42話 王都到着
馬車の旅は2週間続き、カナトとナナの2人はローグライク王国の王都ローグに到着した。
王都であるローグは円形の城壁都市で、中央に5つ尖塔を持つローグライク城が建っている。
ローグライク城は円形の城壁に囲まれている城で、5つの尖塔には巨大な魔石が組み込まれており、ドラゴンの襲撃にも耐えられているという。
外の城壁の大門は東西南北の1つづつ4つあり、それぞれに大門の横には貴族専用の門が設備されている。
馬車は貴族用の門を通過して、ローグの街中へ入る。
ローグの街は東西南北に大通りが通っており、馬車は大通りをゆっくりと貴族地区へと進む。
貴族地区に入って30分ほど走ると、ひと際大きな邸に到着した。
「ここが私の住んでいる邸でございます。これからはナナ様、カナト様の邸と思ってくつろいでくださいませ」
ヘルガは馬車の中でここが終着地点であることを示す。
馬車はゆっくりと邸の中へと入っていき、邸の玄関で停車する。
アーネ、ヘルガの順に馬車から降りる。
そしてカナト、ナナの順でヘルガ達の後に続く。
「申し遅れました。ここはローグライク王国、パラシオス侯爵邸です。私の名はヘルガ・フォン・パラシオスと申します。パラシオス侯爵の息女でございます。ようこそ我が邸へ」
ヘルガはそういうと玄関を大きく開ける。
中には10人以上のメイド達が並んで、礼をしている。
「お帰りなさいませ。ヘルガお嬢様」
「私の大事なお客様を連れて帰りました。これから、この邸で住むことになるナナ様とカナト様です。私の大事な客人ですので、丁重にお願いするわね」
「はい。ヘルガお嬢様」
メイド達は声を揃えて、ヘルガに答える。
カナトとナナは3階に自室を与えられ、そこで休むことになった。
武具と防具を外して、フカフカの高級ベッドに寝転んで体を休めようとするが、場違いな気がして体を休めることができない。
それでも、まぶたを閉じていると部屋の扉が開いてナナが入ってきた。
そしてカナトのベッドの上に座り込んで、カナトの腕を引っ張る。
「どうしたんだ? 休めないのか?」
「我はこのような生活を求めていたのではない。カナトと気ままな旅を楽しみたかっただけじゃ」
「そうだな。俺もこんな好待遇を期待していたわけじゃない。いつもの宿のほうが落ち着く」
ナナの顔が花が咲いたように笑顔に変わる。
その顔を見た瞬間に、ナナが何を言いたいのか、カナトに伝わった。
カナトは武具と防具を体に付け直して、旅の準備を始める。
ヘルガには悪いが、この邸は落ち着かない。
それに何をするにも、メイド達に言わなければいけないのが面倒だ。
カナトもナナも、もっと気ままな旅がいい。
王都まで一緒に馬車に乗せてもらったのはありがたいが、ナナとカナトはこの邸を抜け出すことにした。
カナトは『透視遠見』の魔法で、ローグの街を眺め、大通りから少し離れた路地の誰もいない場所を見つける。
ナナを抱きしめて、『転移』の魔法を使って、ヘルガの邸を抜け出して、路地に『転移』する。
その路地から少し歩くと大通りに出た。
さすが王都の大通りだけあって、カールストンの街とは規模が違うほど、大通りの幅が広い。
そして行き交う人々の量が多い。
大通には、今まで見たこともないような、大きな店が軒を連ねている。
大通に剣と槍と斧の看板が掲げられている。
王都の冒険者ギルドだ。
中へ入ってみると、カールストンの街の冒険者ギルドよりも規模は大きいが、構造は同じだった。
受付カウンターへ行って、見眼麗しい受付嬢へ冒険者カードを提示する。
王都の冒険者ギルドなのに、冒険者の数が非常に少ない。
「王都ローグへようこそ。ここは王都ですから、王都の近くでは低級魔獣しかいません。中級魔獣以上となると近隣の村へ宿泊する必要があります」
「わかったありがとう……今日は違う質問で来た。王都にはいくつ神殿があるのか教えてほしい。それとどんな神が祀られているのか、教えてほしい。せっかく王都に来たんだ。神殿ぐらいは観光したい」
「わかりました。王都には神殿が5つあります。風の女神アウラ、炎の神カークス、水の神アープ、土の女神オプス、幸運の女神フォルナです」
女神フォルナの名前を聞いて、初めて神界で出会った銀髪の美女を思い出す。
ナナもフォルナの名前を聞いて、思わず笑顔が浮かんでいる。
幸運の女神フォルナがいるというだけでも王都に来て良かったと思う。
冒険者ギルドを出て、2人で手をつないで大通りを歩く。
「ナナ……フォルナに会えるぞ……良かったな」
「うむ……我も嬉しいのじゃ。今からでもフォルナに会いたいのじゃ」
「フォルナに会いに行くのは後からにしよう。今日、泊まる宿を探さないといけない」
「わかったのじゃ」
ナナとカナトは大通から少し入った所にある『サイクロプスの単眼亭』という宿屋を訪ねた。
ここの宿屋も1階は食堂をしており、2階と3階が宿屋になっている。
宿の玄関を入ると、カウンターがあり、すこし小太りの女性が番をしていた。
「1泊1人銀貨5枚だよ。2部屋使うなら金貨1枚さ。朝食は付いてるけどね。どうするね?」
さすがに王都だけあって、1泊の宿代も高い。
カナト達はいくらかの貯えがあるから大丈夫だが、貯えのない冒険者は大変だ。
王都の冒険者が集まらない理由が理解できる。
カナトは革ホルダーから革袋を取り出して、金貨を3枚渡す。
「長期で滞在するかもしれない。まずは3日分だ。足りなくなったら、その都度、金貨を支払う」
「それでいいさ。あんた達は冒険者だろう。冒険者なら、王都の近くの村を拠点にしたほうがいいからね」
3階の奥の部屋を案内してもらい、ナナとカナトは隣部屋だ。
防具と武具を外して、ベッドに寝ると、カールストンの街のベッドよりもフカフカしている。
ナナが部屋へ入ってきた。
フォルナのことが気になって、興奮しているらしい。
カナトとナナは夕飯になるまで、フォルナについて雑談をして過ごした。
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