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5話 リグル村

《大丈夫です。腰のホルダーの中に冒険者カードが入っています。私が偽造しておきました》



 偽造って、それは犯罪だろう。

しかし、冒険者カードを見せなければ警備の村人は村の中へ入れてくれない。

ここまで来て、村から追い返されるのは嫌だし、また草原で一夜を明かすのは嫌だ。

ここは魔素の言うことを素直に受け入れておこう。

腰につけてある革のホルダーの中へ手を入れると2枚のカードの感触がある。

カードを取り出して、警備の村人に手渡す。



「カールストンの街の冒険者か。辺境の最果てまで冒険に来たのか。ようこそリグル村へ。歓迎する」



 警備の村人が警戒心を解いて、笑顔でニッと笑う。

筋肉隆々で厳めしい顔の村人だが、案外と良い人なのかもしれない。

冒険者カードを確かめてカナトにカードを返す。



「ここは魔巣の森へと続く、最後の村でな。時々、野盗まがいの奴等が入りこもうとするから、警戒を厳重にしているんだ。草原を抜けたら魔巣の森だからな」



 草原で見た森は魔巣の森と呼ばれている森だったのだろう。

方向を間違えて、森へ向かっていれば大変なことになっているところだった。

これからもどこかへ向かう時は、事前に魔素と相談するようにしよう。



「この村に1件だけ宿屋がある。『水熊の宿』だ。大通りを行けばすぐにわかる。その手前に冒険者ギルドもある。ゆっくりとして行ってくれ」



 ナナがカナトの背中から出てきて、警備の村人の微笑みかける。



「この村では、どのような神を信仰しておるのじゃ?」


「ああ……この村は昔はホビット族が多かったことから、小人神を祀っているんだ。ホビット族の英雄、クッカ様だ」


「ありがとうなのじゃ」



 なぜナナが祀っている神のことを聞いたのかわからない。

それよりも魔石を硬貨に交換しないと、宿屋に泊まることができない。

まずは冒険者ギルドへ行って、魔石と硬貨と交換してもらうことが先だ。

ナナと手をつなぎながら、村に1つしかない大通りをカナトは急いで歩いていく。

夜になる前には宿屋に着いておきたかった。


 冒険者ギルドの扉を開いて中に入ると、大人数の冒険者達が食堂でエール酒を飲んでいる。

さすが辺境の最果ての村、魔巣の森へ向かう冒険者達だろう。

皆、それなりに厳めしい顔をして、腕が立ちそうだ。


 カナトはナナと2人でゆっくりと歩いていき、受付カウンターで冒険者カードを受付嬢に見せる。



「カールストンの街の冒険者様ですね。今回はリグル村へようこそ。今回はどのようなご用件でしょうか?」



 ミディアムヘアーのふわゆるカールが可愛らしい受付嬢が、甘い声で対応してくれる。

さすがは受付嬢。毎日言い慣れているらしく、実に手慣れている。



「お二人共、15歳の若さで魔巣の森へ挑戦ですか。若いって良いですね。でも、あの森は危険ですので、十分にご注意願います。今のお二人のレベルでは魔巣の森は危険だと判断いたします」



 はあ? 15歳? 死んだときは35歳だったぞ。

しかし、年齢について受付嬢は全く怪しんでいない。

そういえば、肌が以前よりもツルツルしている気がするし、背も小さくなっているような気がする。

宿屋に着いて、鏡があれば、確かめてみる必要がありそうだ。



「俺達、魔巣の森へ挑戦するのは初めてなんですよ。それに冒険者になって、まだまだ新人なので、魔巣の森について説明してもらえると嬉しい」


「私の名はセリルと言います。何でも村のことや、冒険のことなら聞いてください。私が説明しますね」


「ありがとうございます」



 セリルの説明では、冒険者ランクはGランクが最低で、カナトとナナの2人のレベルはEランクになっているという。

魔巣の森の魔獣は最弱でもDランク以上であり、今の実力では魔巣の森へ挑戦するのは難しいと言う。

しかし、自分の今のランクより2つ上のランクまで挑戦できるので、魔巣の森へ入ることは許可される。


 魔巣の森を抜けると、魔峰の頂と呼ばれる連峰へ向かうことができるという。

魔峰の頂の難易度はBランクであり、ほとんどの冒険者は挑戦しない。

魔峰にはドラゴンが住み着いているという噂もあるらしい。



「草原でゴブリン退治をしてきたんだ。魔石を交換したいんだけど……」


「交換所は隣の窓口となります」


「ありがとう」



 セリルは手を振って、カナト達を見送る。

セリルの年齢は20歳ぐらいだろうか。

35歳の頃のカナトでは年齢的にまだ若すぎるが、15歳の年齢からみるセリルは十分に大人の魅力がある。

カナトは少し照れながらセリルに手を振って交換所へ向かう。

隣ではなぜかナナが不機嫌な顔をして口を尖らせている。


 リグルの村はカルデナ世界のコーデリア大陸の中央にある、ローグライク王国の辺境にある村だと、先ほどセリルから説明を聞いた。


 コーデリア大陸では共通貨幣が使われている。

雑貨、銅貨、銀貨、金貨、光金貨、聖金貨という貨幣に区分けされていた。

カナトは頭の中で日本円の価値に直して考えてみる。


雑貨=10円

銅貨=100円

銀貨=1000円

金貨=10000円

光金貨=100000円

聖金貨=1000000円


 光金貨と聖金貨は商人や貴族だけが目にすることのできる硬貨だという。

交換所で革のホルダーに入れいた魔石を全部取り出して、硬貨と交換してもらう。

ゴブリンの魔石を硬貨に交換すると、金貨2枚に交換できた。

低級魔獣のゴブリンでは魔石が小さく、あまり高額にはならない。

それでも今夜の宿代だけは確保できる。



「用が済んだら、早く村の神殿へ行くのじゃ」


「何を焦っているんだ?」


「とにかく早く行くのじゃ」



 急かされるようにして、冒険者ギルドを出て、大通りの奥まで歩いていく。

すると小さな神殿が建っていた。

その中へナナはカナトの手を握ったまま入っていく。

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