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Knight of Ace  作者: 赤城 奏
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第六話 王の出現と切り札

彼らの前に現れたジョーカー・王。だがその王も身体中に棘を生やした凶々しい姿になっていた。

それを見たミツルギ達は冷や汗を流した。

「いつかは出てくると思ってはいたが、こんなに早く出るとはな。」

王を見たオウガはできるだけ軽く言ったが、声は固かった。オウガだけではない。全員が王に気圧されて動くことが出来なかった。

『グオオオォォォ』

そんな中ジョーカーが大きく吠え、ものすごいスピードで彼らに襲いかかってきた。そのスピードに反応できたのはAだけだった。ミツルギ達は反射的に避けたが動けなかったオウガ達は剣で防ごうとしたが振り上げられたジョーカーの腕を止めることはできず後ろへ吹き飛ばされた。

『があぁ。』

『お前達(皆さん)!』

ジョーカーの攻撃を受け倒れてしまったオウガ達にミツルギ達は叫んだ。なんとか立ち上がろうとするオウガ達だが、ダメージが大きく再度倒れてしまった。

そんな彼らにととどめを刺そうとジョーカーが腕を振り下ろしたが、間に入ったザクロとハヅキによって止められた。

「ぐっ。」

「攻撃が、重い。」

二人が止めた攻撃は今までのものよりも重く、二人は押されていた。そこへミツルギとシンラが彼らの後ろから左右の脇を攻撃し、力が緩んだところでザクロとハヅキが腕を弾き返した。ガラ空きになった胴に四人の蹴りを受けたまらず数歩後退した。

