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第五話:白い彗星のシーア?

 遅書で誠に申し訳ございません。

サボり気味だったもので……


次からはちゃんと頑張って書きますのでよろしくお願いします。


他の連載は多分当分おやすみになりますが。

 冬から春へと季節は移り変わり、寒さに凍える人も減って来た。

まぁ今年はもともと暖冬だから凍える人は少ないかもしれないが。


 寒がりの妹は春になったことに喜びを感じているようだ。

「春はいいよねぇ。寒くないんだもん」

妹はリビングのソファで猫のように丸まって寝ながら言った。

「陽子、時に俺は昼飯を食べたいのだが」

「もうちょっとのんびりさせてー」

「仕方がない。今日の昼飯は俺が……」

「今すぐ作ります」

 そう言うと陽子はスッと立上がり、愛用のエプロンを着けて、キッチンへと行った。

「やれやれ、そんなに俺の料理が嫌かね」


 さて、今は学年末試験も終わり春休みだ。

俺は家でのんびりし、試験の結果を忘れたかのように極限までだらけていた。

 最近は未来人の攻撃も(俺の知る限りでは)無く、なかなか平和な日を過ごしていた。

 でもいつの時代も大抵平和なんてものは唐突に乱されるものである。




 ピリリリリ。


 着信だ。

メールじゃなく着信だ。

ということは急ぎの用事ということかもしれない。

嫌な予感がする。


 ピッ。

「はいもしもし」

「おう、楓か」

「そりゃ、お前が俺の携帯にかけたんだから俺以外がでたらミステリーだよ」

「ははっ、確かに」

「で、なんか用事か」

「あぁ、そうそう。今から遊びに行こうぜ」

「はぁ? どこに」

「最近出来た水族館『オーシャンパラダイス』だ」

「今更水族館なんて……」

「天宮さんをすでに誘ってある」

「よし、現地集合か?」

「あぁ、じゃあそういうことで」

「わかった、じゃあな」

ピッ。


 なんだ、ただの遊びのお誘いか。心配損だ。

しかし、天宮さんが来るとなっちゃ行くしかねぇだろ。

たとえ天地がひっくり返ろうともな。


 「陽子、俺ちょっと出かけて来るわ」

「どこに?」

「最近出来た『オーシャンパラダイス』ってところ」

「私も行きたい! どうせ森野さんとでしょ?」

「プラス女友達だ」

「じゃ、問題ないわね」

「……まぁちょっと待て」


 剛なら陽子が来ても問題無いと言うだろうが、天宮さんはどうだろう。

もしかしたら、いや、天宮さんに限ってそんなことないだろうけど、もしも天宮さんが子供嫌いだったらどうしよう。

 一応確認しとくか。


 ピッピッピッ。

プルルルルル。

ガチャ。

「はい、天宮です」

「もしもし、奥村ですけど」

「あ、はいこんにちは。奥村さんは今日、水族館行けるんですよね?」

「あ、はいそれは問題無いんですけど、ちょっと別の問題が」

「なんですか?」

「実は俺の妹が一緒に行きたがってですね」

「別にいいじゃないですか」

「あ、いいですか?」

「えぇ。私子供大好きですし」

「あぁ良かった。わかりました。ではまた後で」

ピッ。


 やはり天宮さんは子供嫌いではなかったか。良かった良かった。

これで陽子を連れていける。無駄なお土産を買ってこなくて済む。


 「陽子、お前も行って良いってよ」

「やったー! じゃあ着替えなきゃ」

妹は自分の部屋へ走って行った。

さて、俺も着替えるかね。一応かっこつけてかなきゃな。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━




 そして俺と陽子はオーシャンパラダイスに着いたわけだが、剛も天宮さんもいない。俺ら結構時間かかったのにな。


 「遅かったな楓」

「あれ剛? どこにいたんだ」

「トイレだ。お前があまりにも遅いから」

「そうか、すまんな。天宮さんは?」

「まだ来てないっぽいな」

そうか、もしかしたら天宮さんは時間にルーズな人なのかもしれないな。

それはそれでイイんだが。

 「森野さんこんにちはー」

「おー陽子ちゃん、大きくなったなぁ」

陽子にとって剛は第二の兄貴……いや、おじさんみたいなもんだな。

陽子もよく剛に懐いたもんだな。


 「すいません遅れてしまって」

後ろから聞こえた声に反応して振り返ると、そこにいたのは紛れもなく天使、いや女神だ。

 全体的に白っぽい服で、正しく清楚な天宮さんにはぴったりだ。

髪もまとめてあり、いつも学校で会う天宮さんより大人っぽさ溢れる感じだ。



 「……綺麗です天宮さん」

思わず口から率直な感想が漏れた。

