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♯4受け入れられない日常


(遥視点)


 朝の空気は、やけに澄んでいた。  冬に近づくほど、朝は静かになる。人の気配が薄くて、考え事をするには向いていない時間帯だ。


 校門が見えた瞬間、足が止まった。


 ——白石透。


 昨日、転校生として紹介されたその姿が、そこにあった。  たまたま、なんて言葉では片づけられない距離感。


 「……」


 見なかったことにしよう。  そう決めて、進路をずらす。


 「遥」


 低く、でもはっきりと呼ばれた声。


 次の瞬間、手首を掴まれた。


 「待って」


 反射的に振りほどこうとしたが、思ったより力は強くなかった。  それなのに、胸の奥がざわつく。


 「離せ」


 「……少しでいい。話させてくれ」


 視線を合わせないまま、透は言った。


 「昨日のこと、あれで終わりにしたくない」


 終わりにしたかったのは、俺のほうだ。


 「今さら何を話すんだよ」


 「謝りたいわけじゃない」


 その言葉に、思わず眉が動いた。


 「謝って済むなら、私は何回でも謝る!でも、それじゃ足りないって分かってる」


 ……分かってる、か。


 「私逃げない遥からも、誠也さんのことからも」


 その名前を出された瞬間、胸がきつく締めつけられた。


 「……俺の前で、その名前を軽々しく出すな」


 声が低くなる。


 「悪い」


 「謝るな。自分を罰するみたいなことも、するな」


 透は黙った。


 「……正直に言う」


 少し間を置いて、俺は続ける。


 「俺はお前を見ると、どうしても思うんだ」


 透の喉が、小さく鳴った。


 「——もし、助かったのが誠也だったらって」


 言葉にした瞬間、胸の奥が軋んだ。


 最低だと思う。  それでも、消せない感情だった。


 「透じゃなくて、兄貴が生きてたらって……考えてしまう」


 透は何も言わなかった。


 「それでも、お前を憎みきれない。だから余計に、どう接していいか分からない」


 校門を抜ける生徒たちの足音が、遠くで響く。


 「……今日は、ここまでだ」


 そう言って、手首を振りほどいた。


 「近くにいるなとは言わない。でも、俺が整理するまで、距離は取らせてくれ」


 透は、ゆっくりとうなずいた。


 「分かった」


 その返事が、少しだけ胸に残った。


 ——


(透視点)


 校門で別れたあと、胸の奥が不思議と静かだった。


 拒絶されたはずなのに、話せたことが、言葉を交わせたことが、少しだけ救いだった。


 「……大丈夫」


 そう、自分に言い聞かせて体育館へ向かう。


 用事を済ませて、廊下を歩いているときだった。


 女子トイレの前を通り過ぎようとした、その瞬間——


 微かに、声が聞こえた。


 足が止まる。


 聞き間違いだと思いたかった。


 「……誠也……」


 息が詰まった。


 耳を澄ます。


 「なんで……なんでお前が……」


 声は、震えていた。


 「……兄貴が死ななきゃいけないんだよ……」


 嗚咽を噛み殺す音。


 私は、その場から動けなかった。


 昨日も、今朝も、強がっていた遥の姿が、頭から消える。


 ——ああ。


 私は、  安心なんて、していい立場じゃなかった。


 扉の向こうで泣いているその背中を、  透は、ただ見つめることしかできなかった。



最近なんか面白い方向にもっていけないな、ていうか失恋がむずすぎるもしかしたらこれがラストになるかもごめんもっとうまく書きたいからかんがえます

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