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27話 鍛冶神の伝説

 朝起きてから、ナナと一緒に冒険者ギルドへ向かう。

冒険者ギルドの中へ入ると、大勢の冒険者達が先を争うように掲示板から依頼書をはぎ取っていく。

受付カウンターには多くの冒険者の列ができている。



「すごい冒険者の数なのじゃ」


「こんなに冒険者が多いとは思わなかった」



 冒険者の列に並ぶのは嫌なので、いつもは閑散としている食堂へ向かうと、食堂も大勢の冒険者でにぎわっている。

皆、朝から肉をガツガツと食べている。


 コーデリア大陸のローグライク王国の辺境に降り立ってから、ずいぶんと日にちが経った。

リグル村とカールストンの街を訪れたが、ローグライク王国では肉食が多い。

野菜は少しついてくる程度でメインは肉だ。


 カナトも肉は嫌いでないし、カルデナ世界の肉料理にも慣れて、美味しいと思うようになった。

しかし時々、魚料理や野菜料理を腹一杯に食べてみたいと思ってしまう。

 特に醤油を使った煮魚や焼き魚、それに冷奴が食べたい。もちろんみそ汁付きで。

日本にいた頃は独りで行く、居酒屋も一杯飲み屋も虚しいものだったが、今となっては良い思い出だ。


 ナナと2人で食堂の席に座り、メニューを覗くと肉料理ばかりが並ぶ。

朝はやはり軽めの料理で済ませたい。

ウェイトレスの猫のお姉さんが注文を取りにくる。

獣人族の女性は皆、スタイルがとても良い。



「おはようございます。ご注文をどうぞ」


「我はカナトと同じモノで良いのじゃ」


「注文は肉卵のサンドイッチと冷たい薬草茶をお願い」



 カナトが注文を言うと、猫耳のお姉さんはニッコリと微笑んで会釈をして去っていく。

スタイルのよい後ろ姿に、クネクネしている猫の尻尾が可愛い。



「やはり、カナトはスタイルの良いお姉さんが良いのじゃな」


「……男のロマンなんだ」



 つい言葉に出してしまったが、何が男のロマンなのか、自分で言っていてもよくわからない。

スタイルの良い女性に視線が行ってしまうのは男性として仕方がないと思う。

肉体年齢は15歳だが、精神年齢は35歳のおっさんなのだから仕方がない。


 ウェイトレスが肉卵サンドイッチと冷たい薬草茶をテーブルに置いてくれる。

冷たい薬草茶を口に入れると、口の中いっぱいに苦味がはしる。



「んん……苦いが美味い」


「うえ……ただ苦いだけなのじゃ」


「ナナはまだまだお子ちゃまだな」


「我は一番の最長年齢だと言っておるじゃろう」



 創造神であるナナが最年長者なことは理解できる。

しかし、どう見ても15歳の肉体年齢にしか見えない。

大きくてキラキラした瞳、少し低い鼻、小さくて可愛い唇、どう見ても美少女だ。


 肉卵サンドイッチは裏切らない美味しさだった。

ナナは小鳥のような小さな口でサンドイッチを頬張っている。

その姿がとても可愛くて愛らしい。

朝の陽光が窓から差し込んでナナを輝かせる。

フード付きの外套を着せているのが申し訳ない。


 冒険者達は食堂で食事を済ませると、それぞれに武器やリュックを背負って、冒険者ギルドから出ていく。

手には、掲示板からはぎ取った依頼書が握られている。


 サンドイッチを食べ終えて、ナナが薬草茶を嫌がった。

そのため、2人分の薬草茶を飲んで、食堂の席を立つ。

少し短くなった列にならんで、受付カウンターへ向かう。


 受付カウンターに到着すると昨日と同じ美女の受付嬢のサラが対応してくれる。

今日も茶髪のカールしたロングヘアーがよく似合っている。

近くにいるだけで良い香りが漂ってきそうだ。



「あら……昨日の冒険者さんね。カールストンの街はどうですか?」


「カールストンの街は大きくて賑やかですね。俺達は小さな村しか知らないので驚きました」


「辺境一の城壁都市だからね。わからないところがあったら、なんでも聞いてね」


「鍛冶神ギオルギについて教えてほしいんです」


「私で知っていることでいいなら、説明するわ。あくまで噂でしかないけど」



 サラの説明では、元々はアールストンの街では剣神ジブリルのだけを信仰していたそうだ。

剣神ジブリルがあまりに強すぎて、自分の聖剣を壊してしまったことがあったという。

その時に鍛冶神であるギオルギがアールストンの街へとやってきて、聖剣を直したことが伝説となった。


 鍛冶神ギオルギはドワーフの神でもあり、人前が苦手で、鉱山の洞窟を好んで住処にしていた。

しかし、カールストンの街には洞窟はない。

そこで鍛冶神ギオルギはダンジョンの最奥に住むことにしたという伝説が残っている。

あくまで伝説の話で、鍛冶神を見た人間はいない。

鍛冶神ギオルグに会えれば、聖剣を打ってもらえるという言い伝えもあり、今でもダンジョンの最奥へ行く冒険者が絶えないという。



「私の知っている知識はこの程度ね」


「俺達、ダンジョンに行きたいんですけど、特別なことってありますか?」


「特にはないわ。ダンジョンの洞窟の前に警備兵が立っているから、冒険者カードを見せれば、ダンジョンの中へ入れるわ。ダンジョンは魔獣の巣だから気をつけてね。階層が深くなるごとに魔獣も強くなるわ」



 ソニアにダンジョンのある場所を聞くと、カールストンの街の西側にあるダンジョンエリアへ行けばわかると教えてくれた。


 カールストンの街は住宅地区、歓楽地区、貴族地区、スラム地区など、各地区に分かれている。

ソニアに見送ってもらって冒険者ギルドを出て街の西側へ向かう大通りへ向かった。

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