第一話:ベタな始まり
ど素人の小説ですので、なんかすいません。
「おいおい、まじかよ」
そりゃ誰だってそう思うだろうよ。
目の前が数分間で焼け野原だぜ?
これが今世界の話題を独り占めしている『未来人』とやらか。
しかしホントおかしな力使うなぁ。
なんだアレ?レーザーか?
青い光が通った場所が豆腐みたいに脆く崩れ去ってるではありませんか。てか俺何故に敬語?
「とりあえず……逃げなければ」
俺は走った。
今なら長距離走でベン・ジョンソンにだって負ける気はしないさ。
それほど必死だったんだ。
でも多分、ここまでだな。
上から建物が崩れて落ちてくるし、実際もう走る元気なんてねぇよ。
あー、終わったな、俺の人生。
せめて死ぬ前にかわいー子とキスくらいしたかったぜ。
てかこれ落ちてきたら確実に死ぬよなぁ。
俺が死んでも妹の陽子は一人で生きていけるかなぁ……
あいつ泣き虫だし、心配だな。
剛にもお別れぐらい言いたかったな。
あいつにはこの前500円借りっぱなしだし。
「もう少し、生きたかったな……」
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「うわぁ!」
俺は目を覚ました。
「夢、だったのかな」
俺はとりあえずポジティブに考えてみた。
「寒気がするくらいリアルな夢だったなぁ」
わざわざ独り言のように呟いているのは今尚ある恐怖感を紛らわすためだ。
「お兄ちゃんー、朝ご飯だよー」
陽子の声だ。なるほど、マジで夢だったらしいな。
町が崩壊して陽子がいつも通りなはずないだろうしな。
「今行く。」
俺はベッドから立ち上がった。
するとベッドには赤いシミがついていた。
「血じゃねぇ……よな」
俺はもう1回ポジティブに考えてみた。
そうだ、これはアレだ、アセロラジュースだ。そう考えながら俺は足早にリビングへ向かった。
「おはよう陽子」
「おはようお兄ちゃん〜」
わが妹ながら元気な子供だなぁ。
陽子が6歳の時、俺たちの両親を殺された。
俺は大泣きしている陽子を見た。そのときから俺は陽子には苦労をかけさせまいと心の中で誓った。
だが4年たった今では家事を全て陽子にやらせてしまっている。
10歳にして掃除、洗濯、料理他いろいろなんでも出来る。
将来はいいお嫁さんになるだろうな。
泣き虫だけど。
兄である俺の行く末はフリーターだろうが。
飯も食べ終わり俺が制服に着替えていると、制服から1枚の紙が落ちた。
「ん? なんだこれ?」
その紙にはこう書かれていた。
『保持者 No.013』
これが何の紙で保持者とは何か、No.13とは何なのか、俺には全くわからなかった。
「まぁいいや」
今度は深く考えないことにした。 その紙をゴミ箱に捨てて、俺は学校に向かった。
歩いて10分、俺の通う神命高校に着いた。
この高校を選んだ理由は何と言っても俺の家との近さだ。
朝のんびり出来るのはとても良いことだ。
「おはよう剛」
「おぅ、グッモーニン楓」
こいつの名前は森野剛。
『剛』は『つよし』ではなく『ごう』と読むから要注意だ。
初見の奴は大体間違える。
「そういえば今日、転校生が来るらしいぜ」
「マジか? 女か?」
「御名答」
おいおいマジかよ? 朝からテンション急上昇だよ。
「……美人か?」
「……ふふ」
「焦らすなよな」
「はーい全員席座れー」
さぁてキタ。転校生のお披露目ですか。こんなワクワクはSM○Pのライブ以来だぜ。
「えー、では今日は私達の新しい仲間を紹介しよう」
いぇーい、待ってましたー。
そんな声が所々から飛び交っている。
さぁ、どんな子でしょうねぇ。
「紹介しよう。天宮真理さんだ。彼女はお父さんの転勤でこんな忙しい時期にこちらに来てくれた。仲良くしろよ、お前ら。」
俺は『美』という言葉は彼女のために作られたのだと思った。
夜空よりも暗く深い艶やかな長い黒髪、美しく整った目鼻立ち、雪のように闇をも照らし出すような輝く白い肌、羽根を生やしたら天に翔んで行きそうな程美しかった。彼女の前では黄金ですら目を眩ますかもしれない。
しかもアレは多分Dカップ以上だ。ありがとう神様。私のお手元に天使を遣わせて頂けるとは。今度賽銭箱に50円玉いれときます。
「天宮真理です。父親の転勤の多いのであまりお友達がいませんでした。この学校ではたくさんお友達を作りたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。」
美しくも力強く凛とした声。一挙一動が優雅で、少し儚げなものだった。
「森野さーん……」
俺は下卑た笑みを浮かべながら剛を呼んだ。
「……おう」
さすがは剛だ。俺の考えを即座に読んだ。話が早いってもんだ。
そしてクラス委員の比野が仕切り始めた。
「えーでは天宮さんに質問ある人は……」
『はい!』
俺と剛は比野の言葉を遮り太陽を掴むかのように天高くへと手を伸ばした。
「じゃぁ楓と剛」
比野が俺らを当ててコンマ1秒経たないうちに俺らは叫んだ。
『3サイズを教えて下さい!』
よくやった、お前ら漢だよ。
そんな声がクラス中から聞こえて来た。
「天宮さん、答えたくなければ答えずにアイツらの顔面にシャイニングウィザードかましてもいいんだよ?」
比野は真面目野郎てアホだからこういう場面でも空気を読まずに『答えなくていい』などという戯言を口に出すこともしばしばある。
「まぁ……仲良くなるためと考えれば、仕方ありません……」
これはまさか……
こういうのはムードメイク、つまりは雰囲気作りのために言うのであって言う当人達は聞けないことなど百も承知である。
だがしかしどうだ!この天宮真理という女!
