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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

田中くんと田無くん

作者: 餅々
掲載日:2025/10/13

 昔々……じゃなくて、普通に現在の、とある片田舎。

 そこに一人の少年がおりました。

 

 名前は田中くん。

 ごく平凡ではない、ちょっとお茶目というよりは残酷な、無口な少年です。

 全身白タイツを着ていて、腹にはでっかく田中と書いてありました。

 彼には一人のお爺さんがいて、ある日田中くんにこう言いました。

 

「田中よ田中。わしらの家には代々、特別な田んぼがあるのだ」

 

 お爺さんは家の中庭にある田んぼを見せつけ自慢しました。

 

「この田んぼを身につけた者は、森羅万象、ありとあらゆるものを操ることが出来ると言われているのだ! 空だって飛べるし、稲を爆弾に変えることも出来る! しかし残念だったナァ!! この田んぼはすべてわしのものなのだー!! アーッ、ハッハッハッハッハァ!!」

 

 グサリ。

 ムカついた田中くんは、懐に隠していた包丁でお爺さんをぶっ刺しました。

 

「た、田中あああああああああああ!! 貴様血迷ったかあああああああ!! 育ててやった恩を忘れやがってええええええええええ!!」

「……」

「この恨み、晴らすまで呪い続けてやるぞおおおおおおおおおおお!! がくり……」

 

 お爺さんは息耐えました。

 田中くんはどうでも良かったので、お爺さんを無視して田んぼに近づきました。

 

 しかし……田んぼを身につけるとは、どうすれば良いのでしょうか。

 考えた末、田中くんは飛び込むことにしました。

 文字通り、名前通り、田んぼの中へと入るのです。

 

 ということで……田中くんはその場で空高くまで飛び上がりました。

 雲を突き抜け、また音速の速さで落下し、矢のように田んぼへ突き刺さります。

 すると田中くんは地中深くまで抉るように落ち、田んぼ自体が虹色に光り輝き始めます。

 パチンコで大当たりした時みたいな、トゥルルルルルル、という音と共にです。

 

 そして。

 四角い田んぼは、地面ごと100m浮かび上がったのです。

 それは少し小さくなって、田中くんの腹の辺りまで下がり、まるで浮き輪のようになります。

 

 具体的には、

 

  ⚫️

   |

 ⬛︎⬛︎⬛︎ (←これが田んぼ)

  | |

 

 のようになりました。

 

 試してみると色んなことが出来ました。

 田んぼをデジタル化することで、スパコン並みの計算が出来ます。

 何故か超能力に目覚め、鳥や動物と会話が出来ます。

 まさに万能の力です。

 

 田中くんは、もうすぐ新しい学校に行きます。

 そこで思いました。

 このまま学校に行ってみようと。

 

 そうして昼が過ぎ、夜が過ぎ……168時間(一週間)たった頃。

 転校初日の日を迎えました。

 

 田中くんは、田んぼに突き刺さったまま登校しました。

 勿論、浮遊しながらです。

 急成長した田んぼの稲が米粒を撒き散らすと、それらは人々の口に入り、途端彼らの目は輝きました。

 

「イヤーァ!! なんて神々しいの!?」

「アレはまさに、伝説の田んぼの主!?」

「まさか本当に存在していたなんて……生きていて良かった!!」

 

 その田中くんの姿は衛生写真にまで映り、田んぼの力のおかげか戦争が止まり、あらゆる政治の問題は解決され、経済が活性化するなどの影響力がありました。

 そんな全国どころか世界中のニュースとなった田中くんですが、ふと下を見ますと、何やらいじめられている少年がいたのです。

 

 田中くんと同じように、全身白タイツを着ていました。

 書かれている名前は田無です。

 彼の周りをブンブンとバイクを乗り回すモヒカン野郎達が囲んでいて、田無くんを脅迫しています。

 

