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第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞

私と君の時計。

作者: 文学壮女

登場人物には幸せになって欲しいので、両思いの世界を書きました。

『俺とあなたの時計』と一緒にどうぞ!

(同じく念のためR15にしてあります。)

私はお隣のあっちゃんが好き。


親同士の仲が良かったから私たちが一緒にいることは自然なことだった。

私が小学校に入ってすぐ、産まれたばかりのあっちゃんがギューッと指を握ってくれたのを今でも思い出す。


あの時はまさか自分がこんな気持ちになるなんて思いもしなかった。

そして私は、この気持ちを伝えてはいけないと理解している。



どんなに想っても縮まらない年の差。

あっちゃんはとっくに私の背を追い越したけど、彼の時計の針は立ち止まりたい私の背中を押してくる。

諦めなきゃいけないのに、想いはどんどん大きくなる。



―そして私は今、ベッドに座ってあっちゃんを見上げている。




1週間前、母から旅行の予定を聞かされた。

あっちゃんの両親と行くから、その間は2人で食事したらどうか?と言うのだ。

自分の気持ちに気付いた今、あっちゃんと2人きりなんて…。

断ろうとした私に母の言葉が刺さる。

『でも、(あつし)くんにもデートとかあるかしら?』


気付けば私は母の提案を受け入れていた。

断るはず、だったんだけどな。



そんなわけで私はあっちゃんと一緒にオムライスを食べている。

あっちゃんの大好きな、ピーマンがたっぷり入ったオムライス。


伝えられない気持ちを料理に込めるくらい、いいよね?

でも気付かれちゃいけない。


「ごめんね、ご飯作るとか言いながら買い物忘れてて。」


本当はあっちゃんの喜ぶ顔が見たくて準備したんだけど。


「全然!凄く美味しい。」

「本当?よかった。」


あっちゃんの笑顔に『やっぱり好きだな。』って思う。

この時間が永遠ならいいのにと思う私の耳に、雨音が聞こえてきた。


ひどくならないうちにと食事を終えたあっちゃんに帰宅を促す。

急かすような雨に残念な気持ちだった私にあっちゃんは言う。


「姉ちゃん、俺。母ちゃんから鍵もらうの忘れてた…。」



努めて冷静に、父の部屋着と新しい下着を渡す。

あっちゃんが好きだと聞いてつい買ってしまったキャラ物の下着は、忘年会でもらったことにした。


冷静に、冷静に…。



私を見下ろしていたあっちゃんがついに口を開いた。



「俺、姉ちゃんと…()()()んだ!!」


大きな雷が鳴る。


やっぱりあっちゃんは昔のまんまだ。

私を姉のように慕ってくれるのが嬉しくて、切ない。



「こんなに大きくなったのにまだ雷が怖いのね。」


自分の気持ちに気付かれないように笑ってベッドの端に寄る。


あっちゃんの体温を背中で感じながらゆっくりと目を閉じる。

この気持ちを伝えられる日を思いながら。

読んでいただきありがとうございました。

楽しんでいただけたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この先の展開を想像してキュンとします。 焦れったさも含め、好きです。
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