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案内されたのは、昨日の広間とは違った豪華な部屋だった。中央の奥にある椅子に豚がどっしりと座っていた。そしてその周りには厳格そうな人が数人と子供が数人立っていた。子供の容姿から、おそらく周りに立っている人たちの子供だろうと予想。この状況からここは世に言う謁見の間のような所ではないかと推察した。
相変わらず、私に向けられる視線は厳しい。
私が来たのを確認してから豚がめんどくさそうに口を開いた。
「やっと来たか。ここにいるのはお前とともに魔王を討伐に行く者たちとその親だ。左から宰相の息子ジークフリート。騎士団団長の息子キース。魔法師団団長の息子ベルンハルト。そして……」
豚が自分の隣を見た。
「俺の娘のクリスティーナだ。年は皆15だ。お前をここにわざわざ読んでやったのは、顔合わせとお前の魔力量を調べるためだ。」
豚がそういうと、魔導士団団長と言われた人が水晶玉をもって前に出た。魔法師団の団長さん、長いから師団長でいいや。は、私の左腕をつかみ、取り出した短剣で容赦なく指を切った。
「っっ!!!」
あまりの容赦のなさと痛みに私はうめいた。師団長はそんな私にはお構いなしに、血が滴る私の手を水晶玉に押し付けた。
すると水晶玉が一瞬激しく輝いて、パリーンと音を立てて割れた。私は何が起こったのかわからなかった。けれど周りからありえないと聞こえたので、とんでもないことをやらかしてしまったことだけは理解した。
私が頭の中でどうしようと混乱していると、魔団長が豚に
「これの魔力は人の枠を超えています。これほどの魔力であれば、魔法のみでも魔王に挑めるかと。」
と報告した。豚はそれを聞き、ニヤリと笑って言った。
「それはそれは結構。だったらこやつは剣と魔法どちらも身につけさせようではないか! 騎士団と魔導士団の両団長に任せよう。後、この国にとって不利な行動をとらないよう、知識も詰め込ませねばな。そこは宰相に任せよう。しっかりかわいがってやれ。」
「「「はっ!」」」
団長二人もニヤリと笑って返事をした。
そのやり取りを聞いて、私は背中に冷たいものが走るのを感じた。なぜなら今までの対応、この場にいる者たちの目線や表情などから、この人たちが言う可愛がるということがどのようなことなのか容易に予想ができてしまったからだ。
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