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Knight of Ace  作者: 赤城 奏
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第七話 神殿の謎

ミツルギたちは今切り札の森の奥、神殿の前にいた。

「これが、神殿。」

見上げたオウガが呆気にとられたように言った。彼の周りでもミツルギたち以外が神殿を見上げていた。ミツルギたちは見慣れているからかすぐに神殿の入り口に向かって歩き出していた。

それに気づいた彼らもミツルギたちに続いた。

彼らがここにいる理由は今朝まで遡る。

          ***

再度集まったミツルギ達はまず情報の整理を始めた。

それぞれが前回A同士で話し合った事、異変の原因となっているのではないかと思われる‘‘月食’’の事、それぞれがジョーカーと戦って気づいたことを話した。

「俺たちからはこんな感じだ。」

対抗がそう言って締めくくった。全員が新たに知った情報に驚いていたり、納得していたりと様々な反応を示していた。

「成る程ね。確かに月食が近づいてきてるのは知ってたけど、こんなところで繋がるとはね。」

ザクロが肩をすくめてそう言った。ミツルギがザクロを見て尋ねた。

「ザクロ、お前は月食の事をどこまで知っている。」

「僕が知ってるのは、月食が起こるまでの日数と、起こった時に何かのエネルギーが発生するってことだけ。それ以外は僕でも知らないよ。」

ミツルギの地にザクロはそう答えた。その言葉に全員が驚いた。

「なぁなぁ、その月食ってのが起こるのが分かってんなら、それまでにジョーカーをなんとかすりゃいいんじゃねぇ。」

タケルが身を乗り出す様にそう言った。だがザクロは首を横に振った。

「無理だね。今のままジャジョーカーをなんとかするなんて出来ないし、月食までの日数もそこまで多くないよ。」

ザクロの言葉にタケルは顔を俯けた。入れ代わるようにオウキがザクロに尋ねた。

「月食までの日数は後どのくらい残されてんだ。」

オウキの言葉に全員の視線がザクロに集中した。視線が集まる中ザクロは静かに答えた。

「月食が起こるのは、今日を入れて後一週間後ってところだね。」

「確かか。」

ミツルギが尋ねるとザクロは頷いた。

「確かだよ。それにもしズレていても一日二日程度の差しかないよ。」

それに全員が顔をしかめた。情報が足りない中での少ない日数に、どう対処すればいいか分からなかった。

全員が何かないかと考えていた時、マサミヤが何かに気づいたように顔を上げた。

「なぁ、お前ら確か森の奥の神殿で会ってたって言ってたよな。」

「あぁ、そうだ。」

マサミヤの問いにシンラが頷いた。それにマサミヤは確信を得た。

「なら、その神殿になら、なんか情報が残ってるかもしれねぇ。」

その言葉に全員が驚いた。そして、ミツルギ・シンラ・ザクロ・ハヅキの四人はすぐに納得した。

「確かに、可能性はあるな。」

「あぁ。それにあの場所にいた時は周りにジョーカーの気配は無かった。もしかするとそれが関係あるかもしれない。」

ミツルギとシンラはマサミヤの言葉を肯定した。その横ではザクロが頭を抱えていた。