だが、四人の攻撃はジョーカーにあまり効いている様子はなかった。

ジョーカーを見据えたまま仲間を背後に庇う体制でミツルギは仲間に尋ねた。

「大丈夫か。」

「あぁ。と言いたいところだが、あまりそうでもなさそうだ。」

オウガが苦しそうに言った。他の者たちも致命傷と言えるものは負っていないが、受けたダメージが強く苦しそうだった。

それを感じ取ったシンラが彼らに言った。

「お前たちはダメージが回復するまでそこにいろ。こいつの相手は私達がやる。」

シンラがそう言うと、四人はジョーカーの前へ歩み出た。

「二人とも、攻撃には気をつけなよ。今までのものより重いよ。」

ザクロが警告としてミツルギ達に言った。顔には冷や汗が流れていた。

「それにさっきのスピードも厄介です。」

同じように顔をこわばらせたハヅキが言った。二人の言葉を聞いて、ミツルギは対処法を口にした。

「攻撃を流して、手数で決めるのが妥当か。」

「そのようだな。」

それにシンラ達も頷いた。四人は一気に駆け出し、ジョーカーに向かって行った。

          ***

ミツルギがジョーカーの右脇を抜ける瞬間、脇腹を斬りつけた。それを腕で防いだジョーカーが反対の腕を振り下ろそうとした時背後からザクロが斬りつけた。

振り上げていた腕をジョーカーは横に振り背後のザクロを狙ったがザクロはミツルギとともに後ろへ下がってそれを避けた。

入れ替わるように懐に入り込んだハヅキが下から斬り上げ、ジョーカーは体勢を崩した。

追い討ちをかけるようにシンラとミツルギがハヅキの後ろから飛び出し剣を左右から振り下ろした。

四人の攻撃はジョーカーに反撃を入れる隙を与えず優勢だった。

四人の攻撃にとうとうジョーカーが膝をついた時、四人はジョーカーを囲み、利き足を引いて剣を斜め上に構え役を発動した。

『ストレートフラッシュ』

四人の剣は薄い赤色を纏った。四人は剣を上から振り下ろし斬撃を飛ばした。膝をついているジョーカーは斬撃を全て受けた。その瞬間、あたりは煙に包まれた。

四人の攻撃がジョーカーに直撃したのを見た仲間達は喜びの声を上げた。

「やった、王を倒した。」

「流石はA様って事か。」

仲間達が喜ぶ中、ミツルギ達は険しい表情のまま正面を見据えていた。あと少しで煙が晴れる時、中から重い声が聞こえた。

『グウウゥゥ』

その声を聞いてミツルギ達は再度剣を構え、オウガ達は顔をこわばらせた。

煙が晴れた先には無傷のジョーカーがいた。

『‼︎』

「そんな。」

「嘘、だろ。」

オウガ達が目を見開く中、ジョーカーは大きく吠えた。

『グオオオォォォ』

それによって生まれた衝撃波がミツルギ達を襲った。ミツルギ達は顔を腕で覆って衝撃を防いだ。

ミツルギ達が顔を上げるとそこにはジョーカーがいなかった。

「なっ⁉︎どこにっぐぁ。」

「がっ!」

「ぐぅ。」

「ああっ。」

ミツルギは背中に攻撃を受け倒れた。同じようにシンラ・ザクロ・ハヅキも攻撃を受けて倒れた。

『ミツルギ(さん)!』

『シンラ(さん)!』

『ザクロ(様)!』

『ハヅキ!』

それを見たオウガ達は起き上がろうとしたが、受けたダメージが回復しておらず膝をついた。

「クッソ、どうすれば。」

「役の、それも第二位の技が効かないなんて。」

絶体絶命の状況に彼らは打つ手が無かった。

そんな中、体を起こしたミツルギがシンラ達に聞いた。

「お前たち、まだやれるか。」

その問いにシンラたちは笑みを漏らして答えた。

「当たり前だ。この程度で寝ていられるか。」

シンラが好戦的な笑みを浮かべて言った。同意するようにザクロたちも続けた。

「そうそ。それに、こんな時のための切り札でしょ。」

「そうですよ。ここで使わないで、どこで使うんですか。」

ザクロが軽い口調で、ハヅキが力強くそう言った。それにミツルギも頷き、四人は立ち上がって剣を構えた。

それを見た仲間たちは静止の声を上げた。

「やめろお前ら。」

「無茶だ。」

だが、その声を振り切ってミツルギたちは同時に駆け出した。

四人の動きは攻撃を受けたためか先程よりも動きが鈍くなっていた。だがそれも息のあった動きでカバーし合い、先程と同じように少しずつジョーカーを追い詰めて行った。

ミツルギが振り下ろされた腕を剣の腹で流し、飛び上がって肩を斬りつけ前転の要領で後ろに着地した。

そこへシンラとハヅキが左右から胴を斬り、ザクロが正面から、ミツルギが背後から剣を上下に斬りつけた。

再度膝をついたジョーカーの正面にミツルギたちは並んだ。それが役を使おうとしているのだと気づいた仲間達は声を上げた。

「やめろ、役じゃ無理だ!」

「第二位の役が効かなかったんだ。他の役が効くわけない!」

仲間達の制止の声を聞きながら、四人は一度目を閉じると、覚悟を決めたように目を開いた。

彼らは剣を顔の正面に横にして掲げた。見たこともない構えに仲間達は訝しんだ。

そして仲間達が見る中、その役を使った。

『ロイヤルストレートフラッシュ』

彼らの言葉を聞いた仲間達は目を見開いた。

「なっ!」

「ロイヤル、ストレートフラッシュって。」

目を見開いたままアキノリがタイコウに尋ねた。

「役の第一位。だが、誰も修得できなかったはずだ。」

「なんであいつらが。」

困惑した様子を隠さず答えたタイコウの言葉に、ヒロキは声を漏らした。

彼らが困惑する中、四人は一斉にジョーカーに斬りかかった。ミツルギとシンラが左右の脇を斬り、ザクロとハヅキか上下から剣を振るった。

四人に斬られたジョーカーは赤い光に包まれて消滅した。

消滅を見届けた四人は剣を納め、その場に崩れ落ちた。

          ***

ミツルギ達は全員部屋に戻っていた。

あの後起き上がれるようになった仲間達に運ばれ、手当てを受けた。オウガ達は攻撃を受けたとはいえ、大きな傷はなかったが、ミツルギ達の体にはジョーカーの爪によってできた傷があった。ミツルギ達の怪我は幸い致命傷というほどのものではなかったため、二週間ほどで完治するようだった。