「ヒャッハー!! オラァ田無ィ! 金出せやァ!!」

「跳んだらチャリンって音出るだろ!! ヒャッハー!!」

「電子マネーでも良いぜぇ、ヒャハハハハハハハハハハ、ゲホゲホ!!」

 

 最後の方、リーダー格が咽せましたが、怖いことには変わりありません。

 可哀想に……田無くんは震え上がっています。

 ですが、田中くんには関係ないことでした。

 こんな奴ら、田んぼを持っている田中くんの敵ではないのです。

 

 田中くんは勢いよく頭上から降りました。

 田んぼのパワーが発動し、稲が伸びて、まるで鞭のようにモヒカン野郎達をぶっ飛ばします。

 

「ぐアアアアアアアアアアアアアアア!! なんて力だァ!!」

 

 モヒカン達はその勢いで空の彼方まで飛んでいってしまいました。

 田無くんは惚けて田中くんを見つめます。

 それを見ていた女の子達もメロメロです。

 

「す、すごいや!! 流石、伝説の田んぼ使い……!!」

「素敵すぎるわ!!」

「イヤー!!」

「ギャアアアアアアア!! 抱いてぇええええええええええええ!!」

 

 そうして田中くんは得意気に、田無くん達を引き連れ、悠々と学校へ到着したのです。

 これには先生も絶句して、あんぐりと口を開けました。

 

「ええええええ……!? た、田んぼが空に浮かんで……ええええええ……!!」

「先生! とってもすごいですよね! 田中くんって言うんですよ!」

「いや、そう言う問題じゃなくって、なんか色々とおかしくない!? と言うかどうやって建物の中に……!?」

 

 そうです。

 田中くんは広い田んぼを身につけているにも関わらず、学校の中に入れているのです。

 先生は困惑し、田中くんをじっと見て、あることに気付きました。

 

「す……透けている!! 田んぼがうっすらと透けて、霊体化しているだと!?」

 

 そのため物や人にぶつかっても問題なかったのです。

 先生はあっさりと納得してしまいました。

 もしくは諦めたとも言います。

 

「な、ならまあ良いかあ……人の邪魔にならないならそれで……」

 

 そうして田中くんは先生から認められたこともあり、その後も田んぼを身につけたまま学校に通い続けます。

 当然彼の存在は目立ち、彼は人気者になると同時にとてもモテました。

 田中くんは女性と複数交際し、まるで何処ぞの王族のようです。

 ですが仲の良い友達はいました。

 

 田無くんです。

 田無くんは田中くんに憧れ、使いパシリになっているのでした。

 

「田中くんはすごいなあ。僕も田中くんみたいになりたいんだぁ。キミのような立派な人に」

「…………」

「え、僕も田中くんになれるって? 名前に“田”があるからって? まさか〜」

 

 田無くんは、いつもそう笑って、ケラケラと笑うのです。

 田中くんは、特に何も言いませんでした。

 どーでも良いからです。

 それよりも女の子にモテる方が重要なのでした。

 

 彼の夢は、お金持ちになって、10000人のハーレムを築くことなのです。

 意外と俗っぽいのです。

 

 田中くんは田無くんを従えながら、次々と周辺の学校や会社を田んぼの力で圧倒し、傘下へ置きました。

 それくらい田んぼは素晴らしいです。

 彼の田んぼの稲から作るおにぎりはとても美味しく、もうそれ以外いらないとさえ思えるようでした。

 田中くんを頂点とする集団はどんどん膨らんでいきました。

 

 ですが、これに焦る者達もいます。

 例えば、田中くんに吹き飛ばされたモヒカン野郎達です。

 元々彼らこそが、この町の真の支配者(自称)だったのに、どう言うわけか訳の分からない田んぼ野郎がハバを利かせているのです。

 ムカつかない筈がありません。

 

「何としてでもアイツを倒さなければ!!」

「でもどうやって!?」

「とんでもねーんだぞアイツは! 何でも出来るんだぞ!」

「と言うか何でも出来る田んぼって何なの!?」

 

 そこへ、怪しい人影が一つ近付いてきます。

 