「そうだよ。今身近にある中で一番怪しいのってあそこじゃないか。なんですぐそのことに気付かなかったんだろ。あそこのことを僕たちが一番知ってるはずなのに。」

「まぁまぁ。でも一番知ってたから、逆に分からなかったんじゃないですか。」

ハヅキがザクロをなだめていた。ミツルギ達の様子を見て少しずつ落ち着きを取り戻したオウガ達は、すぐに気持ちを切り替えた。

「なら、誰が神殿を調査するのか決めるか。」

その言葉に全員が意識を向けた。そしてミツルギ達は全員が行くと言った。

「あそこの事を一番知っているのは俺達だ。」

「それなら僕たちが行くのは当然でしょ。」

ミツルギとザクロの言葉にシンラとハヅキも頷いた。それを聞いて、オウガ達も頷いた。

「なら、俺たちの方で誰が行くかだな。」

そうして決まったのはオウガ・マサミヤ・オウキ・タイコウの四人だった。他の者達(特にアキノリとタケル)は自分たちも行きたいと言ったが、却下された。

ミツルギ達は自分達だけでも良いと言ったが、仲間達に心配だからと言い含められた。

そして、八人は森の中央にある神殿に向かった。

          ***

神殿についた八人のうち、オウキ達は神殿を見上げた。

「意外とデカイな。」

そう漏らしたオウキにマサミヤ達も頷いた。だが、ミツルギ達は慣れているためか、さっさと神殿の中へ入って行った。

「ちょっ、まてよお前ら。」

それを見たマサミヤが制止の声をあげ、彼らに駆け寄ろうとした。だが、神殿の入り口で、マサミヤ達は中に入ることが出来なかった。

「ぐっ、なんだよ?」

マサミヤ達は見えない壁に阻まれていた。それに気づいたミツルギ達も足を止めて振り返った。

「どういう事だ?私たちの時は何もなかったはずだ。」

シンラの言葉にザクロが可能性を提示した。

「可能性としては僕達がAだからっていうのがあるけど。」

「どうやら、それだけでは無いみたいですよ。」

ハヅキの言葉にミツルギも頷いた。オウガ達はなんとか入ろうとしていたが、どうしても入ることは出来なかった。

「やっぱ無理か。」

「その様だな。」

オウガの言葉にタイコウも同意した。マサミヤとオウキも頷いた。

「仕方ねぇ。お前らだけで中を調べてろ。」

「そっちはどうすんの?」

「俺たちはここの周辺を調べてくる。そっちは頼んだ。」

オウキの言葉にどうするのかとザクロが尋ねると、タイコウがそう言った。ミツルギ達は頷き、中へ入って行った。オウガ達も入り口から離れ、神殿の周辺を調べる為、ばらけた。

中に入ったミツルギ達は長い廊下を歩いていた。時折、壁や床を調べて見たが仕掛けなどは施されていなかった。

「何もありませんね。」

ハヅキが周りを見渡しそう言った。それにシンラも同意した。

「あぁ。だが森の中央にありながらもジョーカーの襲撃にあった様子はなかった。私たちがここの周辺でいたときもだ。何かがここにあるのは間違いないはずだ。」

シンラが先を睨む様に見て言った。同じことをミツルギとザクロも考えていた。

そして、四人がだいぶ奥まで来たとき、大きく開けた場所に出た。

『なっ⁉︎』

「これは。」

その部屋に入ったミツルギ達は部屋の壁を見て驚いた。そこには部屋の壁一面に書かれた壁画と部屋の中央に空の棺の様なものがあった。ミツルギ達はそれぞれ壁によって書かれているものを見た。