そして全員が治療を終えた頃、オウガ達がミツルギ達を見た。

「さて、話してくれるか。ミツルギ。」

「俺たちが知らないお前達のこと。」

「お前達が、なぜ‘‘アレ’’を使うことができたのか。」

そう言われたミツルギ達は、全員の顔を見渡し、顔を見合わせて頷いた。

「あぁ。全て話すさ。」

「私たちが隠していたことの全てを。」

そう言って、四人は静かに語り出した。

俺たちが初めて会ったのはジョーカーと対峙していた時だ。森の奥にジョーカーが出現したということで調査に向かっていた時、当時では考えられない数のジョーカーが出現していた。それを倒している時、同じようにジョーカーを倒すこいつらと会った。

初めの内は国の事もあり関わらないようにしていたのだが、ジョーカーの数に押され始めていた。それで仕方がないと四人で共闘し、ジョーカーを倒し切ったんだ。その後、国にはジョーカーが大量に出現していたことのみ伝え、こいつらの事は伝えなかったんだ。そして、再度調査に向かった時もこいつらと会った。

その時も初めは関わらないようにしてたんだけど、出現したジョーカーがこれまた大量でね。その時は前回のこともあって前より早めに共闘してすぐに帰ったんだよ。だけどその後も何度も会うもんだから気を張るのも馬鹿馬鹿しくなっちゃってね。耐えられなくて素を出しちゃったんだよねぇ。

それでお互いのことを知った僕たちは、同じAということで似た悩みを持っていましたので、気が楽になったんです。それからはジョーカー退治以外の時でも会うようになったんです。

会っていたのは切り札の森の中央にある神殿でだった。そこで会ってはたわいもない話をしていたり、模擬戦をしていた。最近はジョーカーの変異のことも話していた。

そして、こいつらと会っていたある時、俺は‘‘アレ’’を教えた。『役の第一位 ロイヤルストレートフラッシュ』。俺はこれを習得していた。だが下手にそのことを国に伝えればいらぬ争いを起こすかもしれないと思い、黙っていた。それをこいつらに話した。こいつらは俺が使えたことに驚いたが、隠していた理由に納得してくれた。そしていつかの時のために俺は‘‘アレ’’を教えた。

僕たちが‘‘アレ’’を習得したのはつい最近だよ。それだけ習得には時間が掛かった。

だがこいつらは‘‘アレ’’を習得することができた。俺たちは必要になる時までは‘‘アレ’’を使わないことにしていたんだ。

「そしてあの時、俺達は‘‘アレ’’を使った。‘‘アレ’’を使わなければジョーカーを倒せなかったからでもあるが、一番は仲間だと言ってくれたお前達を失いたくはなかったからだ。」

「これが私達が隠していたこと全てだ。」

そう言って四人は話を締めた。オウガ達は話の内容に驚いている者もいたが、その大半は顔をしかめていた。

彼らの表情を見たミツルギ達は否定されても仕方がないと思っていたが、内心は不安だった。

(俺たちが話した事は全て真実だ。あの時、オウガ達のことを信じきれてはいなかった。)

(私達のことを知らなかったとはいえ、仲間だと言ってくれた彼らを裏切ってしまったのにまだ仲間だと言って欲しいとは、我ながら呆れるな。)

(なんでだろうねぇ。前まではミツルギ達だけで良いと思ってたのに、今はそれじゃあ足りないなんて。)

(やっぱり、仲間だって言ってくれたのはすごく嬉しかったんです。でも裏切ってしまってのは本当だから。)

