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弥たちは建物の道を挟んで向かいにある体育館に来ていた。
「じゃあ力也よろしくねー、お前が一番手加減するの得意だろ?」
「わーってるよ、じゃあ天引、こっちだ」
入り口で分かれると隼人たちは観覧席へ向かった。
力也に連れられて入るとそこは普通の体育館だったが、隼人たちが席についた後、観覧席を守るように長方形の結界が貼られた。
二人は中央に立つと、力也の方から軽いルール説明を行った。
「今からやるのは決闘、だが力試しだから死ぬまで戦おうってわけじゃない。でもまあ、殺す気でかかってこい」
そう言って力也は踏ん張るとひとっ飛びで後ろに下がった。
八メートルほど離れた後、観覧席の隼人が声を上げた。
「よーし準備はいいね?」
弥は頷いて反応した。
不思議と緊張はない。
魔人と戦った時を思い出せ、と頭の中で念じ続ける。
一度深呼吸をしてから構える。
左手を見ると少年が立っている。
「3、2、1、始めっ」
合図の後も二人は動かない。
「おいおい?小手調べしてんのはこっちだぞ?まあいい、守りも大切か!」
力也は踏み込むと物凄い勢いで突進してきた。
弥は前に高く飛び越えると着地して後ろを向いた。
「まあこれをかわせないようじゃ門前払いさ」
力也は再び踏み込むと瞬時に弥の目の前に移動して、そのままみぞおちを狙って右ストレートを放った。
弥は右に流れ避けると左足で喉に向かって蹴りを放った。
その蹴りは正確に喉元に命中した。
「ッ!?」
予想外だったのかかなり効いているようだ。
力也は数回咳き込むと立ち直り、体勢を立て直した。
「今のはちょっと驚いたぜ、でもお前まだ本気でやってないだろ、本気でやらないと痛い目見るぜ?俺も少し本気にならなきゃいけねーそうだしな」
力也はそういうとシャツを脱ぎ捨ててタンクトップ一枚になった。その筋肉はシャツを着ている時から隠せていなかったが、こう見ると自分と同じ人類なのかと疑いたくなる。
弥はずっしりと待ち構えている。
力也は再び前に踏み込むと二メートルほど離れた位置から手を開き弥に向かって仰ぐように手を振った。
すると凄まじい風が吹き、弥は耐えれず後ろに飛ばされて壁に叩きつけられた。
「あれ、買い被りすぎたか?」
力也はその場から動かず、覗き込むようにこちらを見ている。
弥は少しして立ち上がり、顔を上げる間も無く自分から突っ込んだ。
力也の顔に目掛けて右ストレートを放つと力也はそれを左手で受け止めて右手で弥の顎に向かってアッパーを放った。
力也はこんなに早く動けるのかと驚き、自分に比べて特段早いわけでもなかったが、手加減を忘れていた。
まじい、うっかり力んじまった!
力也が命中を確信し、弥の身を案じたその時、アッパーの軌道が逸れ、弥はそのままみぞおちに左肘でエルボーを放った。
その一撃は先ほどの蹴りとは比べ物にならない威力だったが、力也の強化魔法で最低限威力は抑えられた。
二人とも息が上がっているところに少年の声が響いた。
「そこまでそこまで、これでわかったでしょ?剣」