「ふぉっふぉっふぉっ、困っておるようじゃの。小童共よ」

「お、お前はァ!」

 

 モヒカン野郎達は恐れます。

 ブルブルと震えます。

 

「誰だ!? 見かけねえ面だぞ!?」

 

 そこにいたのは人間ではありませんでした。

 半透明のお爺さんだったのです。

 

「わしは地獄から舞い戻ってきた田中に殺されたジジイの霊よ。この恨みを晴らすため、わしが直々にお前達に手を貸してやろう。悪い取り引きじゃないはずじゃぞ?」

「な、何だと!? そんな話信じられるか!!」

 

 当然彼らは、混乱してしまいます。

 ですがお爺さんはただのお爺さんではありません。

 

「わしは田中のジジイじゃアアアアアアアアアアアアアアア!! 貴様らに田んぼと同等の力を授けてやるわいいいいいいいい!!」

「マジか!?」

 

 モヒカン野郎達はバカなのでその話に飛びつきました。

 

「それを早く言ってくれ!! まったくなんて頼もしい爺さんなんだ!」

「俺達も同じ気持ちなんだ!」

「爺さん最高ー!!」

「最高だァーーーーーーーーーーー!!」

 

 こうしてお爺さんとモヒカン野郎達は地下へと篭り、対田んぼ帝国、チカン帝国を築き上げ、日夜科学技術を磨くのでした。

 

 そうして半年経ったある日……彼らのせいでいよいよ地球の環境がおかしくなってしまいました。

 地軸が傾き、戦争が再開し、経済は大混乱。

 まさに世紀末が到来したのです。

 

「どうしていきなりこんなことに! すべて田中くんが解決したのにどうして!」

 

 田無くんが怒ります。こんなことは理不尽です。

 そして……田無くんは気付いてしまいました。

 

「田中くんの田んぼの稲が……枯れ始めている!?」

「…………!?」

 

 これには田中くんも愕然。

 田んぼのパワーはすべて稲によるもの。そのため田中くんも稲だけは大切にしてきたのです。

 毎日毎日慈しみを込めて世話をしてきました。それが死にかけている。

 田中くんの視界が真っ赤に染まります。

 

 そんな彼の目の前、お爺さんとモヒカン野郎達が現れました。

 

「ザマアねえぜぇ、田中ァ! テメーの田んぼは、俺達チカン帝国が開発した最強の菌、アルティメット稲を殺すくんを空中散布して弱らせたのさぁ! 一方で俺達は無傷ぅ! いやあ? むしろ前よりもパワーアップしているくらいだぜえ!」

「そんなバカな! あり得ない!」

 

 田無くんは叫びます。

 

「田中くんの田んぼは全知全能なんだ! お前らが殺せない、神聖な聖遺物なんだぞ! どうしてお前らがそれを超えられる!?」

「クックックック! その答えは簡単じゃあ! それはわしらの田んぼの方が、優れているからじゃあ」

「……!? まさかそれは!!」

 

 田無くんはびっくりします。

 

「チタン合金製の田んぼだとぉ!? そんなバカなアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

 そうなのです……!

 半透明のお爺さんもまた田んぼを身につけていたのです。

 しかもチカン帝国の技術力で作られた鉄製の人工田んぼ……謂わば最先端の田んぼと言えるでしょう。

 それを幽霊のお爺さんが身につけることで、その霊能力が一気に解放され、とてつもないオーラが発生します。

 

 そのせいで田中くんのハーレムの女の子達も皆お爺さんにメロメロです。

 

「イヤアアアアアアアアアアアアアアア!! 素敵イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」

「より強い方が魅力的に感じるわアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「田中なんて所詮は雑魚だったのよぉ〜!! 時代はやっぱ合金よね! 合金!!」

「そんな!! 皆!!」

 

 田無くんはショックを受けます。

 あれだけ皆、仲が良かったのに!

