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24話 カールストンの街

 約2週間の荷馬車の旅が終わりを告げようとしている。

目の前にはカールストンの城壁都市の城壁が見えてきた。

城壁の周りは丈の長い草原が広がっていて、城壁が遠くからでもよく見える。

草原から少し離れたところに林や森が広がっている。


 やっとテントでの野営生活から抜け出せる。

それだけでもありがたかった。

毛布のような布地を寝袋代わりにして寝ているが、起きると体中が痛いことが悩みの種だった。


 トロールを倒した日から、1日に2回ほど魔獣は出現したが、全てはゴブリン、ガルム、ホブゴブリン程度で『オーガの斧』のメンバーの餌食になり、魔石はベネットさんに買い取られていた。


 城壁の大門へ入る列に並ぶ。

大勢の農民や行商人が列に並んでいる。

カールストンの街は辺境で1番大きいだけあって、列に並ぶ人の数も多い。


 大門には体格の良い警備兵が4人立って、監視を続けている。

今回は行商人のベネットの警備依頼でカールストンの街まで来ている。

警備兵に止められることはないだろう。


 大門の中に入ると、警備兵から冒険者カードの提示を求められた。

ナナの分と2枚取り出して警備兵に見せる。

警備兵は何も言わず、アゴを横に振って、先に進めと合図する。

冒険者カードは身分証明にも使えるのだった。

冒険者登録をしておいて良かった。


 大門を通り過ぎて、街の大通りへ出ると、リグル村では見たこともないような人の多さだ。

大通には露店も出ていて、大声で露店商の店主が人を集めている。

街の熱気が体にまで伝わってくる。


 ベネットがトロールの死体を買い取りたいと申し出てきた。

冒険者ギルドを通すと、高価な売買になるため、なるべく出費を減らしたいという思惑らしい。

別に魔石以外の死体を売ってもいいと思う。

 リュックに入れておいても仕方のないものだ。


 カナトはベネットについて一緒にベネット商会の倉庫へ向かうこととなった。

『オーガの斧』のメンバーは依頼完了のサインをもらい、冒険者ギルドへ向かうという。

ここでお別れだ。



「カナト達とは色々あったが、カールストンの街にいるなら仲良くしてほしい。俺達もしばらくはこの街を拠点にする」


「俺達もカールストンの街では観光もかねて、ゆっくりとするつもりだ。何かあったら、声をかけてくれ」



 ケネスと握手をして、『オーガの斧』のメンバーと別れた。

少しの間、共同生活しただけだが、ケネスの誠実な性格に好意を持った。

レイリーも楽しく愉快な奴だった。

ナナの監視があったので、シモネとナタリーとは少ししか会話ができなかったことが残念だ。


 ベネット商会の倉庫へ行って、トロールの死体をリュックから倉庫へ出して、光金貨1枚と交換した。

そしてベネットから依頼完了のサインをもらう。

ベネットから専属の護衛にならないかと勧誘を受けたが、丁寧に断った。

まだカールストンの街へ来たばかりである。

すこしでもカールストンの街を観光もしたいし、大きな街にも慣れておきたい。


 ベネットから冒険者ギルドの場所を聞くと、大通りをまっすぐに歩いていけば、剣と槍と盾の看板が見つかる

と教えてもらった。

どこでも、その看板があるところが冒険者ギルドだと教えてもらう。


 大通を歩いていくと、タレの焦げた香ばしい匂いが漂ってくる。

露天商でタレを塗った肉串が売られている。

隣を見ると、ナナがお腹に手を当てて、食べたそうな顔をしている。



「肉串を6本くれないか」


「あいよ。美味いぞ。カールストン名物のオークの串焼きだ。6本だから銀貨3枚だ」



 銀貨を支払って串焼きをもらう。

ナナに串焼きを渡すと、何も言わずに串焼きにかぶりつく。

ナナは創造神だからお腹が空くことはない。

どんな味か興味があったのだろう。


 カナトも串焼きにかぶりつく。

特性のタレがしみ込んでいて、オーク肉はすごく柔らかく、口の中へ入れると蕩けてなくなる。

とても美味い。



「美味しいのじゃ。我は気に入ったぞ」



 口の周りにタレをつけて、ナナは嬉しそうに笑っている。

カナトはポケットからハンカチを取り出して、ナナの口の周りを優しく拭いてやる。

まるで妹ができたような気分だ。


 カールストンの街に入ってから、外套のフードを目深に被る。

ナナもカナトも髪の毛の色を見られないようにしている。

やはりカールストンの街でも白髪と黒髪の人間は非常に少ない。

フードを外して、皆の注目を浴びたくない。


 冒険者ギルドへ到着して、受付カウンターへ向かう。

受付カウンターには茶髪のロングヘア―をカールにしている美しい女性が微笑んでいた。

受付カウンターに依頼完了の書類を渡して、交換所へ向かう。

そして交換所で、トロールの魔石を取り出すと、交換所の女性が驚いた顔をする。



「これ、あなた達が倒したのですか?」


「ああ……そういうことになるな」



 受付カウンターから、先ほど対応してくれた美女がカナト達の元へ歩いてくる。



「私は受付嬢をしているサラと申します。交換所よりトロールを倒されたとお聞きして、内容を教えていただこうと思いまして。冒険者カードを拝見してもよろしいでしょうか?」


 『オーガの斧』と協力して倒したが、止めを刺したのはカナトであると正直に説明する。



「トロールを討伐していただき、ありがとうございます。貢献ポイントに加算しておきますので、次の何か、貢献された時には、Cランク冒険者へ昇格することも可能となります」


「ありがとう。トロール1匹倒しただけなのに、すごい賞賛ぶりだな」


「トロールはBランク指定を受けている魔獣です。あなた方はそれだけの貢献をしたということです」



 サラは真剣な顔で説明し、カナトとナナの2人へ小さく拍手を送ってくる。

大勢の冒険者の視線が集まる。

正直に言って恥ずかしい。

早く、トロールの魔石を硬貨に交換して逃げたい。

トロールの魔石は光金貨2枚と交換になった。

用がすんだので、立ち去ろうとした時にナナがサラに問いかける。



「カールストンの街では、どのような神が信仰されておるのじゃ?」


「剣神ジブリル様の神殿がございます。それと鍛冶師の間で、鍛冶神ギオルギ様が信仰されていますが、神殿はありません。ギオルギ様はダンジョンの中で鍛冶をされていると信じられております」



 剣神ジブリルと鍛冶神ギオルギか。

ナナは2人の神の名前を聞いて少し複雑そうな顔をしている。

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