そこには驚くべきことが書かれていた。

「これは、恐らく。」

「あぁ。俺たちが知らない、かつての歴史だ。」

そこにはミツルギ達が知るものよりもはるかに古い時代のジョーカーと騎士達の歴史が記されていた。

「まさか、僕達が知るよりも前に、すでにジョーカーが存在していたなんて。」

呆れた様な声でザクロは言ったが、内心は興奮していた。

そしてそれぞれが壁画を調べて行く中、ハヅキがあるものを見つけた。

「!皆さん、来てください。」

呼ばれた三人はハヅキの元まで行った。ハヅキは自分が見ていた壁画を示した。それを見た三人は目を見開いた。

「これ、もしかして月食の時の絵?」

そこには赤い月と凶々しくなったジョーカーが描かれていた。

「昔にも同じことが起こっていたのか。」

それを見た四人は何か打開策が記されているやもと先を読み進めていった。だがそこには今までのものと比べ物にならないほど衝撃的なことが書かれていた。

「なっ。」

「まさか!」

「そんな。」

「嘘、だろ。」

四人は呆然とするしかなかった。

四人は神殿に入るよりも暗い表情で外に出た。神殿の周辺を調べていたオウガ達は出て来たミツルギ達に気づき、駆け寄った。

「どうだったんだ?」

オウキが声を掛けたが、四人は俯いたままだった。オウガ達は顔を見合わせたが首を傾けるしかなかった。

「ザクロ、何があった?」

オウキが再度問うと四人はようやく顔を上げた。

「あぁ、悪い。少し混乱してたよ。」

ザクロは務めていつもの様に返したがその様子は無理をしている様だった。それを指摘する前にミツルギが言葉を続けた。

「あそこの中に確かな情報があった。だがそれは全員の前で話した方が良い。」

「分かった。なら、すぐに帰還しよう。」

オウガが頷いた。八人は荷物をまとめ元来た道を帰っていった。

その間、ミツルギ達の表情は暗いままだった。

          ***

帰還した八人はすぐに全員を部屋に集めた。全員が集まるのにはそれほど時間はかからなかった。

彼らは神殿に行っていた八人を正面にしていた。

「それで、神殿には何か手がかりはあったんですか?」

全員の思いをミコトが代表して言った。一緒に行っていたオウガ達もミツルギ達に注目した。

「あぁ。」

ミツルギが頷いた。それに数人が喜びを露わにした。

「どんな事だったんですか?」

そう言われて、四人は一瞬目を揺らしたが気付かれることはなかった。

「あそこにあったのは、俺たちが知らない歴史を記した壁画だった。」

『何⁉︎』

全員が思ってもいなかった事に驚き、固まった。言われたことが衝撃的すぎたのだ。

「ん?ちょっと待てよ。もしかしてそれ、俺たちが知るよりも前から、ジョーカーが存在してたってことか?」

ミカドが珍しく茶化すことなくそう言った。それをシンラは肯定した。

「そうだ。そしてあの神殿には壁画とともにからの棺の様なものもあった。」

そう言って話を進めようとする彼らに、タケルとシュウトが待ったをかけた。

「ちょちょっ、ちょっと待て!まず確認させろ。神殿には壁画があったんだよな。」

「そうだ。」

「それで、そこに僕達の知らない歴史が書かれていて、それは僕たちの知る『大戦が一時休戦中の時にジョーカーが現れた』よりも前から、ジョーカーがいたってことが書かれていた。で、合ってますか?」

