第1章 祈らない訓練校 第8話 数値に現れない光 3/3
講師たちの視線は自然と三人に集中していた。
「……数値には現れない、何かがある」
ラファエルは低く呟いた。手を組んだままビリジーナを観察する。
微かな身のこなし、
予測できないタイミングでの反応、
視線の配り方──。
すべてが彼の直感に触れた。無意識に唇の端が上がる。
「こういう子は、実戦では面白いかもしれない」
イザベラは記録用のデータ端末に目を落とし、精密に各動作を数値化していた。
しかし、彼女の冷静さにも微かな疑問が浮かぶ。
あの少女──。ビリジーナの動きには、標準化された指標では測れない柔軟さがあった。
速度や精度は平均だが、反応の仕方に異質さがある。
ジェンメリアもまた、慎重で正確な動きを見せていた。安定感はあるが個性は控えめだ。
それとは対照的にテリカはまだ訓練に慣れず、動きにぎこちなさが残っていた。
マルコは短く息をつき、静かに思った。
「彼女たちの本性を知るのはこれからだ。
まだ、誰も本領を発揮していない。」
ラファエルはわずかに口角を上げ、微笑みにも似た表情を見せる。
「面白くなりそうだ……」
その言葉は、まだ誰も知らない可能性への興奮を含んでいた。
数値や記録に表れない、候補生たちの“命の輝き”を、講師たちはこの初日からすでに感じ取っていたのだった。




