2016/8/6(土)~山中の災難な夜(前半)~
【登場人物】
うみ…本作のヒロイン
ユリア…うみさんとは小学校時代からの友人でアルブムのキャスト
木村拓夢…ぽっちゃり体系で最古参の一人
平野明哉…ウィッグを被った最古参の一人
山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)
~山中の災難な夜(前半)~
『うみさん、お美しいですね』
『嬉しい(ハート)』
ここは一気に勝負を決めるぞ!!
・・・・・・・・
ピピピピ~ピピピピ~ピピピピ~
(ブーーーッ、ブーーーッ)
スマホのアラームが私から幸せな睡眠を奪い取る。
スマホに目をやると現在、20時。
カプセルホテルのチェックアウト時間1時間前に起床した。
チェックアウトギリギリまで寝ていてもいいのだが
紳士の嗜みとして入浴と髭剃りに地下の浴場へ向かう。
カプセルホテルなので一般的なホテルや旅館に比べるとやや見劣りするが
アメニティ類は充実しており、湯舟とミストサウナを備えているようだ。
ひとまず着ていた服をロッカーに仕舞い
フェイスタオルとバスタオル、髭剃りと歯ブラシを手に取り、いざ浴場へ。
別段、期待していたわけでも不安視していたわけでもないが
中は街中にある銭湯の様な作りで、違和感や不快感は全く無かった。
シャワーを浴びていて気付いたが、週末の影響か入浴中の人が多い。
多いのが若い女性なら…いえ、なんでもないです。
ゆっくり湯舟に浸かろうと思ったが、空気を読んでさっさと出る事を決意。
一通りの事を済ませ、鏡でひげのそり残しチェック、、、よしOK!
バスタオルで体を乾かし、新しい服に着替えて髪型をセット。
『少し薄くなってきたので今度は薬用シャンプーと使おう』
そんなくだらない事(私にとっては死活問題)を考えながら荷物をまとめ
フロントへ向かってチェックアウトの手続きを行う。
時刻は20時45分、アルブムに行くのは流石に早すぎる。
ふと大通りを歩いているとパチンコ屋さんを発見。
『いばらく時間を潰していくか』
夏の夜、街頭に集まる虫のごとく自動ドアへ吸い込まれていく私。
大好きなアニメタイアップのパチンコ台に着席し、1万円までと決めて打ち始める。
時間が潰せられれば何でもよかったのだが、パチンコは得てして時間が無い時に当たるもの。
1万円使い切る21時半頃に大当たりを引いて確変へ突入する。
『やばい、22時のうみさん出勤に間に合わない!?』
嬉しいはずなのに、焦りの方が大きい謎の瞬間。
結局、22時20分くらいまで確変が続き、確変終了と同時にやめて景品交換を行う。
閉店間近だという事もあり、カウンターには大勢の人が並んでおり
結局、交換できたのは22時40分。
アルブムへの出撃に少し出遅れてしまったようだ。。。
そしてパチンコ屋さんから少し離れたところで計画の練り直しを図る。
『SNSには外に出てる情報はない、じゃあ中スタートか?』
『平野か木村がいれば、そのままお店行った方が確実か』
等と考えていると、無性にのどが渇いてきた。
それもそのはず、夜と言えども夏場の夜。
立っているだけでも汗がにじみ出てくる。
『あ、自販機みつけた』
路地を挟んだ向かいに自販機を見つけ、遠目から商品を見ていると
「おいコラ、何見てんだよ」
4人組集団の一人に絡まれてしまった。
身長は同じくらいか私よりちょっと高い?
ガタイは良く、両腕にはびっしりのタトゥー。
『一瞬も見てねーんだけどなー(苦笑)』
と思いつつ、無視しながら最寄りの警察署の番号をスマホで調べる。
「おい、聞いてんのかこら」
職業柄、本職の方と揉めたり対応する事も多い私にとっては慣れた案件で
無視しつつ、手を出して来たら通報のパターンを想定していた。
あと1mくらいに輩が迫ったタイミングで、集団のボスっぽい人が輩に声を掛ける。
「人に絡んでんじゃねーよ、行くぞ」
「あー分かった」
スゴスゴと向こうに行く輩。
難を逃れて一安心、痛いの嫌だから本当に助かった。
ありがとう、ボスっぽい人。
その後に炭酸飲料を購入し、一気飲み。
ピンチを乗り越えた後の炭酸飲料は3割増しで美味しかった。
『こんな事をしている場合ではない、うみさんのところに行かなくては!』
容器を捨て、大通りへ戻ってみると見慣れた女性が。
性豪ユリアであった。
「こんばんは、うみさんって今日いますか?」
「あ、山中さん、海は中にいますよ!」
ユリアさん、露出のイメージが先行していたがキチンと受け答えしてくれるいい人だ。
「ありがとうございます!」
ユリアさんにお礼を言って、通い慣れ始めた道を行く。
エレベーターに乗り、7階に着き、あの聞き慣れた入口の音。
店内が騒がしかったので、恐る恐る入場すると
「お、山下、いらっしゃい!」
いきなりのうみさんお出迎えに脳内がパニックになりそう。
そして今日も名前を間違えられた。
「山中です!」
「本当、ごめんなさい。。。」
「いえ、全然気にしてませんから(笑)」
そんな他愛もない話をしながら席に案内されると平野と木村は既に来ていた。
「こんばんは」
二人に挨拶をし、今日も週末の夜がスタートする。
しかし、今日のトラブルはまだ終わっていなかったのだ。




