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5、私の小説にケチをつけてくる


 いよいよカミングアウトの日も近付いてきていると感じている今日この頃でございますが、そのXデーをどうのように迎えるのか、実はすでに考えております。


 まず、このままバレることなく本の発売日を迎えます。

 Xデーは発売当日でございます。


 そこで私が夢見るライオンなどというふざけた名前で本を出したのだと白状します。

 夫はもちろん「お前大丈夫か? 本を読みすぎて変な妄想でもしてるんじゃないか」などと信じてくれないことでしょう。


 そこで私は「では証拠を見せるからお財布を持ってついてらっしゃい」と啖呵たんかをきります。

「え? なんでお財布?」などと言いつつ、夫は仕方なく私についてきます。


 私は近所の書店に行き「さあ、これをご覧なさい」と私の本を見せるのでございます。


 もちろん私の本はあらかじめ書店に行って10冊ほど予約しておくのでございます。

 そして書店員さんを賄賂わいろで抱きこみ、発売当日には書店の入り口付近の村上春樹さまの『騎士団長殺し』の横あたりに高く積み上げておいてもらいます。


 そこで「これが私の本よ!」と見せつけ「さあ、今こそあなたの私への溢れる愛を形にして見せてちょうだい!」と10冊全部、なけなしの小遣いで買わせるのでございます。


 ですので発売当日、私の本を10冊も買い込んでる怪しげな男がいたら、それが私の夫でございます。

 そしてそれをレジ横で仁王立ちで見守る怪しい女が私でございます。


 ……とまあ、くだらぬシミュレーションの話は置いておいて、本題に入ります。



『私の小説にケチをつける』


 次に想像できるデメリットはこれです。


 家族の気安さで「ここはこうした方がいいんじゃないか」「このキャラはあんまりだと思うんだが」なんて事を言いたくなるのでしょう。


 良かれと思ってですが、全然良くないのです。


 そもそも私の書くものは夫が喜んで読むジャンルの小説ではないのです。

 『離婚届』や『人殺し』はまだ読めるかもしれませんが、『アショーカ』や『デルモンテ』などは絶対読まないのです。


 夫が好んで読むのは主に実用書のたぐいが多く、私はいつも「よくこんなクソつまらない物を読んで眠くならないわね」などと言っているのですが、夫は夫で私の読む恋愛小説を「生理的に無理!」と1ページもめくろうとはしません。


 なので、自分から小説サイトを覗いて、うっかり私の小説を読みにきていたなんて偶然は、限りなくゼロに近いだろうと思います。


 そんな夫に、私の小説を読んで意見など言われたくないのです。


 私の小説を掘りおこして読んで下さってる読者様は、本当に好きで読んで下さってるのだから、多少辛口の感想になったとしても、そういう考えもあるのねと素直に受け取れるのですが、大して好きでもない夫が読んでケチをつけると、ムカッとするのですね。きっと。


「これは後半のドンデン返しの伏線なのよ! 好きでもないのに余計なこと言わないで!」

 などと声を荒げて怒りたくなってしまうでしょう。


 また、もう一つのデメリットとして、実生活での知り合いに読まれると照れくさいというのもあります。


 これだけ好き放題に書いていながら、今さら照れくさいもないだろうと思われるかもしれませんが、それは実際の私と夢見るライオンが結びついてないから平気なのであって、「いつもこんなこと考えてたんだ」などと言われてしまうと、自分のすべてを見透かされた照れくささがあります。


 友人のほとんどは、私が本好きだという事すら知らないのです。 


 家族はさすがに、家にいる間ヒマさえあれば本を読んでいるので知っていますが、友人と会う時にわざわざ本を取り出して読むこともないし、ベストセラー小説の話などはたまにする事はあっても、マニアックな本の話にまではならないです。


 こんなインドアな人間なのに、なぜか友人はアウトドアな人が多いのかもしれません。

 残念ながら本について深く語り合う友人って実生活ではいないです。


 だからもちろん趣味で小説を書いてるなんて話もしません。

 うっかり「読ませて!」なんて言われて、素直に見せてドン引きされても嫌ですし(笑)


 いえ、やはり「不自由」になることを恐れて、自分から話題を避けてるかもしれません。


 一人知らせるごとに一つ自由を失うような、そんな感覚なのです。


 周りが全員、私と夢見るライオンを繋げて見るようになったら、実生活の私のイメージがくずれないような無難な話しか書けなくなっていくかもしれません。


 夢見るライオンの影に実際の私の影が付き纏っているような、逆に私の影に夢見るライオンが付き纏っているような、そんな感覚に縛られそうな気がします。


 実際に公言されてる方はどうなんでしょう?

 心配するほど不自由ではないのでしょうか?

 



次話タイトルは「誰にも知られず小説を書くことは出来ます!」です

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