 

 そんな時、ふとドサリという音が響きます。

 見ると田中くんが倒れていました。今にも死にそうなくらい真っ青です。

 

「た、田中くん!」

 

 堪らず田無くんは田中くんに走り寄ります。

 お爺さんは高笑いを響かせます。

 

「アッーハッハッハ!! ピンチになった田んぼが田中の生命力を吸い取っているようだなあ! これで田中はおしまいだあ!」

「ああ……ウソだァ。うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、ゲホゴホガホ!!!!」

 

 田中くんは絶叫し過ぎて咽せてしまいました。

 

「食らえええええええ、田中アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 それからお爺さんは人工田んぼを輝かせ、人工稲は急成長し、米粒を発射します。

 米粒は雷となって降りそぞき、周囲の建物を壊しました。

 

「うわー!!」

「ギャー!!」

「アンビリーバボー!!」

 

 町は悲鳴に溢れます。

 モヒカン野郎達は狂喜乱舞しバイクで器用に踊り始めます。

 

「ヒャッハー!! これで俺達チカン帝国の天下だあああああああ!!!」

「うう……クソぉ〜!!」

 

 田無くんは田中くんを抱えて逃げ出しました。

 その日以来……世界は地獄と化したのです。

 

 常にお爺さんが人工田んぼを光らせ、米粒をばら撒くのです。

 おかげで皆怯えて、お爺さんとモヒカン野郎達の言うことを聞いてしまいます。

 田中くんと田無くんは、寂しくスラム街で暮らします。

 

 ですが田中くんのに意識は回復しません。

 やはり田んぼのせいなのでしょう。ですが田んぼがない田中くんなどあり得ないのです……。

 

「どうしてこうなったんだろう。もう何もかもが滅茶苦茶だ……」

 

 割と最初から超展開だったのですが、田無くんは頭を抱えます。

 

「これも僕が弱いから……どうして僕はいつもこうなんだ」

 

 田無くんはこれまでのことを後悔しました。

 何故もっと田中くんの力になれなかったのかと。そして走馬灯のようにこれまでの記憶が過って。

 とある言葉を思い出したのです。

 

「そうだ……僕も名前に“田”があるんだ。つまり、僕は田中くんになれるんだ!」

 

 何だか再び勇気が湧いてきました。

 田無くんは「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」と叫びます。

 

「気合いだ気合いだ気合いだ気合いだァ!」

 

 すると何ということでしょう。

 田無くんが虹色に光り輝き始めているではないですか。

 その光はやがて柱となり天を貫きます。

 

 調子に乗っていたお爺さんとモヒカン野郎達も、それに気が付き戸惑います。

 

「この光はまさかァ!! 新たな田んぼ誕生の輝き!?」

「何か知っているのか爺さん!!」

「勿論じゃ! 田んぼというのは、“田”の名前を持つものが心の底から精神エネルギーを発することで生まれる概念なのじゃよ! だからこそ現実を変革しうる力を持っておる!」

「意味が分からない!」

「まさしく意味が分からない力が田んぼなのじゃ! ちなみにわしの名前は田上じゃよ! 田植えだけに!」

「どうでも良い!!」

 

 そんなやり取りが行われているにも関わらず、田無くんの精神エネルギーはますます高まっていきます。

 そして光が収まった時、田無くんもまた田中くんと同じように、田んぼを身につけていました。

 

「すごい! これが田んぼなのか! とても僕のものとは思えない!!」

「そうじゃろう!」

 

 お爺さんとモヒカン野郎達はお爺さんのテレポート能力で田無くんの前に瞬間移動しました。

 

「じゃがまだ小童よ! 行くのじゃチカン帝国の者達よ!!」

「ヒャッハー、死ねえ!」

 

 お爺さんの指示でモヒカン野郎達はバイクで突っ込んできました。

 よく見るとバイクのヘッドライトの上に稲が巻きつけてあります。

 田んぼの加護を受けたお米バイクEXでしょう。その速さは隕石の匹敵します。

 

 けれども。

 

