2、なぜ内緒にするのか
昨日は皆様の温かいお言葉を頂き、なんとか連載できそうで良かったです。
今日はさっそく本題に入ります。
今日のサブタイトル『なぜ内緒にするのか』です。
まず皆様が最初に疑問に思うのはこれでしょうね。
なぜ内緒にする必要があるのか?
ですが逆に、なぜ言わなければならないのか、とも思うのです。
ネットで小説を書かれている方の中で、最初から周囲に公言されてる方の割合ってどれぐらいなんでしょうか? 最初は内緒の人の方が多いのではないかと思うのです。
ある日リビングに家族を集め
「実は父さんは、今日からネット小説家として投稿することにした!」
「お母さん、私は今日からネットで小説を書くわ!」
「兄貴、オレ、ネットで小説書くんだ。読んでくれ」
などと宣言する人ってどれぐらいいるのでしょうか?
まあ、兄弟や友達に「読んで~」と言って教えることはあるかもしれないですね。
では夫や妻にはどうなんでしょう?
勝手な憶測ですが、夫は妻に言ってることが多いのではないかな?
仕事もあって執筆できる時間が限られているので、バレずに自分の時間を作るのは難しい人が多いと思います。
土日もパソコンばかりさわってたら、妻のご機嫌が悪くなるのは必至ですしね。
妻の協力は必要不可欠です。
ですが妻は専業主婦だったり、子育て中だったりすると工夫次第で自分だけの時間を作ることも簡単かもしれません。
しかも夫というのは妻の内緒に全然気付きません(笑)
嘘まではついてませんよ。
あえて自分から言ってないだけです。
そもそも小説を書こうと思った始まりは、いろんなパターンがあると思いますが、私の場合は、まず大好きな小説があって何作も何作も同じ作者のものや、似たようなジャンルのものを読んでいるうちに、(あー、私だったらこういう結末にしたのにな)とか、(こういう展開だったらどうなったかな?)なんて考え始めて、「ちょっと書いてみようか」となったのが始まりです。
結構このパターンの人は多いのではないかと思います。
最初はホントに遊び半分です。
だからこの段階で「ちょっと小説書いたんだけど読んでみて」なんて言えるレベルのものではありません。
そのうち完結まで書けるようになって新人賞に出してみる人もいれば、いきなりネットで投稿してみる人もいるかもしれません。
私の場合はネット世界にやってきた二年前までは、実生活が忙しくて年に一作ぐらいしか書けなかったし、夫が絶対興味のないジャンルでもあったし、読んでもらおうなんてまったくさっぱり思わなかったのです。
そして読んでもらわないのに、書いていることを伝える必要もないし「なんだ、これ?」なんて笑われようものならムカッとして夫婦喧嘩勃発なんてことにもなりかねないので、まったく全然、伝える必要性を感じなかったのです。
でもネットに投稿してみようと思った時は、夫に相談しようかと悩んだこともあります。
私は機械オンチなので、自分で執筆環境を整えられるか不安だったので助けてもらおうかとも思ったのですが、案外簡単に出来てしまいました。
こんな機械オンチな私でも出来たのだから、こういうシステムを作る人はすごいですね。
ともかくここでも夫に話す必要性がなく、ずるずると今日に至るというわけです。
この二年でずいぶん執筆環境が整い、怒涛の投稿をしているのですが、その間も特に日常に支障をきたす事も無く、不審に思われるようなこともありませんでした。
まあ「こいつ最近やたらにパソコンやらスマホを触ってるな」ぐらいは思われてるかもしれませんが、世間一般がそういう傾向にあるので珍しいことでもありません。
パソコン画面を開いたままにしたりはしませんが、特に隠したり必死で誤魔化したりすることもなく、なんとなくここまできてしまったのです。
私としては、この後のエッセイでふれていきますが、出来ることなら誰にも言わずこのまま「夢見るライオン」という誰にも縛られない自由な立場で書いていたいという願望もありまして、なんなら死ぬまでこのまま言わなくていいんじゃないかと思っていました。
そして死んだ後、夫が私のパソコンから小説を見つけて、「なにこれ? え? 小説書いてたのか? なに? ネットでも書いてたのか!!」なんて衝撃の事実を知って、「俺の妻っていったいどういうヤツだったんだ……」などと途方にくれるのもまた一興、などと考えておりました。
ですがここにきて多少、事情が変わってきました。
昨年書いた小説『離婚届を出す朝に』が書籍化することになったのです。
(番宣みたいになりました。失礼しました)
今までも新人賞でも獲ったら夫に自慢しようとか、本になったら言おうなどと夢見てた頃もあったのですが、そんな機会にも恵まれず、そういう運は持ってなかったんだなと諦めていたし、「夢見るライオン」としての自由さをすっかり謳歌していたので、いつの間にか告げるハードルが驚くほど上がってしまっていました。
書籍化の打診からここまで、言うタイミングはたくさんあったのですが、そのたびもう少しだけ自由なライオンでいたいと、伸ばし伸ばしになってしまったのです。
では夫、あるいは周囲の人に告げるのがなぜ「不自由」と感じるのか。
そのあたりのデメリットから考えていきたいと思います。
次話タイトルは「自分が小説の題材になってるのではないかと疑われる」です