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43話 再会

 夜になって『サイクロプスの単眼亭』を抜け出して、幸運の女神の神殿へ向かう。

王都でも幸運の女神の人気は高く、神殿も大きく建てられている。

神殿の中へ入ると、夜ということもあり、人は誰もいない。


 神殿の奥へと入っていき、幸運の女神像の前でナナは大きな声で呼びかける。



「フォルナ……フォルナ……我じゃ……創造神じゃ……姿を見せてほしい」



 その言葉と響きあうように、幸運の女神像が光り輝く。

そして1人の銀髪の美女が姿を現した。

幸運の女神フォルナだ。

その美貌は神界で会った時とまるで変わらない輝きを放っている。



「創造神様……よくぞ、ご無事でした。こうして出会えたのも幸運の賜物です」


「フォルナがカナトに幸運を与えてくれたおかげじゃな」



 その言葉を聞いてフォルナがカナトを見る。

涼やかで、清楚な眼差しを受けて、カナトは照れて視線を逸らす。



「カナト……よくぞ創造神様を守ってくれました。これでまだ望みが保てます」


「俺がいなくても、たぶんナナは1人でも大丈夫だったように思うぞ……ナナは強いからな」


「ナナ? それは誰の名ですか?」


「ナナは我のあだ名じゃ。創造神なので名がない。だからナナシ。略してナナじゃ」


「創造神様に無礼な!」



 フォルナはカナトの真正面に立つと、きれいで美しい顔を険しくして、コンコンと説教をする。

絶世の美女なだけに、真剣な顔で怒られると、何も反論できない。

カナトは肩身を狭くして、フォルナの説教を聞いている。

そんな姿をナナは懐かしそうに眺めていた。



「フォルナは神界にいた時と変わらんな。我のこととなると真剣になってくれる。嬉しく思う。じゃが、あだ名など、どうでもいいのじゃ。ナナというあだ名も我は気に入っている。地上にいる時はフォルナもナナと呼ぶがいい。それでいいのじゃ」



 ナナはすっかり自分のあだ名を気に入ってしまっているようで、フォルナにまでナナと呼ぶように告げる。

フォルナはナナを見て困った顔をして、少し微笑んだ。



「創造神様は神界にいた時と全く変わらないのですね。なんと寛大なのでしょう。地上にいる間は私もナナ様とお呼びいたしましょう」


「それで良い。他の神もナナと呼んでいるからのう」


「他の神とは?」



 ナナとカナトは地上に降りてから、今までの旅の一部始終をフォルナに説明する。

フォルナはカナト達の旅を聞いて、にこやかに笑ったり、真剣になったり、時には怒ったりと表情を目まぐるしく変える。

清楚で穏やかなだけの女性だと思っていたが、意外にも表情は豊かだ。



「それで魔族に連れられて王都まで来たのですね。本当にその魔族は信用できるのですか?」


「今のところは信用できると思っている。しかし魔族だ。それなりに警戒はしておくつもりだよ。もう魔族の邸からは抜け出して、普通の宿に泊まっているし、今は安全だ」



 カナトとナナは魔神マモンの復活と獄炎のベルナンドとの激戦を語っていくと、フォルナの表情が険しくなる。


 フォルナは冷静に魔神マモンと魔族についてカナトに語る。

 魔神マモンは神なので通常の方法では倒すことができない。

ただ冥界へ封印するしか方法はない。

魔神マモンと対峙するためには、魔族四天王と戦うことになる。

魔族、魔獣の力を弱めるには、大きな『神威』が必要だと。


 そして、魔神マモンを倒すにしろ、封印するにしろ、最大級の幸運に恵まれる必要があると説明を受ける。

幸運の女神フォルナこそが、魔神マモンの天敵といえる存在らしい。



「私は幸運の女神。幸運の奇跡を運ぶ者。魔神マモンも幸運に見放されれば、ナナ様に屈服するしかないのです。私はそのために存在しています」


「今から他の神殿も回って、神々達に協力をあおぎたいのじゃ。フォルナも手伝ってくれぬか?」


「困りました……風の女神アウラ、炎の神カークスの2名は上位神である天神ゼパスと共に天界にいます。水の神アープも上位神である海神オリュポスと共に海界にいます。土女神オプスは上位神である、地の女神ナディアと共に姿を消しています。王都の4つの神殿には神はいません」



 王都に来て、一度に5人の神々と手を結べると思っていたのに大誤算が生じた。

しかし、フォルナとだけでも合流できたことは喜ばしい。



「天神ゼパスは、このカルデナ世界を掌握したいはず。決してナナ様と手を組もうとはしないでしょう。海神も同じと思っていいでしょう。天神にも海神にもそれだけの力があります」


「では手を組んでくれそうなのは地の女神ナディアと土の女神オプスということか。でも姿を隠して逃げられてしまっては手の組みようがないな」


「カナト……私は幸運の女神です。私の幸運が地の女神の元へ、私達を連れて行ってくれます」



 フォルナの幸運があれば、地の女神の元へ導かれるのは容易なのかもしれない。

幸運の女神が、幸運を使うのだから、効力は絶大だろう。



「もしかするとフォルナも一緒に旅をするつもりか? 神殿はどうするんだ?」


「幸運とは1つの場所にいるものではないのです。風のように舞い、誰も手に入れられないもの。ただ偶然に通り過ぎた時に、幸運が授けられるだけ。私はそういう存在なのです。私が忠誠を誓うのはナナ様のみ」



 フォルナの意思は固そうだ。

ナナと2人だけの旅でも、美少女との2人旅で目立つ。

絶世の美女のフォルナも一緒となると、これからの旅は目立ちすぎてしまう。



「フォルナは美すぎるから目立つだろう。ナナだけでも美少女で目立つのに……これ以上、目立つと困るんだよ」


「『化粧』の魔法で外見など、変えられるではありませんか」


「そんなことナナから俺は聞いていないぞ」


「カナトが今まで聞いてこなかったからじゃ」



 目の前で、白髪だったナナの髪が金髪に変化し、フォルナの銀髪が栗色の髪の色に変化する。

どこから見ても人間の美少女と美女だ。

ナナとフォルナはまるで姉妹のように手をつないで神殿から出ていくのだった。


 これからの道先案内人はフォルナがいる。

3人での気ままな旅も楽しいかもしれないとカナトは思った。


                           END

これにて完結といたしますm(__)m

評価が入ればとても嬉しいです(*^▽^*)

応援くださった読者様、誠に感謝いたします。

ありがとうございます。

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