「お前ら邪魔だああああああああああああああああああああああ!!」

「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 田んぼを得た田無くんの敵ではありません。

 田んぼの力を解放し、急成長させた稲の米粒を飛ばして、モヒカン野郎達を地球の裏側まで吹っ飛ばしてしまったのです。

 

「ほう、やるなあ! 見事と言わざるおえん!」

 

 お爺さんは素直に驚嘆します。

 まさかこんな逸材がいおうとは思ってもいませんでした。

 

「田無よ!! お前わしの後継者として歩めい! 今ならば田んぼの秘技をお前に伝授してやるのじゃ!!」

「いらない! 僕の隣は田中くんのものだ!!」

「!? き、貴様!!」

 

 お爺さんは目をかっ開いてしまいます。

 何故なら再起不能と思っていた田中くんが、いつの間にか復活し、田無くんの隣に立っているのです。

 

「まさか田んぼエナジーを分け、無理やり田中を復活させたというのか! そこまで田んぼを使いこなすとは……! 小癪なアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「………………」

 

 そんな怒り狂うお爺さんに、田中くんは鋭く睨みつけます。

 田無くんは田中くんの言葉を代弁しました。

 

「田中くんはこう言っている。貴様は田んぼを持つに値しないパチモンだと」

「何じゃと!?」

「僕もそう思う。貴様は死人で未来などない! 田んぼとは精神エネルギーが具現化したもの!! イマジネーションの塊!! それを機械で補おうなどまさに愚の骨頂!! 片腹痛いとはこのこと!! それぞまさに老耄の証拠よ!!!!」

 

 田無くんは強気に吠えます。

 

「ナウでヤングでピチピチな僕らに勝てるわきゃねえだろうがアアアアアアアアアアアアアアアじじいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

「言わせておけばアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 こうしてついに最終決戦は始まったのです。

 三人は空高く飛び上がり……大気圏まで突き抜け、宇宙を飛び回ります!!

 

「米粒サンダー!!」

 

 お爺さんが稲から米粒を飛ばし攻撃を仕掛けると、

 

「田んぼタックルスピン!!」

 

 田無くんが音速より速い光のスピードで、それらを突き破ります。

 

「……………!!」

 

 そして、田中くんが超田んぼの能力を使ってお爺さんを念力で拘束し。

 

「死ねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

 

 田無くんの田んぼの稲が伸びて、鞭のようにしなり。

 お爺さんを、貫いたのです。

 

「ぐはアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 お爺さんは血を吐きながら倒れました。

 

「ク……これが若さか……実にあっぱれ……!!!!」

 

 そうしてお爺さんは消滅してしまいました。

 これでようやく……すべてが終わったのです。

 

「…………………」

 

 でも。

 もうそこは、地球でも何でもありませんでした。

 

 田中くんと田無くんがいたのは、地球より何万光年も離れた見知らぬ星だったのです。

 

「ごめんね田中くん。キミのお金持ちの夢も、ハーレムの夢も、叶わなくなっちゃったね」

 

 田無くんは謝ります。

 しかし田中くんは首を振りました。

 

「え、良いの? どうして?」

 

 田中くんは虚空を指差しました。

 

「ああ……そっか。成程。この先に可愛い女の子が沢山いるんだね?」

 

 田中くんは頷きました。

 

「じゃあ僕もお供しよう。僕も女の子とイチャイチャウハウハやりたいんだ!」

「…………」

「うん、これからが楽しみだね!!」

 

 彼らは同時に浮遊し、まだ見ぬ遥か彼方を目指して行きました。

 この二人の田んぼ使いがこの後どうなったのか……地球の誰も知りません。

 ですが波瀾万丈でも大丈夫でしょうか。

 

 なんせ彼らはナウでヤングでピチピチだからです。

 若さのリビドーのまま何処までも進んでゆくでしょう。

 稲が豊かな実りをつけるように。

 

 二人は何処までも何処までも、田んぼを使って自由に強く生きていくのでした。

 

 おしまい

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