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第三話:初戦の敵はチャラ男!?

自分の語彙力の低さにはウンザリします…(泣)

 「……で」

「何故こうなっているのだろうか」


 朝、学校に着いた俺たちは相変わらず皆に囲まれている天宮さんのところへ直行した。しかし天宮さんは俺たちの問い掛けにに答えずに一言だけポツリと言って、また皆と会話を始めた。


「放課後、屋上に来てください」




 ……で、だ。

なんでわざわざ屋上に行かなければならんのだ。

こちら側としてはちょっとした質疑応答するだけなのだから教室で全然良いのだが。

天宮さんにとって都合が悪いのかな?

そういえば他に天宮さんの電波話を聞かされた奴はいるのだろうか。いたのだったら挙手してほしい。正直、剛と二人だけではキツい。援護を頼む。いや、むしろ最前で戦ってくれ。いや、もちろん実際戦うわけじゃないんだが。

 そんなことを延々と考えていたらドアの軋む嫌な音が屋上に広がった。


 「ごめんなさい、待たせちゃって」

「いや、全然っすよ。俺らも今来たところっすよ」

「じゃ、話そっか」

「あの……天宮さん」

「はい?」

「この間の話、真面目に言ってるんですか?」

「この間のって……未来人討伐作戦の話ですか?」

「あぁ、多分それです」

「えぇ、真面目ですよ。それも大真面目です」


天宮さんは少し頬を膨らませた。 信じてもらってないと知り、気分が害されたのであろう。でもやはり気品の漂う美しさを感じる。


 その時、剛がまたもや重そうな口調で話始めた。

「はっきり言って、なんなんすか? その未来人討伐作戦って」

「この間言ったとおり、レアリアの力を持った人を集めて未来人と戦おう、って作戦ですよ」


 俺は天宮さんの目を見た。濁りのない透き通った目だ。その純粋且つ強い眼光は剛の目の方向に真っ直ぐと向けられていた。

少なくとも俺は、この人が嘘を吐いているとはとても思えなかった。



 「そこまで信用出来ないなら、証拠見せますよ」

「証拠ぉ?」


ハモってしまった。だがこの際気にしない。

 俺は天宮さんが『嘘を吐いている』とは思ってないが言ったこと全てが真実だとは全く思っていなかった。


「じゃぁ、証拠見せてもらいますか。で、なんなんすか、証拠って?」

「もうそろそろわかりますよ。あ、ほら、来た」


 天宮さんの視線の先には人がいた。俺らが来た時にはいなかった。だが今確かにそいつは給水塔の上に立っている。誰なんだ、こいつは。

まさか━━━



「未来人……」

先に言ったのは剛だった。

しかし驚きだ。聞いてはいたもののまさかこんなに人間に似ているとは。それもそうか、未来人だもんな。俺らの成れの果てみたいなものだもんな。


 「ヤッホー、レアリア使いの諸君〜。元気にしてますかぃ?」

ド派手な金髪、ドデカいピアス、程よく焼けた小麦色の肌、綺麗な目鼻立ち、スラリとのびた長い足。

見た目通りのとても軽い口調だ。


 「何? まぁた新人見っけちゃったの? そりゃ面倒臭いなぁ。将来的に俺らの障害と成りうる奴等は全員……ぶっ殺す!」

「うわぁっ!」

またもや剛とハモった。

やべぇ……確実にやべぇ……

なんか手から出したぜ。てか地面凹んでるんだけど。ちょっと……まじ怖ぇぇ!



 「……大丈夫ですよ」

天宮さんの凛とした声が腰を抜かし座り込んでしまった俺らを暖かく包んだ。

「彼らを殺すために、私たちレアリアはいるんですから。じゃぁそろそろ証拠、見せてあげますね」


 すると、天宮さんが目を瞑り、空に向かって両手を伸ばた。何をやっているのだろう。戦うための力?いったいどんな力なんだ?



「呼応せよ……ストンベルダ!」


 天宮さんが空に掲げた両の手に武器が現れた。

それは武器と呼ぶには生温いくらい禍々しく、巨大なものだった。

長さは天宮さんの身長の2倍以上、棒の先は万物を貫くかの様に鋭利になり、その根元の辺りに弧を描く様に巨大な刃がついている。そう、いうなれば斧だ。斧の刃の反対側にはこれまた種類の違う刀剣のような刃がついていた。

恐らくこの武器一つで斬る・裂く・刺すなど様々な攻撃方法が存在するのだろう。


 「それでは、遊びましょうか。未来人さん」

「ひゃぁははははははは!」


 それから天宮さんと名も分からぬ未来人との戦闘が始まった。

俺と剛は完璧な傍観者だった。

だってそうだろう?

