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聖剣と聖者の右腕  作者: 八月十五
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最終章 あらたなるたびじ

 王国に帰還した俺たちは、世界を救った救世の勇者として迎えられた。富も名声も思いのままだ。

「本当に良いのか? そんな褒美で」

「はい」

 俺は王との謁見の際に褒美に欲しいものを問われたので、あるものを要求した。

 アルマの家に入り、切断された右肘に俺の右腕をくっつけてもらう。

「ふう、ようやくひと心地ついたぜ」

「バレずに済んでよかったわね」

「ちゃんと聖者の右腕は先代勇者様のお墓に戻してくださいね」

「なんか今までが見慣れてるから変な気分っす」


 俺の右腕が元に戻った後は、皆で最後の祝杯をあげた。今日で勇者パーティーは解散。この後は王国で高待遇で新たな仕事をするか、魔王討伐の報酬でひっそりと暮らすか。

「みんなはこれからどうするんだ?」

「私は今まで通り魔術の研究に勤しむわ。まだまだ魔王に通用しなかったし」

「私は聖女としてこの国と宗教を守っていきます。この旅の記録もつけなければいけません」

「あたしは町に戻って冒険者を続けるっす。キングスライムがいればどんな魔物でもイチコロっす」

 皆で酒を飲み、豪華な料理に舌鼓を打った。まあ、流石に懲りたのか、誰もヤナに酒を飲まそうとはしなかったし、ヤナ自身も気を付けていたが。


 翌朝、俺は聖剣を腰に下げて国境の門へ向かっていた。

 俺が国王に貰った褒美は「旅」だ。本来、魔王討伐が終了した勇者は王国の宗教の象徴として国内で活動するそうだが、俺は偽りの勇者。例え本物になったとしても、祭り上げられる資格はないし、今回のことで自分の限界も見えた。

「行くのね」

「あなたが帰ってくるまで、この国は私が守って見せます」

「あたしももっと冒険して強くなるっす」

 出発時刻を告げていなかったのに全員揃うとは、これが一緒に旅をした仲間ってやつなのかな。

「じゃあみんな、また会おうぜ」

 俺は国境の門を潜り、新たな旅に出た。

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