「ありがとうございます」

天宮さんに会えて本当に良かった。これほど美しい人に会えたことを、俺は神に感謝しよう。

 「奥村さん、こちらが妹さん?」

「あ、はい」

「初めまして、奥村陽子です。兄がいつもお世話になってます」

陽子が年齢不相応な丁寧過ぎる挨拶をした。

「天宮真理です。こちらこそお世話になってます」

天宮さんも負けないくらい丁寧な挨拶だ。さすがと言ったところか。


 「じゃあ入りますか」

「おー!」

入場料を払い、俺らは水族館へと入っていった。 



 「お兄ちゃん、ヒラメだよ!」

「カレイだな」

「お兄ちゃん、シャチだよ!」

「イルカだな」

俺は妹の間違った認識をことごとく訂正していった。

シャチとイルカは間違わないだろ、普通。


 「君の妹は実に楽しそうだねぇ」

ガラスの水槽に興味津津の陽子を見ながら剛は言った。

「まぁ小学生のうちだけだからな、水族館を楽しめるのなんか」

中学生、高校生となったらこんな純粋に楽しめることなんか無くなってしまうのさ。

だから今は楽しめよ、陽子。


 「水族館というのは楽しいですね、奥村さん、剛さん」

高校生にもなって水族館で楽しめる人がいました。

そんな貴女は素敵です。

「あ、奥村さん、シジミですよ!」

「ヒトデですね」

どうやって間違えたんだこの人は。

……そういえばこの人は天然だったな。忘れてた。



 「おい楓、向こうサメコーナーだってよ! 見に行こうぜ!」

ここにも楽しんでる人いたよ。

お前、高校生にしてははしゃぎ過ぎじゃないのか。

ま、楽しい分にはいいけどさ。



 で、サメコーナー。

なんともデカい水槽だ。都心のビルくらいあるんじゃないか。

いや、もちろん冗談だけどさ。

「やべーサメかっけー!」

「水族館でここまでハイになれるお前が羨ましいよ」

「え、なんか言ったか?」

「……なんにも」


 でも確かに魚類の中ではかっこいいのだろう。

巨大な体に鋭い牙、勇ましい泳ぎ。

このサメの雄々しき姿を見ていると、若干恐怖を感じる。

俺サメには勝てる気がしねぇよ。ジオフリード使っても勝てる気しねぇよ。





 パリン。

突然サメの入っている水槽が割れた。

割れたところから水が流れ出て、そしてサメも流されるように出てきた。

突然の出来事に人々は惑い、辺りからは悲鳴が聞こえる。

「剛!」

「あぁ!」

「逃げるぞ!」


 そして俺たちは全力で逃げ去ろうとした。


 すると、前方から人の波に逆らって、陽子と天宮さんがやって来た。

「お兄ちゃん! 何があったの?」

何も事情を知らなそうな陽子は心配そうな顔で俺を見てきた。


 そのとき、逃げ出したサメのうちの1匹が陽子へと襲いかかった。

「陽子! 危ない伏せろ!」

サメの鋭い牙が剥き出しになり、陽子へ襲いかかる。


 「危ない!」

天宮さんが陽子を抱いて横へ跳んだ。

サメは勢い余って壁にぶつかっていた。

俺はすぐに陽子の下へと駆け寄った。

「陽子、陽子!」

陽子は俺の呼びかけに反応しない。目を瞑ったままだ。

「大丈夫でしょう。気絶してるだけだと思います」

天宮さんが陽子の頭を撫でながら言った。



 許さない。

陽子をこんな目にさせたこのサメを……

「ぶっ殺す! 目覚めろジオフリードォォ!」

天へとかざした俺の手が輝き、光が巨大な槍を象っていく。

そして、空間を吸い込むような深い漆黒の槍、ジオフリードが姿を現した。


 「奥村さん。殺さないようにお願いします」

「わかりました。死なない程度にぶっ殺します!」

「ほんとにわかってますか?」


 いくぞサメども。

俺のかわいい妹を傷つけた罪は重いぞ。

でも天宮さんには殺すなといわれてるから、とりあえず半殺しだ。

覚悟しろよサメどもめ。馬鹿みたいな顔しやがって。


 ――クイックスタンス

ジオフリードモードチェンジ。

俺の槍は細くなり、そして軽くなった。

つまりスピード特化のモードということだ。


 「死ねぇサメども!」

俺は掛け声とともに駆け出した。

細長い俺の槍は1匹2匹と殺さない程度に突き刺していった。



 電光石火のスピードですべてのサメを貫いた。まぁ10匹程度だし。

「ご苦労様です奥村さん。レアリアにも慣れてきましたね」

「まぁ2,3ヶ月戦ってますからね。サメ10匹ごとき5秒ですよ」

「かっこよかったですよ」

「そうですか? ありがとうございます!」

逃げようとしていたことは内緒にしておいたほうがよさそうだ。




 「はーっはっは! なかなかやるようだねホルダーの諸君!」

