4、本を出せば夢の印税生活が出来ると思っている
なんとか4話まで無事投稿することが出来ました。
今のところ特に疑われている言動もなく、いつもの日常が続いております。
ですがいよいよバレるかと思ったことがなかったかというと、このエッセイを出す前に結構危機一髪の事態になったことはありました。
編集様とのやりとりは、主にパソコンのメールでしているのですが、原稿を送ってもらって細かなチェックをする段階もあります。
やはり実際に印刷する状態でチェックしないと分からないこともありますので。
私は留守がちなので、指定した時間に出版社のロゴが大きく書かれた封筒で送られてくるわけですが、これを夫がいる時に受け取ってしまうと自然な成り行きとして「これは何? なんか分厚いけど何が入ってるの?」という質問を受けることになります。
普段ネットショッピングなども滅多にしない私宛に送られてくる物なんてあまり無いのでございます。ましてや出版社のロゴ入りの分厚い封筒って何か誤魔化せる方法あるのかな、などと考えつつも、まあ夫の帰宅前に届くだろうと思っていたのです。
しかし思いのほかいつまで待っても届かず、いよいよ夫の帰宅時間になってきたのです。
これはいよいよ正直に話す日が来てしまったか。
エッセイを出す前にバレてしまったら、せっかく書き始めてたけどお蔵入りだな、などと考えておりました。
時間が経つにつれ、もうダメだな、言い訳も思いつかないけど、今日バレる心の準備も出来てなかったな、ああ、どうしよう、と結構ドキドキ致しました。
宅急便か夫か、どっちが先だろうかとハラハラしていると、ピポンピポンとインターホンが鳴ったのでございます。
夫はインターホンなど鳴らしませんから(良かった宅急便だ)とホッとしながら受け取ると、その3分ほど後に夫が帰ってきたのでございます。
ホントに危機一髪でございました。
いつでも言う覚悟は出来てるつもりでしたが、いざその時になると全然覚悟など出来ていなかったな、と思いました。
まあ、バレて一番残念なのはエッセイがお蔵入りになることだったのですが。
そろそろしっかりと覚悟を持たねばなりませんね。
……ということで今日の本題に入ります。
『本を出せば夢の印税生活が出来ると思っている』
これもデメリットの1つです。
テレビ番組なんかで印税の話が出るのは、たいてい超売れっ子の漫画家や作家や作曲家が多いと思うのですが、そんな話を聞くと、本を一冊出せば夢の印税生活が出来るという妄想を抱く人が結構多いようですね。
印税とは縁のない人は特に、本を出すと聞いただけですごい文豪にでもなったかのように大騒ぎをして、もう一生安泰だとでも言わんばかりに尊敬のまなざしを向けてきたりするかもしれません。
ですが、ある程度書き続けている作者さんは、もうそんな幻想からは目覚めています(笑)
書籍化が近付いた人ほど、シビアな現実をよく知っています。
決して印税などをアテにして生活など出来ないのだと。
いえもちろん、なろう作家さんの中にも定期的に本を出して立派に生活出来ている人もいるだろうとは思いますが、そんな人は頂点の僅かな作者さんだけだと思います。
では書籍化するのが嬉しくないのかというと、めちゃくちゃ嬉しいです。
印税生活が出来るから嬉しいのではありません。
自分の書いたキャラに絵がつくこと、本という形になること、ネット世界から出て書店に並んでいるということ。
それがもうたまらなく嬉しいのです。
作者の喜びっぷりを見たら、周りの人はこれで大儲けできるんじゃないかという誤解をしてしまうので、実際の印税額を見て「え? これっぽっち? 次はいつ入るの?」などと聞いてくるのではないかと思うのです。
まさかとは思いますが「妻が本を出すから俺は仕事をやめて家で妻のサポートをするよ」なんて言い出す夫もいないとは限りません。
あるいは「印税が入ったら車を買い替えようよ」「家を買おうか」など正気の沙汰とも思えぬ妄想をめぐらせ、プレッシャーをかけてくる家族もいるかもしれません。
まさにプレッシャーなのです。
現状の出版業界の厳しさを知ったら、そんなバカげた妄想など描けるはずもないのです。
ですが、中には一攫千金の夢が叶った作者さんも確かにいるのでしょう。
一攫千金でなくとも、せめて自分の小説を本にしようと太っ腹に申し出て下さった出版社様に、大損にならない程度には売れて欲しい。
どの作者もそれは切実に思っているはずです。
そして私も初版だけは、なんとしても手売りでもいいから売れて欲しいとは思っています。
ですが新人作家で重版がかかった本が年に一体何冊あるのか。
出版社にトントンの利益をもたらせる事の出来る小説が何作あるのか。
たいがいは初版が売れ残り、印税も初版分で終わりです。
名もない作者の本など、書店に山積みになるはずもなく、市内の書店を走り回ってようやく一冊見つけることが出来る程度です。
ホントに一冊も売れなかったらどうしよう。
私の小遣いで何冊買い取れるだろうか。
などと厳しい現実と向き合っている時に、更なるプレッシャーを与えられたくないのです。
そんな簡単なもんじゃないのよ。
あまり期待しないで。
などと説明したところで「いや、ウチの妻の本だけは売れるに違いない!」などと信じ込む親バカならぬ夫バカも現れるかもしれません。
信じてくれる気持ちは嬉しいのですが、今の私には少し重いのです。
次話タイトルは「私の小説にケチをつけてくる」です