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第1章 祈らない訓練校 第4話 奇跡は資源である 1/3
その講義は、神学ではなかった。
3人の講師たちは前方にラファエルとイザベラ、後方にマルコが候補生の全体を見守っている。
黒板の前に立ったのは、白衣を着た男性だった。年齢は分かりにくいが、乱れたシルバーの髪と目の下の深い隈が目立つ。
「着席。私語は禁止」
声は低く、淡々としている。軍人でも聖職者でもない、どこか役所めいた調子だった。
黒板に、数字が書かれる。
『癒やし:三』
『祝福:七』
『浄化:十』
候補生たちは意味が分からないまま、それを見つめた。
「これが、基礎単価です」
白衣の男が言う。
「単位は“点”。
王国における奇跡使用の評価基準です」
誰かが手を挙げた。
「点数、ですか?」
「そうです。
貨幣換算も可能ですが……。今は覚えなくていいです」
黒板に、さらに文字が加えられる。
『癒やし(三点):軽傷一名』
『祝福(七点):一時的能力補正』
『浄化(十点):中規模汚染』
過半数の候補生が息を呑んだ。奇跡が、説明されている。
まるで、道具のように。