声は後方から聞こえた。そして振り返ると水族館に設置してあるスピーカーの上に声の主はいた。

そこには短めの金髪で、ふち無しの眼鏡をかけた、いかにも研究者っぽい白衣の男が立っていた。

「誰だお前!」

「俺の名前はシーア。察しの通り未来人だ。さて、会って早々だけど死んでもらおう!」


 すると、シーアと名乗るその男の下の壁が轟音とともに砕け散り、何かが現れた。

それは巨大なロボットのように見える。そのロボットはまるで昆虫……いうなればカマドウマのような形をしていた。

 シーアは飛び降り、そのロボットの操縦席とみられる場所に座った。

「見せてもらおうか。レアリアの性能とやらを!」


 そう言うと、そのロボットは四足歩行で動き出し、1つの足を振り上げた。

そしてその足を振り下ろしてきた。踏み潰そうというのだろうか。


 だが、遅い!

俺はすかさず横転し、そのロボットの攻撃を避けた。


 「俺たちと天宮さんとのデートの邪魔しやがって……さっさと片付けさせてもらうぞ!」


――アタッカースタンス


 攻撃型へとモードチェンジしたジオフリードは、その深い黒さを強めながら巨大化した。


 あのロボットの足を壊せば恐らくバランスを失い、戦えなくなるだろうな。

つまり、足を壊せば勝てる。


 「死ねカマドウマロボット!」

 俺は渾身の一撃をそのロボットの4本ある足のうちの1本にかました。

この攻撃で折れないはずがない。


 ジオフリードは世界が壊れんばかりの轟音と共にそのロボットを貫いた。




 はずだった。




 しかし、目の前には無傷のロボットがいた。

つまり、俺の渾身の一撃が効かなかったということだ。


 「バカな……」

「なんだ。ホルダーの力はそんなものか。興冷めだ、死ね」

再びロボットの足が振り上げられた。






 俺の攻撃が効かない。

足が全く動かない。

勝てない。死ぬ。




 「楓危ねぇ!」

 その声の主は踏みつぶそうとしているそのロボットの足を刀一本で抑えている。

 「剛、お前……」

「らしくねぇじゃねぇか楓! お前はいつもバカみたいに突っ込んで、考え無しに戦ってんだろうが。なのに今回たった一発攻撃が効かなかっただけでヘタレ込むのか、情けねぇ」


 そうだ。

何俺は怖じ気付いてるんだ。

たった一発の攻撃が効かなかっただけの話。

何を怯える必要がある。

それに俺は一人じゃない。


 「2人でやればなんとかなるだろうよ」

「……そうだな」

「じゃあ、いくぜ楓!」

「おう!」


 そう言うと剛は、刀に力を込め、ロボットの足を押し返した。

下からの2人同時攻撃なら効くかもしれない。

いくぞ。


 「くらえカマドウマロボット!」

剛の大赦燐の斬撃と俺のジオフリードの突きの同時攻撃。

その衝撃は凄まじいものだった。


 ロボットの足に亀裂が入った。

恐らく崩れるだろう。

 俺と剛はバランスが保てなくなり崩れた。

これで動けまい。



 「ちっ……今日は退いといてやるよ」

シーアはいつの間にかロボットから降りていた。

 「認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものを」

そういうとシーアはロボットが壊した壁から逃げていった。全力疾走で。



 「ふぅ、なんとか追っ払えましたね」

剛は言った。

といっても逃がしてしまったがな。

まぁなんとか被害者を出さずにすんだし、とりあえずいっか。

しいていえばサメは半死状態だがな。


 「ところで天宮さんは何故戦わなかったんですか?」

「陽子さんを守らなければなりませんでしたし。それに私が戦ったら水族館が壊れちゃいますから」

 ああ、成程。

いつぞかの公園で放った一撃を室内でやられたら、まぁ多分水族館は更地になるだろうな。


……んっ……」

気絶していた陽子は目覚めると、ゆっくりと体を起こした。

怪我でもしたのだろうか、腕を抑えている。

 「あれ、お兄ちゃんサメは……っていうか何この惨劇」

陽子は壊れた壁、ひび割れた床を見て目を丸くしていた。



 「正義のヒーローが悪者をやっつけた後さ」

「え?」



 あながち嘘ではないはずだ。

俺は、お前を守る正義のヒーローさ。

剛「なぁ楓」

楓「なんだ剛」

剛「この小説なんかの漫画に似てないか?」

楓「漫画?」

剛「確か武装錬き…」

楓「気のせいだ剛!作者も最近気付いたとかそんなこと絶対ないから!」

剛「俺の名前もなんか似てるような…」

楓「気のせいだ!!!」

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