答える。


「Sゴールドで」


「え、いいんですか?」


「はい」


…コミュ障か、私は。



こうして22時過ぎに1本目のSゴールドを開け、残り2時間に迫った誕生日への前祝が始まる。



「そういえば山中って何歳になるの?」


「誕生日迎えたら32歳ですね」


「え?じゃあ、ねずみ年?」


「ねずみです」


どこかのテーマパークのキャラクターの物まねをして答える。

今思えばすでにこの時点で紳士キャラはきつかった。


「私もねずみ年で誕生日迎えたら20になるから山中とは1周り違いだ」


そうか、12歳も離れているのか。



私の職場にもうみさんと同い年の人がいるが、話が合わなくて少し困っていた。

うみさんともそういったすれ違いが生じるのかと思うと少し怖くなったのは事実。



「次はうみさんの生誕を祝わないとですね!」


「よろしくおねがいします」


そうやって少し鹽らしく振舞っているうみさんも美しい。



そうこうしていると23時過ぎになっており店内は少し活気が出てきた。


それとは関係なく、すでに二人の空間が構築されていたが、それを破棄する時間がやってきた。



開いたエレベーターから平野と木村が入店してきたのである。

君たち仲いいのかい?


そして誕生日へのカウントダウンが秒読みとなっていた。

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