「えぇ。そうです。」

二人が確認する様にまとめるとミツルギとハヅキが肯定した。二人がまとめた事で理解出来ていなかった者達も整理がついた。

「それで、ジョーカーの事何か分かったのか?」

「いや、前の時も急に現れたらしい。それ以上の事は僕たちが知っていることとほとんど変わらないよ。」

整理がついた事で浮上した疑問を尋ねると、ザクロは首を横に振った。その事に殆どの者が肩を落とした。

「だが、今起こっている事について分かった事がある。」

全員の視線がミツルギに向いた。シンラ達も肯定する様に頷いた。

「今回の事、月食によるジョーカーの異変は以前にも起きていた。その対処法についても壁画に記されていた。」

『‼︎』

全員が息を飲んだ。ある者達は冷や汗まで流していた。

「おいおいおい。まさかの大当たりかよ。」

「ですが、それが分かれば今後の対処を決める事ができます。」

タケルが顔を引きつらせたが、コウキが言った言葉に全員が喜んだ。

「神殿の壁画には『月食が始まると、ジョーカーの体に変化が現れる』と書かれていた。」

ミツルギが話し始めるとすぐに真剣な表情に戻った。

「変化って言うと、今も起きてるあの状態か?」

「そうだ。」

「とは言っても、外見が同じだけで力は今よりも強いらしいけどね。」

アキノリがそう尋ねるとミツルギが頷き、補足する様にザクロが言った。

それに顔をしかめたり、どう動くべきか思案したりしていた。

「どうするべきか。」

「…方法ならある。」

溢れた言葉に帰って来たそれに全員が顔を上げた。言葉を発したミツルギとその隣に佇むシンラ・ザクロ・ハヅキは真剣な表情をしていた。

「方法があるって、いったいどんな方法が?」

驚く中で出した声はそんな弱々しいものだった。それに一瞬だけ目を伏せたが、覚悟を決めた顔で彼らを見た。

「役の最上位で、ジョーカーを封印する。」

「ちょ、ちょっと。『封印』って何?‘‘アレ’’はただ今までのものよりも強力なだけの役でしょ。『封印』なんて聞いた事もないんだけど。」

「そ、そうですよ。それに、前に皆さんが使った時は、王を消滅させていたじゃないですか。」

戸惑った様子でミカドとツカサが言った。他のもの達も困惑した様子を隠せなかった。

「ジョーカーを『封印』するためには、『月食のエネルギー』を使うんだよ。」

「何⁉︎」

マサミヤが眉を潜めた。それを気にすることなくザクロは続けた。

「月食が起こってる時、地上にエネルギーが満ちている事は言ったことあるでしょ。それを使って役を発動させ、それをジョーカーに向ければ封印媒体である神殿の棺に封印する事ができる。って事らしい。」

説明された内容に納得している者が数人いたが、納得し切れていない者が大半だった。

「封印したジョーカーはそれが弱まるまで棺の中に封じられる。前回が数百年は持ってたから、今回もそのぐらいだろうね。」

ザクロの言葉に彼らが封印を行う事はすでに決めている事がうかがえる。その事何人かが訝しんだ。

「封印するのに役の制限ってのはあるのか?」

「月食のエネルギーを使うからか、使える役は『第一位 ロイヤルストレートフラッシュ』だけらしいよ。でも、それ以下の役も封印はできなくても今まで通りジョーカーを消滅させる事はできるらしいから、雑魚の方は頼むよ。」

それを聞いて、同じ様に封印を行おうと思っていた者達は悔しそうな顔をした。

「封印するのにリスクはないのか?」

「リスクと言えるほどのものではありませんが、封印には膨大なエネルギーを使います。なので封印を終えてすぐは倒れるかもしれません。」

「なっ⁉︎大丈夫なのかよそれ。」

「確かに危なく見えるけど、今までより強くなったジョーカーを相手に第二位以下の役しか使えないそっちの方が危ないと思うけどね。」

ハヅキの言葉に心配で声をあげたが、ニヤリとした顔で言ったザクロにミカド達はムッとしたが、事実だったので堪えた。

みんなの反応が面白かったからか、ザクロは笑みを深めた。それにミツルギ達は嘆息し改めて彼らの方を向いた。

「取り敢えず、今後の方針としては一度国に戻って月食までに準備を整えておいてくれ。月食が起これば森にいるジョーカー全てが変異することになる。」

「そうだな。その間にまた新たな事が分かるかもしれない。一週間後にまた集まろう。」

ミツルギの言葉に全員が頷いた。そして、それぞれが帰国の準備を始めた。

          ***

準備をする中、ミツルギ達は暗い表情をしていた。

「封印、か。」

「何か言ったか?ミツルギ。」

「いや、何でもない。」

呟きを聞いたオウガが尋ねたが、ミツルギは首を横に振って準備を再開した。

ミツルギ達は帰国の準備をしながらも、神殿の壁画のことを思い出していた。

(あの絵にあったジョーカーの‘‘真実’’。前回の封印で使った『未完成の役』。それを使った代償。)

ミツルギ達には仲間達に話していない事がまだあった。彼らはそれを話す事ができなかった。まだ彼ら自身も戸惑っていたからだ。

それぞれの国へ帰る中、そのことを考え暗い表情でいたミツルギ達に、何人かは気付いていた。

次に彼らが会うのは、一週間後。

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