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2016/7/15(金)~秋葉原、夏の夜と出会い (前半)~

非モテオタク達がメイドカフェでガチ恋になったら同担拒否で週末戦争


【登場人物】


うみ…本作のヒロイン


山中義昭…最古参で最年長(そして筆者のモデル)


※登場人物が増えてくると相関図を掲載予定



~はじめに~


皆さんはメイドカフェにどの様なイメージをもっておられるだろうか?


小生が学生だった2000年代中盤頃よりオタク文化が盛り上がりを見せ

それまでは電気街のイメージしかなかった秋葉原の実態が世間に認知され始めた。


メイドカフェもその一種であった。


その頃のイメージは可愛い女の子がメイド服を着てモテない男性にオムライスを作る

一種の魔境の様な空間だと思っていた。


例:オムライスにハートマークを描いてもらい『萌え萌えきゅ~ん(ハート)』


当時は交際している女性もいたし、少ないながらも親しくしてくれる友人もおり

そんな得体のしれない場所に行くことは無い、100歩譲って入れ込むことは無いと信じて疑わなかった。


そう、あの日までは…



~秋葉原、夏の夜と出会い (前半)~


夜になっても25度を下回らない7月末の暑い夏。

時刻は常磐線の終電が無くなった夜23時過ぎ。


「ふ~何とか勝てたな…」


私(山中)はそう言いながら秋葉原のパチンコ屋から退店。

この日は朝からスロットを打っており、10万投資をギリギリ捲って勝つことが出来たが

身体はバキバキで終電を逃し、トイレも我慢していて極限状態であった。


都会の生暖かい空気を肌に感じつつ、とりあえずトイレに行こうと近隣を散策するも

ゲーセンもパチンコ屋も閉まっており、他の手段も思い当たらない。


『これはピンチだ…』


と思っていたら目の前に脚の長いメイドさんが。


メイドカフェに行くことは少し躊躇したが

背に腹は代えられぬと勇気を出して声を掛ける。


「トイレありますか?」


「ありますよ。お店の場所分かりますか?」


快く答えてくれたメイドさんにお店まで案内してもらい席に着く。


取り合えず飲み物を注文してトイレを済ませると自席に飲み物があり

案内してくれたメイドさんは違う席のお客さんと話しながら飲み物を作っていた。


『勢いで入ったけど、どうしよう』


年齢は30を超えているものの、女の子がいる店に行ったことが無く

そんな私には想像もつかない異様な空間が広がっていた。


カンター越しにメイドのコスプレをした若い女の子がお酒を造りながら接客しており

向かいには男性のお客さんがカウンター越しの女の子と楽しそうに会話をしている。


そして奥の方のテーブルには経営陣と思しき強面の人たちが座って女の子を監視していた。


『やべっ、俺来るところ間違えた・・・』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで少し私の事を紹介させていただきたく存じます。


苗字は山中で年齢は31歳。

中間管理職をしている会社員であった。


男性にしては早く24歳で結婚したが、性格の不一致が原因で2年ほどで別居。

別居後に何度か金を無心され、弁護士にも相談して離婚。


離婚後も男癖の悪い後輩女性から迫られ、必死にお断りしていたら

『山中さんが私に冷たいです』と職場で言いふらされる始末。


以降、女性に対して不信感を頂いていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お兄さん、こういう店初めてなんですか?」


よくわからずぼーっとしていると隣の席の関西弁お兄さんが声を掛けてきた。


「え、あ、はい、初めてです。」


思わず陰キャ丸出しの回答をしてしまう。


「東京の方ですか?」


「いえ、茨城からパチンコ打ちに来ました。」


「え?茨木から‼」


「いえ、茨城です。」


…やはり関西の人だった。


ただ、このお兄さんは話しやすくとてもいい方で

あっという間に小一時間が経過。


『お客さん同士て仲良くなれるのはいい事だ』


そう考えていると、私たちの前に女の子がやって来て


「ハーフのマリンです、よろしくお願いします!」


と元気よく挨拶をしてくれた。


特に癖のある子では無く、隣のお兄さんと交互にドリンクをあげながら

お互いの仕事の話や趣味の話、アニメの話を楽しみ充実した時が流れる。


気づけば2時過ぎ、女の子がついて2時間近くが経過していた。


すると女の子が突然


『私まだボトル空いたことが無くて…

 ボトル開けてもらってもいいですか?』


と言い辛そうに持ち掛けてきた。


私はよく分からず、頭に『?』を浮かべていると

隣の関西弁のお兄さんが『んー』と考えだす。


とりあえず女の子にお願いしてメニュー表で値段を確認すると一番安いので3000円。

次に安いのが5000円であった。


ギャンブルを嗜む身からすると、そこまで出し惜しむ金額でもなく


「5000円のやつでよければ開けていいよ」


と回答し、女の子が


『え、本当ですか!?ありがとうございます!!』


とめちゃくちゃ喜んでくれた。


5000円でここまで喜んでくれると開けた甲斐があるというもの。


その後も3人でワイワイと話していたが、3時を過ぎると慣れから来る余裕か

他の卓の状況も観察するようになってくる。


そんな最中にフッとカウンターにある洗い物スペースを見てみると

青い服を着た男だか女だかわからない人物が洗い物をしていた。


『男のスタッフさん?』


特にそれ以上でもそれ以下でもない状態で思考をやめ、会話に戻る。


その後、経営陣と青い服の人の会話を盗み聞きすると、どうも終電を逃してしまって

始発までお店の中で時間を潰しているとの事。


『時間外なのに洗い物をしてお店を助ける…なんてまじめなスタッフさんなんだ!』



結論から述べると、その子が本作のヒロインで中心人物となるうみちゃんであった。


そして当たり前ではあるが、私はまだその先に起こる戦いを全く予想していなかった。



秋葉原、夏の夜と出会い (②)に続く








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