ミツルギ達が不安に思う中で、オウガ達は顔を見合わせ頷いた。全員同じ気持ちだった。

「ミツルギ。俺たちの思いは、お前は俺たちの大切な仲間だってことだ。」

オウガは真剣な表情でそういうとニッと笑った。それを聞いて、ミツルギ達は目を見開いた。

「オウガ。」

オウガの後ろでは全員が同じように笑っていた。

「僕達にとって、ミツルギさんは大切な仲間なんです。それは何があっても変わりません。」

「ぼ、僕も同じです。」

「僕もです。」

オウガに続くように言ったミコトにツカサとミツルも続いた。

「俺たちも同じだよ。」

「マサミヤ。」

彼らに続くようにマサミヤ達も言った。

「言っただろ、あんたにいなくなられたら困るって。」

「こんな事言ってますが、本当はシンラさんが大切なんですよ。」

「バッ、ヒロキお前ぇ‼︎」

マサミヤとヒロキが言い合いを始め、タケルがそれを笑って見ていた。それにコウキはため息をつきつつもシンラに向かって言った。

「全く。シンラさん。私もあなたのことを彼らと同じく仲間だと思っています。」

「俺も俺も。」

コウキの横で、笑いながらも飛び跳ねるようにタケルが言った。

「良かったねぇ。」

「何がだ。」

ミツルギとシンラを優しい目で、しかし少し羨ましそうに見ていたざくろが呟いた言葉をオウキが拾って尋ねた。それにザクロは肩をすくめて返した。

「別に。」

「ほぉ。仲間の俺たちにも教えてくれないのか。」

「えっ⁉︎」

素っ気なく言ったザクロは返された言葉に目を見開いて振り返った。振り返った先でオウキ達が優しい顔で笑っていた。

「何だぁ。そんなに意外だったのかよ。なっさけねぇA様だな。」

ケタケタ笑うミカドにシュウトは隣で首を傾げていた。

「お前ら。」

ミカドに笑われながらも目を見開いたままでいるザクロにノブタカは進み出た。

「ザクロ様は私達の仲間です。それは変わりません。」

ノブタカの言葉にオウキもシュウトも、そしてひとしきり笑ったミカドも頷いた。

「ハヅキ。」

マサトに呼ばれてハヅキは肩を跳ねさせ、振り返った。その様子にマサトは苦笑を漏らした。

「マサトさん。」

「そんなに怖がらないで下さい。僕達の仲間である君を怖がらせたいわけではないんですから。」

その言葉にハヅキは目を見開いた。そこへアキノリが飛びついた。飛びつかれたハヅキは倒れかかったがタイコウに受け止められた。

「アキノリ危ないだろ。」

「ハヅキ!」

注意するタイコウだが、アキノリは聞いていなかった。

「俺たちは仲間だ。お前は俺たちのAだ!それは絶対変わらねぇ!」

叫ぶように言ったアキノリにトウヤが顔をしかめた。

「ウルセェんだよアキノリ。ハヅキが好きだからってベタベタしすぎなんだよ。」

「何おう!」

トウヤの言葉に食ってかかったアキノリがハヅキから離れ言い合いを始めた。それをマサトとタイコウは苦笑したり、呆れてため息をついていたりした。

彼らの言葉を聞いて、ミツルギ達は感謝を言い続けた。

          ***

全員がそれぞれで話をしていた頃、部屋にそれぞれの国の司令官が入ってきた。ミツルギ達は司令官の元へ駆け寄った。

「総司令官。会議の方はどうなりましたか。」

「そのことだが、国に帰り次第会議を開く。そこで今回のことを話す。お前達はすぐに期間の準備を始めろ。」

『了解。』

全員がそれに頷き、帰国の準備を始めた。おなじようにザクロとハヅキの方も準備を始めていた。

準備を終えたミツルギ達はそれぞれの国へ帰還していった。

帰国後すぐに開かれた会議で、ミツルギ達は集められた。

「総司令官。会議の結果はどうなりましたか。」

代表するようにミコトが言った。総司令官の言葉を全員が固唾を飲んで待った。

「今回の協議の結果、ジョーカーの異変を解決するため長らく停戦状態だった戦争を終結させ、国同士が協力をすることとなった。」

「それでは、彼らと共に行動しろと。」

「そうだ。」

その言葉にミツルギ達は喜んだ。だがすぐに真剣な表情に戻ると総司令官の言葉を待った。

「今回のことは先程も言ったようにジョーカーの異変解決のためだ。そのため、拠点をスピリット王国の城とすることとなった。君たちは今の怪我が完治次第スピリット王国に再度向かってくれ。ジョーカーのことはお前達に一任する。」

『了解。』

会議の後、五人は部屋を出てそれぞれの部屋へと戻った。

          ***

彼らは重症でミツルギの怪我が治るまで各自鍛錬していた。これからさらにひどくなるであろう戦いに備え、それぞれが凶暴化したジョーカーを一人で倒すことができるまでになった。また禍々しく変異したジョーカーにも劣ることのない程の力をつけていた。

同じようにミツルギも無理ではない程度で鍛錬をし、王にもう少し対抗できるようにできる範囲で鍛えた。

傷が癒えた二週間後、彼らは再び集まった。他のもの達も同じ様に鍛えていた。

再会したミツルギ・シンラ・ザクロ・ハヅキの四人は顔を見合わせ頷き合った。

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