表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

呼び出しの理由




「失礼します。」



碧さんが入ってきて、温かいお茶と小さなケーキを机に置いていく。



「ご注文お決まりになりましたら、呼んで下さいね。それと、試作品のケーキになってます。よろしければご感想を後ほどいただければ嬉しいです」



にっこりと微笑んで碧さんが言う。

ここでは、お冷の変わりに温かいお茶と小さなお菓子が出てくるのだ。

もちろん、夏は程よく冷えたお茶にしてもらえる。



「じゃあ、私は日替わりスイーツセットで!」



スイーツセットなんて言いながら他のスイーツより安いそれは、試作品のセットである。

ワンプレートに4つものスイーツが乗り、さらに紅茶かコーヒー、またはジュースの内のどれかが付くのだ。

最後にどれが美味しかったか、言うだけで安いのだから

これを選ばない手はない。

双子達も悩んだ挙句、そのセットにすることにしたらしい。

ただし、紅茶を選んだ私とは違ってコーヒーを選んだみたい。


試作品のケーキを食べてみる。

一口サイズのケーキの中にはとりどりのフルーツ。

クリームとすごくマッチしている。

生地はタルトっぽい固めの生地。

なのでクリームが本当にたっぷりなのだ。



「そうだ、何で呼び出したの?」



お茶で一息ついて、双子達に問う。

双子達は言い辛そうに目を逸らす。

本当にいったい何の用なんだろう?



「あの……お昼休みのこと、人に言わないで欲しい」



お昼休みのこと……図書館棟の裏でご飯を食べていたことだろうか?

言わないでって言われなくても言うつもりはなかったけど、なんでわざわざ呼び出してまで言うのかな?



「……2人で1つのお弁当を食べてるなんておかしいだろ?」



そういえば、そんなことしてたなぁ。

おかしいとは思わなかったけど、知られたくないのか。

確かに、なんで2つお弁当を持ってこないのだろうか?

いいお母さんに見えたのに。

お母さんがお弁当を作るなら普通は二つ作るのではないのだろうか?

気にはなるけど、私には関係ないことだろう。

双子も踏み込んで欲しくないだろうし。



「言わないよ?2人もここのことは秘密ね」



そういうと双子は目に見えて明るい表情になり、頷いた。

そんなに隠したいことだったのか。



「あ、後……この町を案内、というか、教えてもらえると嬉しいんだけど。特にバイトとか出来そうなとこ」



「バイトは学校の許可がないとできないよ?」



学校に申請書を出して認められないと、バイトは出来ない事になっている。

とはいえ、内緒でバイトしている人など、いくらでもいるのだけど。

双子達によればバレなさそうな所とか教えて欲しいということだった。

でも、残念ながらそれには協力出来そうにない。

私にもわからないのだ。バイトしたことないから。



「友人に聞いてみるよ。それでもいい?」



「「ああ、ありがとう!」」



嬉しそうに双子は笑った。

面倒だなぁと思ったけど、これだけ嬉しそうに笑われたら協力するしかないじゃないか。







スイーツ大好き紗彩ちゃん。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