こんな中突っ込んでったら一瞬で塵か何かになるぜ。

とにかく、俺ら一般人がこの攻撃の嵐の中に突っ込むのは不可能ということだ。


ん?一般人?



そういえば俺らは天宮さんに『戦うための力』があるといわれた。

ならば俺らもあのような厳つい武器を出せるのか?

まぁ正直な話出せたところで戦う気にはなれないが。


 「奥村さん! 森野さん!」

戦闘中の天宮さんが俺らの姓名を呼ぶ。

「力を、使ってください!」

俺らはポカンとした。

そりゃそうだろ。だって……

「力ってどうやって使うんですかー!」

俺の疑問を剛が答えた。

「気持ちを高めるんです!」

気持ちを高める? どういう意味なのだろうか。


「あなた方が力を得たと言うことは何か守りたい物や守りたい人がいるハズです!」


 ……確かにいる。

妹の陽子だ。

アイツにだけは一切の負担をかけさせたくない。


 実は俺はあの夢━━━━俺らの町が壊される夢を見てから心から安らいだ時間がない。

いつかあれが現実のものとなるんではないか、と俺にしてはネガティブなことを考えてしまうわけだ。

あの夢が現実になったら、恐らく陽子だけではなくここら一帯の人は全員死ぬだろう。


それはさせてはいけない。


陽子は殺させない。

陽子だけは守る。

陽子だけは絶対━━━━




すると俺の握り締めていた拳の隙間からが途端に光が漏れ出した。

「これは……」

「奥村さんの気持ちの高まりに呼応しと力が目覚めようとしてるんです!」

俺もあの力を手に入れるのか。

戦うための力、いや、違うな。



守るための力が。


「うぉぉぉぉぉぉ!」


とりあえず天宮さんの真似をして両の手を掲げる。

すると俺の手の中の光が輝きを一層増し、広がっていった。

それは徐々に形となっていく。



そして現れたそれは━━━━槍。


やはり馬鹿でかい槍。

俺の身長の1.5倍はある。要するに2.7メートルくらいだ。

刃の部分が槍の大部分を占め、それは恐ろしい程に黒かった。まだ日が昇っているというのに屋上一帯を闇に包んでしまうようだった。

天宮さんの武器も禍々しかったがこれはなんというか、とにかく深く、暗かった。

じっと見ていると吸い込まれそうだった。


「これが……」



「奥村さんの武器です。名前は後で考えて下さい。じゃあ、この未来人を倒してみてください」



 ……え、今なんて?

俺はたった今、力が目覚めたばかりで、名前も考えてない、使い方も分からない、ましてや戦闘なんて剛とのプロレス紛いのじゃれあいしかやったことがない。その俺にどう戦えと。


「大丈夫です。最初は武器が戦い方を教えてくれます」


いや、そうは言われてもやっぱり恐い。

だって敵はなんか手からよく分からないもの出すんだぜ?

それはコンクリ凹ますんだぜ?

そんなのと戦えるはず……

と考えていると妙な悪寒がした。


「へぇ〜……お前から死にたいんだぁ……」


いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやそんなこと一言も言ってないよ未来人さん!

むしろ貴方様の靴を舐めてでも生きたいですよ!


「まぁどっちにしろ力が目覚めちゃったから殺さないとボスが怒るしなぁ……じゃ、ぶっ殺ぉぉぉぉす!」




きゃーーーーー!

叫びながら突っ込んで来たーー!

てか助けてー!

剛はなんか相変わらず腰抜かしてるっぽいし、天宮さんはなんかニコニコしながらこっち見てるし……




「ギャーーちょっとヘルプミー!」


すると、俺の手の中の槍が俺を引っ張った。

そして未来人を貫いた。

貫通している。



「ごはぁっ!」


未来人はよろめき、後ろへ倒れた。



てか何この槍、勝手に動いたよ今?


「てめぇ……このヤロウ……」


未来人がよろめきながら立ったところでまたもや槍が俺を引っ張っる。


 そして今度は俺が未来人へ突っ込んでいった。


━━クイックスタンス


すると、槍が……加速した。俺を引っ張ったまま槍が突風のように加速した。


そして気付いた時には屋上の端に立っていた。



「く……そ……が……」



後ろから未来人の呻き声と、ドサッという倒れる音が聞こえた。



パチパチパチ。


「やっぱり戦えたじゃないですか」


拍手しながら天宮さんが涙目の俺に近付いて来る。


「どうでした? 初めての戦闘は」

「……生きた心地がしませんでしたよ」




相変わらず剛は腰を抜かしている。しかも今回は白目まで剥いている。




画して、俺の非日常は始まったわけだ。

誰か語彙力をわけてください…

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