第1章 祈らない訓練校 第3話 覚悟なき者に、聖女の名はない 1/3
講師を迎えるまでの時間は、
誰もが様々な様子で待ち、
互いを見つめ、
自分の立ち位置を改めて意識していた。
「静かに──!」
講師長マルコの低く響く声。
軍服のような服装をした壮年の男の姿があった。
いつの間に、そこにいたのか。疑問を抱く暇もなく、少女たちの背筋に『ピリ…ッ…』と冷気が走る。
教壇に立つその姿は威厳に満ち、まるで光を背負っているようだ。
マルコが講義室の全体を見渡す間に、さらにイザベラとラファエル……二人の講師が姿を見せる。制服でもあるようで、この二人も軍服に似た服装をしている。
二人はマルコと視線を合わせると、それが合図のように講義がスタートした。
「あなた方は、聖女ではない。
聖女候補生だ」
マルコの言葉に、さっき壇上で語る老年の女性の言っていた言葉を思い出す。「さっき校長からも聞いたと思うが──」と、付け足され、あの女性が校長だと言うことを今、知る。
校長は言っていた。
『そしてこの学校は、祈る場所ではない』
その“祈らない”という言葉が少女たちの胸の中で引っかかる。
聖女なのに?
少女たちの胸中を察することなく、マルコは表情を変えず淡々と語る。
「奇跡の使用には、申請が必要である」
奇跡の使用……それは祈りのことを意味している。
緊急時であっても例外は“ない”と言い切っているのだ。
「無断使用は、即時減点。
場合によっては資格剥奪」
ざわめきが起こる。
「あなた方が扱うのは“神の奇跡”ではなく『王国管理下の資源』であると覚えておくように」
資源。
その単語が、少女たちに現実を連れてくる。




