第一部 第二話 『ファーストニュース』
2008年 4月6日日曜日 5:00
『CCnetファーストニューズ』
『おはようございます。CCnetTVアナウンサー 西崎和歌菜です』
『日曜の早朝から大きなニュースが入ってきました』
『4月6日未明より、首都高速は正体不明の犯人グループよって占拠されています。まだ詳しいことは分かって入ませんが爆発物を所持しているとの情報もあります。CCnetではヘリを派遣して情報収集に当たっています。上空の安芸さん繋がるでしょうか?』
『こちら東京上空の安芸です。現在都心環状、浜崎橋JCT上空からリポートしています。浜崎崎JCTは内回りが大型トレーラが2車、外回りが大型トラック3車によって完全に封鎖しています。これまでに各所回ってきましたが首都高速全域で主要JCTと各高速道路からの連絡道直近出口付近は封鎖されている模様です。しかし、不思議な事に警察車両の姿はまだ見当たりません。新たな情報が入り次第リポート致します。こちらからは以上です』
『安芸チーフありがとうございました』
『スタジオにはテロ事件に詳しい先生をお呼びしています。東京専心大學の中津重治教授にお越しいただきました』
『おはようございます。今回の事件につきましてはまだ詳しいことが解っていませんのでねぇ。僕もいい加減なことは言いたくないんですがね。おそらくこれはテロと言うより若者の反乱で間違いないでしょ。それも犯人グループがトラックを使用してるところから見ると、いやね、こんな言い方はどうかと思うけど、トラックの運転手でしょ、ねぇ~最近燃料の価格も上昇気味だし、ほらねぇ、だからさ、自分たちは大して役たってる訳でもないのに何か勘違いしちゃってるんじゃない。昔、やんちゃしてたああ言う連中ってあるじゃない、変な団結心みたいな…それでちょっとでかいことしちゃおうぜ、みたいな感じって僕は思うよ。ただ警察が出動していないことろは少々気になるんだけどね。』
『ありがとうございました。CMのあとは警視庁本庁前のスタッフよりリポートです』
CM『とうとう東京上陸!!北の大地より新鮮牛乳をお届け!!マキムラのプレミアムフレッシュミルクがより多くの方にお届けできるようになりました。マキムラファームのピンクの牛さん「モモちゃん」もよろしくね』
『警視庁本庁前よりリポートです。今回の事件についての発表は今現在何もありません。警視庁内部への取材でわかったことをお伝えします。今回の事件に警察が出動していない理由には警察上層部が絡んでいるようです。現場は一刻も早く事件解決に動きたいといった雰囲気なのですが上層部の圧力によって動けない状況にあるようです。こちらからは以上です。』
『ありがとうございました。このあとはその他のニュースとスポーツ情報を』
同刻 霞ヶ関 警視庁本部
「おらぁ~~~どうなってんだよ。事件がお起てんのになんで出動が制限されてんだ」
「西條さん落ち着いてくださいよぉ。仕方ないじゃないですか上層部からストップ掛かってるんだから」
西條光希の後輩、針谷智がなだめる。
「なかなか情報が降りてこないんですけど、なにやらかなりマズイ情報を犯人グループに握られてるって噂です。それじゃなきゃこんなの絶対おかしいってみんな言ってます。だってこっちは国家権力ですよ。それが動けないいんですからそうとうやばい情報なんじゃないですか?」
「たしかに叩けば埃くらい山のように出てくるか…。だからと言っても俺ら駒はどうすることも出来ねぇのか…」
「あ~あ、いろいろ考えてたら嫌になってきた。なぁ針谷、暇だな。休暇でもとるか?」
「は?」
「最近、俺ら休んでねぇもんな?」
「この事件解決したらの話ですよね?」
「はぁ?…当然今からだ」
「西條さん?もしかして?」
「休暇だよ休暇!!」
「はいっ、今から準備します。課長に届け出しますか?」
「あん、どうせ奴は会議室だろうから机の上に置いてけばいいよ」
「はい。じゃぁ二人分書いて出してきますね」
針谷が立ち上がり歩きだした時、
「おい、ハリー、ほれ、これも一緒に置いとけ」
と警察手帳を針谷に投げて渡した。
「わかりました。行ってきます」
『天気予報の後は首都高速占拠事件の続報です』
『関東甲信越の天候は概ね良好となるでしょう。
朝晩はまだ冷え込む所もありますので注意が必要です』
『それでは首都高速占拠事件の続報をお伝えします。それでは各リポーターを呼び出してみます。東京上空の安芸さんその後どうでしょうか?』
『こちら上空の安芸です。現場は概ね変動はないようです。未だに警察車両、機動隊車両は一台も見あたりませんが、川口線足立入谷付近で犯人グループの一味とみられる人影を確認することができました。しかし、そちらにお送りした映像の通り犯人を特定できるようなものではない内容でした』
『そうですね。安芸さん。これは何かの着ぐるみでしょうか?ピンク色と白色しているようですが…』
『はい。確かに着ぐるみと思われます。私は直接、肉眼で確認をしましたが
牛でしょうか、熊でしょうか。そのようなようなものが当社ヘリが近づくと手を振っているように見えました。これまでこちらで確認できたことは以上です』
『ありがとうございました。番組の放送時間も残りわずかとなりました。最後に警視庁本庁前を呼んで見ましょう。警視庁の芹沢さん。何か変動は有りましたでしょうか?』
『こちら警視庁本庁前の芹沢です。これといって新しい情報は入ってきていませんが、先ほど二名の捜査員と見られる警察官が出てきた時に短い時間ですがインタビューすることに成功しました。こちらをご覧ください。』
『お~お、顔は映さねぇでくれよな、情報は完全にシャットアウトだ。俺たち駒にはなんにも情報は降りて来ねぇ。こんな事件が起きちまってるのに上はなに考えてるんだろうな?イっけねぇ。TVでこんなこと言ったらヤバイな。はははっ。じゃぁ』
『すみません。お二人はこれからどちらへ?』
『休暇だよ。休暇!!俺たちかれこれだいぶ休みもらってなかったからな。休暇だよ』
『いんですか?こんな事件が起きているのに帰ってしまって?』
『上層部が仕事すんなって言うんだからシャーねぇだろがよ。
本当によう、何が正しいことがなのかわかんなくなるなこの国は』
『とういうインタビューでした警視庁本庁前からは今このところ以上です』
『ありがとうございました。情報が錯綜していますが今後もCCnetでは事件の情報が入り次第お伝えします。今日はこの辺で… CCnetファーストニューズ』
『これからどうするんですか?TVであんなこと言っちゃって、後でヤバイんじゃないですか?』
『とりあえず準備だ。一回家に帰って出直しだ』
『出直してどうするんですか?』
『うるっせーな、お前は黙って付いてこいよ。俺はこれからぶっ飛ばしいくんだよ。だが、本当に誰が悪者なのか見極めるのが先だけどな。それからそいつを見つけてぶっ飛ばしに行く。そんな感じ何か文句あるか?それが今回のバカンスの目的だ』
『ありません…はぁ』
つづく