『仲良くなりたいので』という理由で会ってからわずか数分の獣達に自分のトップシークレットナンバーを教えようと言うではないか!
これはもしや……いまや国宝とまで称されている……
天然!
そうと分かれば放課後までに生年月日、血液型、趣味、住所、好きな食べ物、好きな飲み物、よく行く場所、性感帯まで聞くことも可能だ。
そして天宮さんが自分の3サイズを発表した後約20分、男子達は1時間目の現代文の授業なんてお構いなしに天宮さんを質問責めにした。
「血液型は何型ですか!?」
「ABです」
「動物は何が好きですか!?」
「ヒグマです」
「愛ってなんですか!?」
「愛の価値観というものは人によって違うと思います」
「抱いてください!」
「何をですか?」
「踏んでください!」
「喜んで」
「今日の下着の色はなんですか!?」
「黒です」
「1日で5万円稼げるアルバイトあるんですけどやりませんか!?」
「アルバイトする時間がないのでお断りさせていただきます」
「……!?」
「……
……
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そんなこんなでもう1日が終わってしまった。早いな。
結局性感帯は聞けなかったがメルアドはなんとかゲット出来た。
周りを見渡すともう天宮さんはいなかった。こんな暑苦しい場所にいつまでもいてられるかという暗示だろうか。まぁ天宮さん宅の住所も知ってるから行こうと思えば行けるわけだが初日から家へと出向くのは気がひけるし何よりひかれる気がする。
ここは帰ったら速攻でメールをするしかない。こっちのメルアドだってもう教えてあるんだ。何も案ずることはない。本能に従えばいいんだ。
そして俺は足早に家に向かった。
するとメールが来た。
「誰だ……剛か?」
画面には『天宮真理様』と浮かび上がっていた。
「こ、これは……」
恐る恐るメールを見てみた。
『今から私の家に来れます?』
……
俺はどうすれば良いのか考えた。
何故地球は回っているのかも考えた。
結論、返信。
『もち!今からソッコー行くよ!』
とメールを送り俺は全速力で走った。
そして15分後天宮さん宅に到着。
宅と言っても高級そうなマンションだがな。
『着いたよー』と送る。
『今開ける』と返信が来てマンションの玄関の扉が開いた。
そしてダッシュで5階の天宮さんの部屋へ行き、インターホンを押した。
「はーい」
という甘い、高い声。
心音が地響きを起こすかと思われた程胸が高鳴っていた。
まさか会って1日目で自宅にあがらせていただけるとは。
これも天然という性格のみがなしえる技なのか。
そしてドアオープン。嗚呼、扉の向こうから後光が差し込んでくる……
「いらっしゃい。どうぞ上がってください」
「お、おじゃまします」
「そんな緊張しなくても平気ですよ。親なんていないし」
天宮さんの親御さん、こんな可愛い娘をよくこんなところに1人で住ませましたね。ていうか天宮さんの転校の原因で父親の転勤だろ?ならなんで1人暮らしなんだ?まだ謎でいっぱいだな。
「で、何故俺を呼んだんですか?」
「あーそうですね。もう本題行っちゃいましょうか」
「お願いします」
さぁなんなんだ俺を呼んだ理由は。告白か?告白なのか?一目惚れか?
「実はあなたはタダの人間じゃありません。」
……はい?
「あなたはレアリアという特殊な力を持っています。未来人と戦うための力を」
「……えーっと、話が読めて来ないんすけど」
「2年前、国連はこのまま未来人を野放しにしておけば地球は滅びてしまうと考えました。だから未来人に対抗すべく地球に『イクセス菌』を撒きました。この菌を吸ったごく一部の者は特殊な力を得ることが出来ます。その力をレアリアと言います。そして国連はレアリアを持った人間を集め、未来人を討伐しようとしています。そしてあなたはレアリアを持っている。つまりはあなたに未来人討伐のために戦ってもらいたいと言うことです」
……
えーーーーー!
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