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プロローグ
あんなに咲き誇っていた桜は散り、葉桜だった時期も過ぎてしまった。
冷たい風が吹き、肌寒さに手をすり合わせる。そして、校門を入り、生徒玄関に向かう。
黄色、オレンジ色、赤色と綺麗に紅葉した桜は風に吹かれて足元にひらひらと落ちてくる。
季節は秋になった。寒い冬はもうすぐだ。
「おはよー」
そうかけられる声に返事をしながら今日も思う。
彼は、今日来ているだろうか?
自分のクラスに向かう途中、彼のクラスを覗いてみたがいないようだった。まだ、SHまで時間があるから、これから来る可能性はある。しかし、私はもう来ないのではないか、と落胆し始めていた。
いや、でもやっぱり来るかもしれないと励まし、一旦自分のクラスに入り、SHが始まるほんの少し前になって再び彼のクラスを覗いてみた。
しかし、結局、彼―――三崎祥平は来ていなかった。
今週の月曜から休み始め、今日は金曜日。学校を休んでもう一週間になろうとしている。
その理由は分からない。