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21話 アールストンの街へ向かう

 『水熊の宿』でルーナと別れの挨拶をし、朝、リグル村の出入り口へ行く。

いつもの警備兵の男性が、カナトとナナをみつけて笑顔で待っている。


 行商人の荷馬車は3台で、リグル村で購入した魔獣の素材をアールストンの街にある大商人に買い取ってもらう。

そしてアールストンの街で日用雑貨品を購入して、リグル村へ戻って日用雑貨品を売っているという。


 リグル村では有名な行商人で、恰幅のよいお腹が特徴的な端正な顔立ちの男性で、年齢は30代後半

ぐらいだろう。

名前はベネットと言い、リグル村でベネット商会といえば知らない人はいないらしい。



「よろしくな坊主。きれいなお嬢ちゃんも冒険者なのか?」


「俺はカナト。連れの少女はナナ。パーティ名は『創造神の杖』と言います。よろしくお願いします」



 パーティ名はとっさに今、思いついた名前を言っただけだ。

 2人でパーティを組んでいるのに名前を付けていないのは怪しまれる可能性があるからだ。



「大層なパーティ名だな。おおいに頑張ってくれ。他の冒険者共、仲良くしてくれよ」



 荷馬車の近くには既に4名の冒険者達が集まっている。

パーティ名は『オーガの斧』というらしい。

全員がCランク冒険者のパーティだという。男性2名に女性2名だ。



「俺の名前はケネスという。パーティのリーダーをしている剣士で中衛をしている。司令塔だ」



 金髪のショートヘアの男性が気軽な感じで挨拶をしてきた。

パーティの中では指揮をしている存在なのだろう。

Dランクのカナトとナナも自分の指揮下に入ると思っているようだ。



「俺の名前はレイリーという。前衛をしている大盾使いだ。大戦斧も使う。よろしくな」

背中に大盾を背負った大柄でマッチョな男性が挨拶をする。手には1mもある大戦斧を持っている。


「私の名前はシモネというわ。エルフ族で弓使いよ。水と風魔法を得意としているわ」



 スタイルの良い、薄緑色をした革鎧を着ている女性がエルフ独特の清楚な雰囲気で挨拶をしてくる。

エルフ族であることを誇りに思っているタイプのように見える。



「私の名はナタリー。魔法士をしている。中級魔法まで使えるから、遠距離は任せてね」



 『オーガの斧』は前衛が1人、中衛が1人、後衛が2人のバランスが取れたパーティ構成のようだ。

全員Cランク冒険者だけあって、自分の仕事に誇りを持っているタイプに見える。



「Dランクパーティの『創造神の杖』の前衛のカナトと後衛のナナと言います。カールストンの街まで、よろしくお願いします」


「ああ……君達はすごく若いようだね。戦いは俺達に任せて、後ろで戦い方を勉強してくれればいい」



 ケネスは爽やかに笑って、カナト達を子ども扱いする。

それでもカナトは良かったと思う。

魔獣と戦うのは慣れたが、死体と血しぶきには慣れない。

未だに魔獣の解体作業は苦手だ。

勝手に戦ってくれるのであれば、儲けものである。


 荷馬車が走りだして、カナトとナナはベネットさんのはからいで、一番後ろの荷馬車に乗せてもらった。

真ん中の荷馬車にはナタリーとシモネが座っている。


 ケネスとレイリーは身体強化の魔法を使って、馬の横を走っている。

魔力量には相当に自信がありそうだ。


 街道は草原を避けるように、草原の外周を迂回するように走っている。

草原を突き抜ければ早いが、荷馬車は草原を走ることができない。

草原には魔獣が多く潜んでいるので危険だ。


 街道はアスファルトのように平坦ではなく、凸凹が多くて、荷馬車に乗っていても尻が痛い。

カナトは自分の外套を脱いで、畳んで、ナナのお尻の下へ敷いてやる。

これで少しはナナも楽になるはずだ。



「ありがとうなのじゃ」


「お尻が痛くなると座れなくなるからな」



 晴天に恵まれた日光を体に浴びて、カナトは楽しそうに笑う。

今回は草原を迂回するルートを取る。

魔獣と無理をして戦う必要もない。

カナトの心はすごく穏やかで、荷馬車の旅も悪くないと思った。


 急に先頭の荷馬車が止まった。

ナナを荷馬車に残したまま、カナトは飛び降りて、先頭の荷馬車へ向かう。


 ケネスとレイリーも前方を見て、額から汗を流している。

前方には黒ずんだ紫色の肌の岩山のようなモノが街道の真ん中をふさいでいる。



「静かにしろ。あれはトロールだ。B級指定の魔獣だ。鈍感だが暴れ出すと手がつけられないぞ」



 ケネスが小さな声でカナトに教えてくれる。ナタリーとシモネも荷馬車から降りてきた。

 トロールの姿を見て顔色を変えている。

レイリーもケネスの隣へ立つ。


 ケネスを中心に円陣を組んで作戦会議が始まった。



「これから作戦をいう。まずはカナトが囮役になって、トロールの注目を集めてくれ。トロールの武器はこん棒だ。力は強いが大振りするから、動作が大きい。こん棒を避けるぐらいはできるだろう」



 カナトは黙ったまま、大きく縦にうなづく。



「シモネは矢でトロールの目を狙ってくれ。目が潰れれば奴は盲目になる。暴れても目が見えなければ、俺達の勝利だ」


「わかったわ」


「レイリーは隙をついて、トロールの真後ろへ回ってくれ。そして大戦斧でトロールの首を斬り飛ばす」


「おう」


「ナタリーは魔法をガンガン飛ばして、トロールをけん制してくれ」


「任せて」


「俺はカナトの反対側から攻撃をする。足さえ傷つければ、奴は動けなくなる。狙うのは足だ」



 役割分担が決まり、これからトロール狩りが始まった。

カナトは剣を握って、トロールをけん制するために、トロールの真正面に立つ。

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