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2016/8/25(木)~HITOCさんと春雨~

【登場人物】


うみ…本作のヒロイン


HITOC…アルブムの店長的ポジション


山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)



~HITOCさんと春雨~


いつからか明確に記憶はしていないが、私の日常にSNSチェックのルーティーンが追加される。


アルブムに行かない日もSNSで女の子の出勤状況や知り合いの方がどんなツイートをしているのか確認し

毎週いけない分の補填をしようと努力していた。


『動画投稿サイトにダンス動画あげたよー(ハート)』


平野、これは次あったら動作を見せられるな…


『バースデーイベントの予定きまったよ!』


最初にトイレを案内してくれた足の長いメイドさん、みなかみちゃん。

そうか、そろそろ誕生日なのか。


『今週の出勤予定です。〇日22時~、〇日22時~、〇日〇日22時~』


ユリアさんは金土の深夜だけでなく、平日も出勤しているようだ。



『急遽ですが、木曜の16時から22時まで出勤します』


…うみさんのツイートである。


急いでシフト表を確認すると、木曜日早番で金曜が休み。

=仕事終わりにアルブムへ行けるという事。


今週は土日が仕事で行けないとわかっていたので、素直にうれしい。



ただ、22時までという事で最低でも19時までに仕事が終わらないと会いに行けない。

※定時は16:30


通常業務の範疇なら普通にやれば定時内に終わるし、急遽入ったのは納期確認して金曜に実施すればOK。

怖いのは設備や人的なトラブルで帰りたくても帰れない状態が発生する事。


通常の業務を手早く片付け、トラブルが無い事とを祈りながら一日を過ごす。



神に祈りは届いた様で、何事もなく定時で業務が終了しビタ帰り。

車でも歩いても大して時間が変わらない自宅へ車で帰宅。



シャワー歯磨きムダ毛処理髪セットのH難易度山中ルーティーンを決め、颯爽と自宅を出る。

この日はバスも定刻通り来ており、19時過ぎに秋葉原へ到着する。



電車内でSNSをチェックしていたが、どうやらうみさんはキャッチの最中らしい。


背景からどのあたりに立っているか予想して向かうと、見慣れた金髪ショートの美女が視界に入る。


少し小走り気味に近づき、5m前からペースを落として、如何にも偶然な感じで歩いていると


「山中!」


私の存在に気付いたうみさんが声を掛けてくる。


「あ、うみさんこんばんは!偶然ですね!!」


偶然とはどういった意味なのか、後で辞書を引くことにしよう。


「今日はどうしたの?」


「うみさんが出勤だったから、会いたくて…」


「え、めっちゃ嬉しいんだけど」


この言葉を聞けるだけで、遠方の地から来たかいがあるというもの。



二人で簡単に話をしながらアルブムへ向かう。


どうやら、今日は暇だったので何となく出勤したとの事。

勤労者うみさん、素敵です。



アルブムの店内に入ると、平日の19時過ぎのため他のお客さんはおらずキャストもうみさんのみらしい。


それと毎回深夜に見かけるガタイのいい男性がカウンター側に立っていた。


「いらっしゃいませ」


水商売経験なのかな?と思わせる独特の挨拶をしてくれたのでこちらも


「よろしくお願いします」


と答える。


「こいつ山中って言って、私の事推してくれてるんだって」


うみさんが男性へ私の説明をする。

とても客対する言い方だとは思えない。


「時間帯責任者のHITOCと言います、よろしく」


「うみさん推しの山中です、改めてよろしくお願いします。」



挨拶を終え、いつもの窓際席に座ってうみさんと会話スタート。


しかも今日は2時間しか滞在できないので、いきなりボトルSゴールドスタート。



するとHITOCさんがきて


「いつもうみにSゴールドを開けてくれてありがとう」


と感謝の言葉を述べてくれた。

どうやら最近頻繁に来てSゴールドを開けているのを見てくれていたらしい。


「まじめなうみさんの応援がしたくて」


あえて誤魔化さず、純粋な気持ちを伝える。


「よかったなうみ、評価してくれてる人がいて」


「山中、ありがとう」


こうして自然と3人で会話をスタートさせる。


HITOCさんがどういった方かわからなかったので、少し経歴を伺うと

飲食(調理)をやられていた期間があり、和洋中とある程度の料理は作れるとの事。


「HITOCさんの料理、めちゃくちゃ美味しいから!」


「それは気になりますね!」


どんなものか気になるのは事実、そして間髪入れずに


「あーお腹減ったなー」


うみさんの追撃が入る。


「HITOCさんに何か作って貰いますか?」


「今ダイエット中だからな・・・どうしよう・・・」


うみさん、どっちなんだい!


するとHITOCさんが


「なら春雨でスープ作るか」


と提案してくれる。


私も食事をとっておらず、空腹であったためうみさんの分も含めて2人前をオーダー。



HITOCさんが調理している姿を二人で観察していると、決して料理しやすい設備では無いのだが

見る見るうちにスープが作られ春雨が戻されとろみがつく。


とても芸術的な光景であった。



「おまたせしました」


目の前に出された春雨スープをうみさんと覗き込み、二人とも我慢が出来ず


「「頂きます!」」


勢いよく…と行きたいが紳士的なイメージを植え付けるため、静かによそって上品に食べる。


「口に合いますか?」


「めちゃくちゃおいしいです!」


質問の回答になっていない気もするが、美味しいが最上級の表現だと思うのでOKとしておこう。



その後はHITOCさんの話やうみさんにもあまり話していなかった私のプライベートなど

お互いを知る・知って貰う為の会話に費やした。


この時の会話は自身のメイドカフェ人生で大きな転機だと思っている。



そして終盤、内に秘めていた話題をうみさんに切り出す。


「私、9/10が誕生日なんですが出勤予定ってどうなってますか?」


「出勤だよ、誕生日になった瞬間、一緒にお祝いしようか」


やばい、天に昇りそうな気分だ(号泣)

人生にはこんな幸せな時間があるのか。


細かい日程などは改めてSNSを介して調整する事でこの日は終了。



気が付けば常磐線終電の時間が近づいていたので

お会計を済ませ、エレベーターが到着するのを待つ。


「山中ありがとう、まなたー」


「ありがとうございました、またよろしくおねがいします」


うみさんとHITOCさんが見送ってくれる。



今日は短い時間だったけど、とてもいい一日だった。

感動と喜びに浸って帰りの常磐線に乗り込む。


そして滞在時間より移動時間の方が長い一日が終了した。

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